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第8回 セキュリティを支えるテクノロジー フォーティネットのエキスパートが語る

止まらないネットワークとセキュリティを融合 フォーティネット「FS-AXシリーズ」の目指す高み

安定性とセキュリティを両立 フォーティネットとアラクサラのシナジーには期待しかない

文●大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: フォーティネットジャパン

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 セキュリティで求められている「変化への対応」と、ネットワークで求められている「安定性」。長らく統合されなかった2つの技術領域を統合したセキュアネットワークを目指すフォーティネット。ミッションクリティカル領域で高い実績を誇るアラクサラネットワークスを統合したことで、どのようなセキュアネットワークが実現されるのか? フォーティネットジャパンで「FS-AXシリーズ」のマーケティングを担当する能見元英氏に話を聞いた。

「止まらないネットワーク」にこだわってきたアラクサラ

 われわれの日々の企業活動や生活を支える通信事業者や社会インフラのネットワークは一瞬のダウンすら許されない非常に高い安定性が重要になる。通信事業者や放送局、発電所、回線・道路設備、証券取引所、銀行、自治体、病院、大学などのこうした「ミッションクリティカル領域のネットワーク」を支えてきたのが、フォーティネットとの統合が完了したアラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)になる。

 アラクサラは2004年にNECと日立製作所と合弁会社として設立されたルーター・スイッチの専業メーカー。ミッションクリティカル領域と言われる通信事業者や社会インフラ系企業のネットワークに向けたスイッチやルーターを提供し、累積出荷台数は33万台以上を誇っている。

 アラクサラが多くの企業の支持を受けたのは、止まらないネットワークへのこだわりがあったからこそだ。元アラクサラネットワークスで、現在フォーティネットジャパンに所属する能見氏は、「ネットワークは止まらないのが大前提。冗長性や信頼性のニーズは長らく変わっていません。その点、われわれはメインフレームの開発や設計を行なっていた日立やNEC時代のノウハウを活かした高いレベルの検証も行なっていました」と振り返る。

フォーティネットジャパン マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 能見元英氏

 2021年にフォーティネットがアラクサラを買収。外資系IT企業による日本のITベンダーの買収ということで、当時は大きな話題となった。この背景には「セキュリティとネットワークの統合」というフォーティネットが創業当初から目指してきたビジョンがあったという。このビジョンを実現すべく、フォーティネットはミッションクリティカル領域のルーター・スイッチの開発能力を持つアラクサラに大きな価値を見いだしたのである。

 統合に際しては2021年から5年をかけた。新製品の開発も着々と進めてきた。この成果物として2025年6月に発表された新ブランドが「FortiSwitch-AX」(FS-AXシリーズ)になる。すでにユーザーが多い日本市場を前提に、まずは日本で先行リリースされたという経緯を持つ。2026年1月にはフォーティネットとの統合が完了し、アラクサラの社員は開発、営業、SE、マーケティング含めてすべてフォーティネットに移管されている。

アラクサラのDNAを受け継ぐ「FS-AXシリーズ」

 では、フォーティネットとアラクサラネットワークスはどのようなシナジーを出していくのだろうか? まずはフォーティネットとアラクサラの製品ラインナップを整理しておきたい。

 さまざまなセキュリティ製品を展開してきたフォーティネットだが、ネットワーキングの領域においても、「FortiSwitch」ブランドのスイッチや「FortiAP」ブランドの無線LANアクセスポイントなどを提供してきた。これらは「セキュアネットワーキング」のコンセプトを掲げ、エンドユーザーに近いブランチネットワークにおいて、同社の基幹ファイアウォール「FortiGate」からの統合管理を実現している。FortiGateでの一元管理は、機器の管理やセキュリティという観点で大きなメリットがある。

 統合後は、このフォーティネットのLAN製品に前述したFS-AXシリーズが追加される。まずはボックス型スイッチ「AX3600S」などが「FS-AX3660S」として継続販売。また、既存のFortiSwitchの筐体にアラクサラのソフトウェアを搭載した「FX-AX600F」が昨年リリースされている。

 FS-AXシリーズは、先進性よりも安定性を強く望むユーザーの「ネットワークを止めたくない」というニーズを満たす。複数スイッチをスタックし、一方のスイッチが障害を起しても、別のスイッチで通信を継続するという高可用性は、まさにアラクサラの十八番。また、通信事業者やミッションクリティカル領域に多いマルチベンダーのネットワーク構成でも、業界標準の技術やコマンド体系をサポートするFS-AXシリーズはフィットする。

 今後のFS-AXシリーズも、アラクサラのソフトウェアをフォーティネットのハードウェアに載せるというのが基本的な方向性だ。能見氏は、「日本市場の通信事業者やミッションクリティカル向けネットワークはマルチベンダー環境が一般的ですし、業界標準のユーザーインターフェイスに慣れているお客さまも多い。その点、アラクサラOSベースの方が向いていると判断しました」と語る。ハードウェアはグローバル調達になるため、コスト面でのメリットも大きいという。

ハイエンドネットワークで欠けていた「シャーシ型スイッチ」

 ボックス型スイッチに加え、今回フォーティネットの製品として新たに増えたのが、従来ラインナップから欠けていたシャーシ型スイッチになる。「セキュリティを統合管理できるネットワーク機器としては、フォーティネットはグローバルで高く評価されています。でも、通信事業者やミッションクリティカル領域はシャーシ型スイッチがなく、ちょうどウィークポイントだったんです」と能見氏は語る。

 このウィークポイントを解消するのが、フォーティネット初のシャーシ型スイッチ「FortiSwitch-AX9000G」になる。

フォーティネット初のシャーシ型スイッチ「FortiSwitch-AX9000G」

 長期間の安定稼働を支える堅牢なハードウェアに20年以上の実績を持つアラクサラのOSを搭載したFortiSwitch-AX9000G。簡単に言えば、2台のスイッチを1台のシャーシに統合しており、11RUの筐体に2基のスーパーバイザーカード、4基のラインカード、8基の冗長化電源を搭載している。ネットワーク障害時の経路の自動切り替えやシャーシ内の各モジュール障害のオンラインでの復旧などを実現しつつ、今後はフォーティネット製品との連携によるセキュアネットワークを実現する。

 このFortiSwitch-AX9000Gは統合後、旧アラクサラの開発部隊がハードウェアをイチから開発して実現され統合後の最初の成果物だ。ブランドも、開発部隊も、買収元に統合される他の外資系ITベンダーと異なり、アラクサラ主導の開発体制を維持しつつ、グローバルの開発部門との連携を目指すのが、今回の統合の大きなポイントだ。

 能見氏は、「今回の統合では旧アラクサラの開発部門もそのまま継続させてもらっています。日本とグローバルのニーズを双方に取り入れ、統合のシナジーを出していくことになります」と語る。

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