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徹底したデータ化でデジタルの体験価値を高め、企業を成長させるための提言

AIチャットボット時代にもDAPは必要なのか? PendoのCEOに聞いてみた

2026年01月27日 14時30分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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日本のアプリが「優れた体験」を提供できない理由、改善への提言

――日本には「体験を重視する文化」がありますが、デジタルのUIやUXという点で、日本のSaaSやアプリは必ずしも優れた体験を提供しているとは言えません。

オルソン氏:その意見には同意します。何度も来日しており、日本文化への理解も深めていますが、これは私にとって“大きな謎”です。

 日本のデザインの特徴の1つにミニマリズムがあります。物理的なデザインではミニマムで美しいものがたくさんありますが、ことデジタルになると分かりにくく、ある意味でカオスになっています。Pendoが支援できる部分が多くある、という点では喜ばしいことなのかもしれませんが……(苦笑)。

 ひょっとすると(機能に対して)「ノー」ということに抵抗があるのかもしれませんね。日本で「ノー」ということはとても難しい。物理的な世界は制約により「ノー」が言えますが、デジタルは物理ほどの制約がないため、「イエス」で機能を盛り込んでしまう。

 家に招待されて、玄関に入るとありとあらゆるものがあるとお客さんは圧倒されます。段階的に開示していくことが大切です。玄関では必須部分を紹介するにとどめ、(ユーザー側が)より知識が増えたり慣れてきたら、少しずつ広げていく。それが良い体験です。

――デジタル体験という点で、日本企業はどのように考えるべきでしょうか。どんなアドバイスをしますか?

オルソン氏:まずは、顧客体験を外注しないこと。デジタルでの顧客体験は、リアルの体験を上回るぐらい重要になっています。ある銀行は自分たちのアプリを「新しく、かつ最大の支店」と表現しましたが、その通りです。支店を、自社のことをよく知らない第三者に外注すべきではありません。

 次に、顧客体験も大切ですが、自社のために働いてくれている従業員をおろそかにしないこと。彼らが日々使っているデジタルツールの体験は、生産性という点でもモチベーションという点でも、もっと大切に扱って良いと思います。従業員体験を大切にすると、顧客のために素晴らしいソフトウェアを構築するインスピレーションが得られることでしょう。もちろん、優秀な人材を惹きつけ、引き止めることができるという効果もあります。

 最終的には、将来の体験はパーソナライズです。そのためにはコンテキストにおけるデータが必要です。AIチャットボットとすでに10回やりとりしているユーザーであれば、どのような体験を提供すべきか。そうでなければ、ユーザーはフラストレーションを感じます。ですが、現在のAIエージェントはそれが難しい。現時点ではコンテキストウインドウと呼ばれるように、技術的に制限があるからです。情報が少なくても、多すぎても悪い結果が出ることがあります。人間と同じですね。たくさんコンテキストを与えすぎるとかえって混乱します。その中間のバランスはどこか、そこにイノベーションの余地があると思います。

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