徹底したデータ化でデジタルの体験価値を高め、企業を成長させるための提言
AIチャットボット時代にもDAPは必要なのか? PendoのCEOに聞いてみた
2026年01月27日 14時30分更新
画面上に操作方法やナビゲーションを表示することで、導入したシステムやSaaSをユーザーに使いこなしてもらい、利用を定着させるための支援ツールである「デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)」。しかし、生成AIという新たなインタフェースを通じて自然言語でアプリケーション操作ができるようになった現在でも、DAPは変わらず必要なのだろうか? ――そうした問いに、DAPを提供するPendoの創業者兼CEO、トッド・オルソン氏は自信を持って“イエス”と答える。
オルソン氏は、「世界のソフトウェアの体験を向上する」という壮大なミッションを胸に、プロダクト体験の重要性を説いてきた。その考えは、自著「Product-Led Organization(邦題:プロダクト・レッド・オーガニゼーション 顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築」)」に詳しく、米国ではSaaSベンダーを中心に「プロダクト成功のための必読書」と位置付けられている。
AI時代にDAPは必要なのか、その役割はどう変化していくのか、来日したオルソン氏の考えを聞いてみた。“カオス化”している日本のデジタルプロダクトのユーザーインタフェース(UI)についても、提言をくれた。
Pendoの創業者兼CEO、トッド・オルソン(Todd Olson)氏。コーポレートカラーでもあるピンクのシャツで登場。IT企業には青系のコーポレートカラーが多いなか、「もっと楽しくなる色を」とピンクを選んだという
プロダクトの体験価値向上が企業の成長につながる
――あなたは、すべての企業活動をプロダクト(製品)にフォーカスし、プロダクトの体験価値改善を通じて成長する企業=「プロダクト・レッド・オーガニゼーション(PLO)」を提唱しています。その考えはAI時代でも変わらず有効でしょうか。それとも何らかの変更が必要ですか?
オルソン氏:AI時代の現在においても、もちろん有効です。AIは、企業がPLOを実践していくための技術のひとつにすぎません。PLOの基礎となる考え方は、「現状を正確に把握し、それを出発点として、望む成果に焦点を当てて測定する」というものですから、AIの時代でも執筆した当時と同等、あるいはそれ以上に有効です。
たとえば、AIを使うことで、プロダクトの利用状況に関する大量のデータを取得したり、顧客ごとにカスタマイズされたメールを自動生成してアプローチしたりすることができます。こうしたことは、わたしがPLOの書籍を執筆した当時は簡単ではありませんでしたが、現在はとても簡単に実現できます。
――企業がPLOを実践していくために、どんなアドバイスがありますか?
オルソン氏:まずは、小さなことから始めることをお勧めします。
Pendo社内の話をすると、われわれ自身も常に、Pendoのプロダクトを活用してより効果的に、効率的に物事を進められないかと考えています。たとえば、従来は新機能のβテスターを募集する際、人手で作業を行っており、1日に50人程度を集めるのが限界でした。しかし、先に発表したAIエージェントのパフォーマンス可視化ツール「Agent Analytics」では、プロダクトを使って特定の顧客集団をターゲットにすることで、1日に400人もの人を集めることができ、大幅な時間の短縮が図れました。“プロダクト・レッドな組織”でこそなしえる、良い例だと思います。
日本では、最初のビジネスミーティングで名刺交換をしますよね。こうした商習慣を置き換えるには時間がかかりますし、それを置き換える必要はないと思います。ですが、いったん顧客との人間関係が構築できたら、あとは対面にこだわらず、より便利なアプリケーション(ビデオ会議など)に置き換えていくことも可能です。小さなところからでよいので、自分たちが“プロダクト・レッド”になれる部分を探し、実際に試してみて、小さな成功を重ねていくことをおすすめします。

