毎年1月初旬に米国で開催される、世界最大級のテクノロジー見本市「CES」。世界中のテクノロジー企業が出展するこの展示会を見ると、その一年のテクノロジートレンドが分かるとも言われます。
そんなCESで今年、大きな注目を集めたのが「フィジカルAI」というキーワードでした。NVIDIAの創業者でCEOを務めるジェンスン・フアン氏が、基調講演の中で大きく「フィジカルAI」を取り上げ、急速に進化する世界観を示したことで注目を集めました(関連記事:NVIDIAの講演で泣きそうになった。AIと人類の進歩、どこまで進む?)。
フィジカルAIとは、AIが現実世界の変化を認識し、高度な判断を自ら行ったうえで、ロボットやさまざまな機器を物理的に動かす世界を指します。
近年、猛烈なスピードで進化を遂げてきた生成AIやAIエージェントですが、その入力も出力も、基本的にはデジタル空間の中にとどまっていました。その一方、フィジカルAIは現実空間から情報を入力し(取り込み)、現実空間に出力する(物理的な影響を与える)ことができます。つまり、生成AIやAIエージェントの高度な判断力を持ちながら「現場作業ができる」ため、現場作業が必要なさまざまな業種/職種への適用が期待できるわけです。
こうしたフィジカルAIを実現するためには、高度な判断力を持つ“脳”=AI以外にも、欠かせない構成要素があります。そのひとつは、現実世界を観察して情報を取り込む“感覚器”であるセンサー。そしてもうひとつは、AIの判断に基づき物理的な作業を行う“身体/手足”であるロボットなどの機器です。
すでにお気づきかもしれませんが、こうしたセンサーもロボットも、IoT技術と密接に関わりながら進化してきました。つまり、現実世界にフィジカルAIが浸透していくこれからの時代には、IoT技術の役割もより大きなものになることは間違いありません。
反対に、IoTを用いたビジネスを考えるうえでもフィジカルAIの動向に注目すべきですし、「AIの側から」発想していくことも可能だと思います。AIが持つ高度な能力を、現実世界へ“解放”するためにどんなIoTが必要になるのか――。そうした視点から俯瞰してみると、新たなIoTのアイデアが生まれるかもしれません。
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