やると決めて、時間をとって計画し、やりきるのみ!
こにふぁーさんが語る「プロジェクトと改善の両立」 銀の弾丸はないが、前に進むための“10の経験則”
開発チームが直面しがちな課題として、事業計画に基づくプロジェクトと、着手すべきチームの改善が同時に存在する状況がある。目先のプロジェクトに追われるほど、中長期的な改善は放置されがちだが、両立は可能なのか。
KyashでVP of Engineering(VPoE)を務める“こにふぁー”こと小西裕介さんも、この課題に悩まされてきたひとりだ。
Backlogのユーザーグループ・JBUGは、2025年11月29日、プロジェクトマネジメントの祭典「Backlog World 2025」を開催。こにふぁーさんによる招待セッションでは、「銀の弾丸はないし、推進のコツもない」と前置きした上で、上記の両立に向けた「10の経験則」を共有した。
“いったん”が永遠に続く、プロジェクト進行と開発チーム改善の両立
2015年から個人ブログを中心に情報発信を続けるこにふぁーさん。ここ8年ほどは、KyashでFintechのプロダクトに携わり、2022年からはVPoEとしてプロダクト開発チームを率いている。「最近は、コードを書くのは20、30%ぐらい。残りはマネジメントや組織づくり、AI推進などを担っている」と語る。
そして、いざマネジメントをする立場になると、プロジェクトと開発それぞれの視点で“やらなければいけないこと”を、どう両立させるかに頭を悩まされるという。
例えばそれは、チームの中で「今はいったん事業に集中しよう」という声が上がるような状態だ。事業計画やプロダクトのリリースが迫り、中長期的にやるべき改善があっても、いったんは後回しにされてしまう。「この“いったん”が永遠に続くのがミソ。常態化することで、私も何度か失敗を踏み抜いてきた」とこにふぁーさん。
「スキマ時間に少しずつやろう」も危険だ。Backlogなどでタスクを細分化し、プロジェクトの合間に進めることにしても、まとまった時間がとれるのは稀であり、短い時間ではできることもたかが知れている。「たちが悪いのが、“やっている感”が出ること。それゆえに放置されても気づかないという状況を経験してきた」と振り返る。
Kyashでの具体的な経験談も紹介した。当時は、2025年6月にリリースされた「Visaタッチ決済機能」の開発のために、チームで総力を挙げていた。この間、「トランザクションが増えてパフォーマンスに影響はないか」「決済の種類が増えたときに運用負荷は増えないか」など様々な不安が募ったが、結局はこれらに目をつぶってリリースまで駆け抜けた。「やりきったのは素晴らしい。ただ、これが常態化すると、改善の声自体が上がらなくなる」と危惧したという。
こうした状態を問題視して、開発と並行してどうチームの改善も進めていくかが、今回のテーマになる。
両立のための考え方と抑えるべき10のポイント
こにふぁーさんがたどり着いた鉄則は、以下の4ステップを愚直に守って改善に取り組むことだ。
①問題の解決:何が問題かを見極めて言語化し、
②解決策の提案:いつまでに何をやるべきかを提案。
③実施の合意:ヨシやるぞと決めて、
④覚悟と完遂:決めたらやりきる。
特に重要なのは、最初の「問題の解決」のステップである。ここで問題を深掘りせず、正しく理解できていないと、後の提案や合意で進行中のプロジェクトとのすり合わせが難しくなる。
こにふぁーさんが強調するのは、「やると決めて、時間をとって計画して、やりきる」というマインドセットだ。一発で問題を解決する“銀の弾丸”などは存在せず、画一的な基準で判断もできないため「誰かの決断」が必要になるという。
とはいえ、「それができれば、苦労はしねェ!」というのがこにふぁーさんも含む心の声だ。ということで、ここからはこにふぁーさんが自身の経験から学んだ、「抑えておくとよいポイント」が、ステップごとに10個披露された。




