第21回 and SORACOM
コープさっぽろが挑んだ店舗改革 現場の試行錯誤にカメラはどこまで寄り添えるのか?
デリカコーナーのトップ売上担当者が語る「僕はソラカメで売り場をこう変えた」
提供: ソラコム
「選べるから楽しい」 そんな売り場作りにソラカメ活用
全体のオペレーション施策に加え、店舗や担当ごとに異なる使い方を試行錯誤しているのが、コープさっぽろのユニークなところだ。「各店舗で売れ筋商品も、店舗の導線も異なっているため、使い方がそれぞれ異なっているのが、ソラカメの面白いところです」と栗山氏は語る。
たとえば、デリカコーナーの売上でトップレベルを実現している新道店 デリカマネジャー泉氏は、「目視しないとわからないコロッケや焼き鳥などバラ売り惣菜の残数をカメラで確認しています」という。また、店舗内の導線確認にもソラカメを役立てている。「通常は青果コーナーから入ってくることが多いのですが、うちの店舗は入り口が2つあり、デリカやベーカリー側からの入り口から入ってくるお客さまも多い。夜間は増してデリカやベーカリー側からの入店が多いので、売れ筋商品を入り口に固めておきます」とのことだ。
売り場作りに役立てるだけではなく、顧客動向の分析にもソラカメは用いられている。たとえば、「たこ焼きや焼きそばが突然売れ出した」という動向については、「夏休みに親子連れが購入している」という仮説までは立てることができた。しかし、POSでは売れた商品はわかるが、スーパーでは大人が購入してしまうので、子供の購買には見えなかった。その点、ソラカメで見ると、実際に子供連れの客が多いことが確認できる。これにより、商品数を増やした方がよいという意思決定につながるという。
また、アルバイトに売り場を任せる夜間や休日の売り場映像も活用されている。映像を見れば、アルバイトの担当と売り場について意見交換できる。「今の時期は牡蠣フライやキノコの商材の秋コーナーを作っています。置く場所によって売れ行きは変わるので、どうしたら売れるのか、どう売り場を作るのか、映像を見ながら、部下とキャッチボールしています」と泉氏は語る。
全国的に見ても、スーパーのデリカコーナーは拡大の一途だ。スーパーの売り上げの実に1/4はお惣菜だという。「コロナ禍を経て、すぐ食べられる即食のニーズが高まっています。だから、どのスーパーも改装したら、デリカコーナーは1.5倍か、2倍くらいに拡げているはず」と栗山氏は語る。
当日売りきるモノを販売するデリカコーナーでは、毎日の朝から始まる売り場作りが主戦場でもあり、創意工夫も必要になる。「僕の理想は『選べる売り場』。お弁当も、3種類しかない売り場と、10種類ある売り場では、お客さまの満足度が全然違います。お客さまからも『この売り場はいろいろ選べるのが楽しい』という声もいただけるので、やりがいにつながっています」は語る。お客さまに満足度を与える売り場作りにソラカメは寄与しているわけだ。
ソラカメ活用は青果品や肉・魚売り場に拡大
現在、ソラカメは青果品や肉・魚売り場などデリカコーナー以外でも活用されるようになった。シュリンクパックされているお惣菜に対して、青果品や鮮魚は売れ行きがわかりにくいが、ソラカメを使えば、視覚的に売れ行きや在庫が把握しやすい。「まずはカメラを設置し、映像を確認し、立てた仮説が正しいかを検証していきます」(栗山氏)という。
SORACOM Discovery 2025の登壇で、栗山氏が挙げた事例はもやしの販売だ(関連記事:定時の「惣菜値引き」は売上が伸びない “クラウドカメラ”が見抜く小売・商業施設の課題)。「夜中にスーパーに買いに来たのに、もやしが欠品していたら、そのスーパーの評価は下がるとすら思っています。だから、私が店長だったときから、『もやしだけは値引き販売してもいいから絶対に切らすな』と言ってきました」と栗山氏は語る。
とはいえ、夜の担当者からすると、もやしは足も早いが、単価も安いし、値引き販売もしたくない商材。あまりケアされない商材とも言える。しかし、ソラカメで売り場を見ると、毎日、欠品しているわけではないが、特定の曜日で欠品している時間帯があることがわかった。そこで欠品する曜日のみ発注数を増やし、多かったら調整するというサイクルに結びついたという。
広大な北海道でも各店舗の売り場を把握し、ノウハウを共有できる
広大な北海道を商圏とするコープさっぽろにとって、ソラカメは店舗を見る目の役割を果たしている。「今まで他店舗の売り場を見るためには実際に現場に足を運ぶ必要がありました。でも、同じエリアでも、たとえば帯広店からえりも店に行こうとすると、車で2時間以上かかります。もちろん、売り場の写真を送ってもらうことも可能ですが、それだとスタッフに手間をかけます」とのこと。しかし、ソラカメであれば他店の売り場をリアルタイムに見ることができる。
各店舗の改善活動は店舗事業本部に吸い上げられ、全店のノウハウとして共有される。トップダウンとボトムアップの施策がコープさっぽろの強みとなっている。さらに実績の高い売り場作りを他店も学ぶことができる。「先日、トップから泉さんの売り場を全店舗に見せるため、ソラカメをもっと増やせと言われました」と栗山氏は語る。売り場作りのノウハウを共有するツールとしてソラカメが利用されるようになっているわけだ。
店舗事業本部を起点とした全店舗向けの施策に加え、店舗や担当ごとの創意工夫でPDCAを回すという二段構えのオペレーション改善がコープさっぽろの強み。導入をサポートしたソラカメ事業責任者の高見 悠介氏は、「店舗ごとで改善活動を行ない、競い合っているので、ソラカメの使い方も店舗や担当ごとに違いが出ています。そのノウハウを共有していく一致団結感がコープさっぽろさんのカルチャーなんだと思います」と指摘する。
現在は店舗へのソラカメの配備はおおむね終了し、成果に結びつくアクションを試行錯誤している段階。現場に加え、商品部を巻き込み、生産調整を最適化する取り組みを進めていくという。また、カメラの映像を生成AIで分析できるサービス「SORACOM Flux」を活用して、人が行なう判断をAIに判断させ、いずれは判断を自動化していく取り組みも始まっている。
「カメラとAIの相性は抜群です。まずはカメラを取り付けて、映像を人が見て判断します。ある程度映像をチェックするポイントが分かれば、次は人に代わってAIに判断させる段階が見えてきます。コープさっぽろ様では、商品の在庫をアノテーションして、売り場に対してどれくらい商品が売れているか、在庫が足りなくなっているかを数値化して自動通知しようとしています」(高見氏)
AIの利活用を前提に、ソラカメは現場にデータに基づいた試行錯誤の文化を根付かせたいというインパクトがあった。栗山氏も、「究極的には『AIによって値引きタイミングを計る』みたいなことも可能になるはずですが、その前段階としてデータを元にした仮説検証を現場できっちりやれるようなったと思います」と語る。
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