第21回 and SORACOM
コープさっぽろが挑んだ店舗改革 現場の試行錯誤にカメラはどこまで寄り添えるのか?
デリカコーナーのトップ売上担当者が語る「僕はソラカメで売り場をこう変えた」
提供: ソラコム
われわれが日々、利用するスーパーのデリカコーナー。売り場の担当者は店頭に並ぶ弁当や惣菜を当日に売り切り、値引きと廃棄を減らすために試行錯誤を続けている。そんな担当者が売り場のカメラを使ったら、どんな化学反応が起こるのだろうか?
北海道で110店舗のスーパーを運営するコープさっぽろは、ソラコムのクラウド型カメラサービス「ソラカメ」を導入した売り場改革に着手した。ソラカメで売り場をのぞいてみると、いつもと違う購買行動や顧客動向が見えてきた。
「なんでも屋」の店舗本部事業部がソラカメの活用を模索
「北海道で生きることを誇りと喜びとする」という理念を掲げる生活協同組合コープさっぽろは、全道110店舗、約200万人の組合員を誇るマンモス生協だ。北海道の「食のインフラ」と「課題解決」を目指す地域貢献型企業であり、今年で設立60周年を迎えた。
コープさっぽろの店舗事業本部は、店舗の運営や管理の支援を行なっている。各店舗には店長、全道10地区には地区本部長がいるが、その上のレベルで全店の運営支援を担当しているという。コープさっぽろ 店舗本部 店舗運営部部長 兼 店舗管理部部長 栗山貴史氏は「店舗事業本部って、ざっくり言うと、なんでも屋さん(笑)。店員さんからの相談も来るし、こちらから企画も提案します。事故対応や防災訓練の手配、内部監査の整備、他部署調整、損益管理、年間予算など、とにかく店舗の運営におけるオペレーション支援はなんでもやっています」と語る。
「なんでも屋」ということで、実はデジタルやシステムを扱うこともある。もちろん、別に情報システム部もあるのだが、「お店で扱うシステム関係は店舗本部が担当し、情報システム部との調整が必要な場合はこちらで調整して、店舗に配備します」(栗山氏)とのこと。こうしたいくつかの施策の中で生まれたのが、ソラコムクラウドカメラサービス「ソラカメ」の店舗での配備だ。
ソラカメは1台3980円~という低価格なWi-Fiカメラで、クラウド録画を利用できるサービス。映像を常時録画しクラウド上に保存する「クラウド常時録画」、動きや音などの変化をカメラが検知した場合に短時間の動画を保存する「クラウドモーション検知”無制限”録画」が利用でき、ライブ映像を無制限で視聴・ダウンロードできる「ライブ視聴見放題」も可能だ。
コープさっぽろでのソラカメ導入のきっかけは、ソラコムの玉川憲社長が2022年に行なった社内セミナーだった。ここで紹介されたソラカメが、店舗のオペレーション改善に利用できるのでは?という経営陣の判断から、店舗事業本部にお鉢が回ってきた。その後、すでにソラカメを導入している大手小売スーパーでのソラカメの活用を見学し、利活用のヒントを得て、導入に至ったという。
廃棄と値引きのバランスに苦慮する現場 ソラカメが店舗にやってきた
導入前、コープさっぽろでは、「弁当・惣菜を扱うデリカコーナーでの廃棄率が、他の小売スーパーに比べて高い」という課題があった。
賞味期限の短いスーパーの弁当・惣菜は、製造から一定期間で廃棄しなければならない。そして、多くのスーパーでは、一定時間が経過すると、値引きを行ない、廃棄数を減らしている。しかし、値引き販売を行なえば、廃棄数は減るが、利益は圧縮される。廃棄数を最低限に抑えつつ、利益を確保するためには、どのタイミングで値引きを行なうのかが勝負。売れ行きや残った在庫を見つつ、弾力的に対応できるのが望ましい。
従来コープさっぽろでは、デリカ商品の値引きと廃棄を一律の時間で行なっていた。売れ行きや在庫関係なく、一定時間に三割引き、半額にするというルール。栗山氏は、「まだ売れる商品に関しては、現場の判断で時間を延ばしたりしますが、店長や担当者が帰ってしまう夜は、夜間担当のアルバイトさんが迷わないよう、値引きの時間を決めていました」と語る。
これに対して、カメラで売り場をリアルタイムに確認できれば、在庫もわかり、値引きのタイミングも弾力的に対応できるはず……というのが、店舗事業本部の仮説だ。最初に導入したのは苫小牧店。2023年1月に導入を決め、6月には全道の店舗のデリカコーナーに2~4個のソラカメ対応カメラ(ATOM Cam 2)を設置した。設置数は全道の店舗で約1000台に上る。
実際に札幌市内の店舗の様子を見せてもらったが、天井には防犯カメラとは別にソラカメが何台も取り付けられている。ATOM Cam 2自体が小型なので、天井になじんでいるため、撮影されている圧迫感はほぼない。撮影した画像は定点でクラウド上にアップロードされ、スマホから確認できる。「画角に関しては、けっこう苦労しました。最初は値段やPOPが見えるようにフォーカスしていたのですが、今では売り場全体が見えるように調整しています」と栗山氏は語る。
時系列の現場がわかるから、仮説検証のPDCAを回せる
デリカコーナーにソラカメを設置することで実現したのは、まず値引き率・廃棄率(値廃率)の削減だ。初年度に値廃率1.83%の削減を達成。コープさっぽろ規模での2%弱という値廃率なので、無視できない金額だ。
店舗事業本部が全体オペレーションとして指示しているのは、店舗のカメラ画像と時間帯ごとの売上を日報に貼り付け、両者で仮説を検証するという使い方だ。ソラカメの画像を日報に使うことで、「夜7時のお弁当の陳列数が少なかったかも」「廃棄が多かった場合、夕方から雨が降ってきたから、値引きタイミングをもっと早めた方がよかったかも」といったPDCAサイクルの検証に用いている。「毎日PDCAを回しているイメージです」と栗山氏は語る。
売り場の定点観測という点でも、ソラカメは役立っている。栗山氏は、「たとえば、お盆やクリスマスの陳列は以前から写真で残しているのですが、今までは完成した陳列のみ。これを1年後に見たとき、最終的にどの商品が売れたかまではわかるのですが、どのタイミングで、どんな商品が残っているか、どのように売れていたのかわかりませんでした」と語る。
その点、現在はソラカメで1時間ごとに売り場を撮影しているので、売れた数だけではなく、顧客動線や販売動向がわかる。最後までまんべんなく売れたのか、途中で品切れになっていたのか、そもそも商品が店頭に並ぶ時間が遅かったか、売り場の様子を定点で追うことができる。ソラコムの松下享平氏は、「POSだと最終的な売上はわかりますが、どのように売れたのかはわかりません。ソラカメが入ったことで、時系列で売れ行きの経緯がわかるようになったということです」と語る。
時系列での売れ行きがわかると、次のアクションに結びつく。単純に陳列や場所を変えるだけではなく、生産の優先順位や個数まで調整できる。輸送コストのかかる北海道を商圏とするコープさっぽろは、お惣菜の約6割をインストアで調理しているため、生産調整もやりやすい。「ただ現場を撮るだけでなく、目的に対するアプローチを試すための有効なツールになっています」と栗山氏は語る。
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