劇的な生産性向上の秘訣は「スキルギャップ解消」と「リソース代替」
生産性を“20倍”向上させるメカニズム グラファー×サイボウズが語る生成AI活用の現在地
2026年01月20日 07時00分更新
プロジェクトの進め方:AI時代、開発プロジェクトは2名体制が理想
3つ目のテーマは、「プロジェクトの進め方」だ。
山下氏は、生成AIの選択肢の多様化とトレンドサイクルの短期化が進む現在、「プロジェクトの始め方・進め方に迷いが生じるのは当然」と説明する。だからこそ、やりたいことの複雑化・大規模化を抑えて、スピード重視の個別最適化で始めるべきだという。
ただ、個別最適ゆえにどうしてもサイロ化が生じてしまうが、それを恐れず対応柔軟性を持たせることが重要になる。「サイロ化の何が問題かというと、拡張性や連携容易性を失わせたまま放置してしまうこと」(山下氏)
石井氏も、半年後、1年後にプロジェクトを始めても、モデルの性能が上りすぎて無に帰すことがよくあると賛同する。グラファーでも最近は、ひとまずは共通化や連携先、技術負債などを考えすぎず、スピード重視で開発を始めているという。
加えて石井氏が提案するのが、AI活用を前提として、「プロジェクト管理の規模を小さくする」ことだ。現状、生成AIにより個人の生産性は向上しているが、チームの生産性は伸びにくい。それは、「調整コスト」と「労働密度」が依然として変わらないからだ。
「例えば、チームにおける自身のタスクを1時間で終えても、次の会議までに時間を持て余してしまう。誰かのタスクの完了をもって次の人がタスクを始めるという構造がボトルネック。そのため、チームの規模を小さくして調整コストを減らしていく」と石井氏。
実際にグラファーのプロダクト開発では、全メンバーが課題発見から要件定義、設計、実装、テスト、運用まで、全行程を担当する“フルサイクル+AI活用”な開発を実践している。チームの構成は、バックアップを考慮した2名体制にまで減らし、コミュニケーションラインと会議体を大幅に削減する形だ。石井氏は、「あらゆるシステム開発プロジェクトは2名体制が理想になるのでは」と語る。
データ整備:生成AI自身が“データ正規化の鍵”に
最後のテーマは、生成AIの活用においてネックとなる「AI-Readyなデータの準備」だ。
これに対して山下氏が提案するのが、“入力の最適化”である。データ型含めた構造化を、データ入力時に整えてしまおうという発想だ。そのための仕組みとして、インターフェースをカスタマイズできるkintoneをはじめとした市民開発ツールが役に立つという。実際に塩野義製薬では、データウェアハウスに社内データを入力するインターフェースとしてkintoneを活用し、データの品質の確保に取り組んでいるという。
石井氏も、日本企業はデータの品質確保が苦手で、欧米企業と比べてAI活用が進んでいないと語る。鍵となるのは、生成AI自体にデータ正規化を任せることだ。昨今のAIモデルは、PDFやExcelといった非構造化データの構造化が可能になっている。グラファーにも、役所の書類や帳票などをデータ処理するためのAIアプリやAIエージェント開発の相談が多いという。
石井氏は、「AIにデータ整備を任せることで、付加価値を生むための前段階を大幅に効率化できる。データがないからDXが進まないという言い訳も通用しなくなる。これからのDXは、AIをどう活用するかが問われていく」と締めくくった。








