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「AI Builders Day」で語られたビルダー初心者向けのポイント

AIエージェント構築の勘所「6選」 アーキテクチャ選びから独自性の生み方まで

2026年01月14日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 AWSのユーザー会JAWS-UGが2025年12月20日に開催したイベント「AI Builders Day」のキーノートでは、「2026年はAIエージェント『構築元年』」と宣言された。

 とはいえ、AIエージェントの構築には独自のプラクティスが多く存在するのが現状だ。同イベントの中でも、これからAIエージェントを構築する入門者に向けて実践知が語られた、JAWS-UGメンバー福地開さんによるセッションをレポートする。

JAWS-UG東京 / NECソリューションイノベータ 福地開さん

AIエージェント構築の実践知を共有

 本セッションで共有されたのは、福地さんがAWS基盤でAIエージェントを構築してきた中での知見や学びだ。福地さんはNECソリューションイノベータの若手エンジニアで、社会人1~3年目のエンジニアを表彰する「AWS Jr.Champions」にも選出されている。

 実際に福地さんが設計したエージェントのひとつが「レポート生成エージェント」だ。毎月数千も作成していた顧客の業務改善レポートを効率化するエージェントであり、既に本番環境で稼働中だ。これは、「AWS Step Functions(※)」と「Amazon Bedrock(※)」を組み合わせて、AIワークフローを構築している。

※AWS Step Functions:AWSサービスを組み合わせてワークフローを構築・管理できるマネージドサービス
※AWS Bedrock:多様なLLMをAPI経由で利用するためのマネージドな基盤

福地さんが構築した「レポート生成エージェント」

 その他にも、AWS環境のセキュリティチェックを行う「セキュリティエージェント」を構築したり、個人でも「Amazon Bedrock AgentCore(※)」や「Strands Agents SDK(※)」を活用して「アウトプット集約エージェント」を開発しているという。

※Amazon Bedrock AgentCore:AIエージェントの構築・デプロイ・運用に必要な機能を提供するマネージドなサービス群
※Strands Agents SDK:AWSによるAIエージェント構築のためのフレームワーク

 こうした経験を基に、「アーキテクチャ」「コンテキスト」「ビルド」「評価 (evaluation)」「フェイルセーフ」「ドメイン」の6つの領域でのベストプラクティスが語られた。

アーキテクチャ・コンテキスト:外部情報の取得プロセスからアーキテクチャを定めよ

 まず、紹介されたのは、AIエージェントのアーキテクチャは、大きく2つの種類に分けられることだ。

 ひとつは、計画作成・ツール実行・振り返りのループを自律的に繰り返す「自律型」エージェントである。LLMが処理全体を統制するため、良くいえば柔軟だが、悪くいえば不安点さも残る。AWS上では、Strands Agents SDKを用いて、色々な環境にデプロイするというのが現状の主流だという。

自律型エージェント

 もうひとつは、事前定義どおりに処理を実行し、その中でLLMが動く「ワークフロー型」エージェントである。こちらは逆に、良くいえば安定しており、悪くいえば柔軟性がない。AWS上では、前述のレポート作成エージェントのようにAWS Step FunctionsとAmazon Bedrockを組み合わせるか、Amazon Bedrock Flowsを用いて構築できる。

 なお、ワークフロー型の派生形として「エージェンティックワークフロー」がある。これは、ワークフローの中にLLMによる分岐や判定処理が含まれる、「ワークフローの中で自律型エージェントが動く」構造だ。

ワークフロー型エージェント

 この自律型とワークフロー型のどちらのアーキテクチャを採用すべきか。ポイントとなるのが「コンテキストエンジニアリング」だ。

 コンテキストエンジニアリングとは、LLMの処理がパンクしないよう、LLMに与える情報(コンテキスト)を最適化する手法である。同手法では、コンテキストの様々な構成要素を考慮する必要があるが、アーキテクチャに関わるのが「外部情報」だ。

 エージェントが外部情報を取得には、「エージェント自身が取得する」方法と、「事前にプログラムなどで取得して、その後にエージェントにインプットする」方法がある。この取得方法がそのまま、エージェントの選択につながるという。

 つまり、必要な情報をすべてエージェント自身が取得する場合は「自律型」になり、外部から必要な情報を与える仕組みにする場合は「ワークフロー型」になる。福地さんが構築したエージェントの場合、セキュリティチェックエージェントは、取得すべき情報が入力値によって異なるため自律型に、レポート生成エージェントは、取得するデータがある程度分かっているためワークフロー型を選択している。

外部情報を取得方法がアーキテクチャの選択につながる

 ここまで説明して、福地さんは、「アーキテクチャに最適解はない」とも強調する。「それでも現状の大方針としては、コンテキストをベースに考えつつ、エージェントに対して何をインプットして、どんなことをして、最終的に何をアウトプットさせるかを考えて定義していくのが大事」と説明した。

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