ロート製薬とMicrosoft MVPが語った「製品選択」や「棲み分け」の勘所
Power Platformとkintone ノーコード・ローコードツール“いいとこ取り”のススメ
2026年01月09日 09時00分更新
大企業での採用が多いMicrosoftの「Power Platform」でローコード開発を担う「Power Apps」と、中小企業だけではなく大企業にも利用が広がるサイボウズのノーコード・ローコードツール「kintone」。
どちらを導入するか迷っている企業もあれば、両ツールの使い分けに迫られている企業も存在するだろう。
サイボウズは、2025年10月末に年次イベント「Cybozu Days 2025」を開催。ロート製薬 DX/AI推進室の柴田久也氏と、BizOptimars 代表取締役社長でMicrosoft MVPでもあるりなたむ氏のセッションでは、両ツールを共存させるための勘所について語られた。
Power Platformとkintone “棲み分け”の勘所
最初のテーマは「Power Platformとkintoneは競合サービスなのか?共存できるものなのか?」だ。ここから触れる「共存」とは、目的や用途に応じて部署や部門でツールを使い分けている状態。「共創」とはツールを得意な領域に適用して、互いに連動させている状態を指す。
サイボウズ 小島雄一朗氏(以下、小島氏):まずは、この2つのツールがどういう関係にあるか聞かせてください。
ロート製薬 柴田久也氏(以下、柴田氏):ロート製薬では、kintoneとPower Platformが内包されている「Microsoft 365」を棲み分けて使っています。kintoneは、IT部門や非エンジニアの業務部門がアプリを内製開発する「業務改善プラットフォーム」として、Microsoft 365は日常の業務を回すための「ビジネスアプリケーション基盤」として位置付けています。そのため、弊社の場合は、「共存」もしくは「共創」させている形ですね。
りなたむ氏:私は、企業の内製開発を伴走支援する立場ですが、「共存」の形をとる顧客が多いです。特に多くの部署や子会社を抱える大企業では、Power Platformとkintoneを使い分けています。こうした企業も、共創まで進んで欲しいと思っています。
小島氏:最初は競合するものだと思っていたら、いつの間にか共存していて、最終的には共創を目指すというイメージでしょうか。
りなたむ氏:各部署がDXのためにそれぞれツールを利用し始め、統一されることなく、共存前提でルールも作られるという流れが多いです。
小島氏:具体的にどう棲み分けるかの勘所はありますか。
りなたむ氏:まず、会社がDXをしたくても、現場サイドは「なんで新しいレイアウト(UI)に合わせないとなんだ」と思ってしまいます。
小島氏:慣れ親しんだ紙が良いと。
りなたむ氏:「紙に合わせてくれないと困る」と抵抗する勢力は結構いますし、いずれにしてもレイアウトの大幅変更がDXの鬼門になるのは間違いないです。ただ、Power Appsには自由にレイアウトをカスタマイズできるキャンバスアプリがあります。
そのため、フロントである現場では、自身らに特化したアプリをPower Appsで作成する。バックエンドであるバックオフィスでは、日本の商習慣にあった仕組みをkintoneで作成するといった棲み分けが考えられます。さらに、公式のカスタムコネクタやCData Softwareの「CData Connect AI」などで、Power Appsとkintoneをシームレスにつなぎ、相互連携するシステム開発も可能です。
ライセンスの考え方も同じです。人員の変動が少ないバックオフィスはkintoneで堅実な運用で、雇用が増減しやすい現場はPower Appsで柔軟な運用(※)で最適化することで、ランニングコストを抑えられます。
※Power Appsでは、アプリ単位で利用できる「per App」プランや従量課金プランも用意されている
小島氏:Power Apps以外でPower Platformとkintoneの連携例はあるのでしょうか。
りなたむ氏:自動化ツールの「Power Automate」では、Delegation(委任)の設定ができるので「kintone×Teams」といった連携も可能です。BIツールの「Power BI」でkintoneのデータを分析したり、エージェント開発ツールの「Copilot Studio」でkintoneのMCP Serverと連動させて、部門横断の検索エージェントを実装することも可能です。
小島氏:ロート製薬での棲み分けも詳しく聞いてもいいでしょうか。
柴田氏:我々はトヨタ式カイゼンをリスペクトする形で、現場が自らの課題を改善する独自の「改鮮活動」に取り組んでいます。これは、弊社の文化である改善意識・自走意識が素地になっています。
こうした環境の中で、kintoneは市民開発のプラットフォームとして既に浸透しており、各プロジェクトのナレッジも蓄積してきました。そして、Microsoft 365は、ほぼ全社員が日々利用してため、親近感では優位性があります。
ただ、Power Platformは、通常業務を抱える現場がアプリ開発する上で、マニュアルひとつとっても英語がハードルです。一方のkintoneは自習コンテンツが豊富にあり、コミュニティも成熟しています。困った時に頼れる先人がいるという意味でも、kintoneが弊社にとっての最適解になっています。こうした“カルチャーフィット”をすごく大事にしているのです。
ツールを選定する方は、予算に収まっているか、サポートは信頼できるか、セキュリティは担保させているかなどはしっかりと比較すると思います。ぜひここにカルチャー、自社に合うかという観点を加えてみて欲しいです。











