生成AIの始め方、進め方、リスクを議論したCybozu Daysトークセッション
AI導入は「苦手業務」or「総務」から?大事なのは「強制」と「教育」? キーパーソンらが語る組織AI
2026年01月06日 07時00分更新
2025年10月末に開催されたサイボウズの年次イベント「Cybozu Days 2025」。本記事では、「組織AI」をテーマに、AI導入をどこから始めるか、リスクはなにか、どう進めるかが語られたトークセッションの様子をレポートする。
登壇したのは、kintoneのSIを手掛けるジョイゾー 代表取締役社長の四宮靖隆氏、ノベルワークス 代表取締役の満村聡氏、そして、BPOやDXサービスを展開するパーソルビジネスプロセスデザインの小坂駿人氏だ。モデレーターは、TECH.ASCII.jp 編集長の大谷イビサが務めた。
まずは、プロレスの入場シーンかのように4名が登壇。自己紹介からセッションが始まった。
ジョイゾー 四宮靖隆氏(以下、四宮氏):皆さん、AIって何の略かご存知ですか。アントニオ猪木です(笑) ジョイゾーはkintoneにフルコミットしたSIerで、「システム39」という対面開発サービスを主力としています。
ノベルワークス 満村聡氏(以下、満村氏):私の趣味は筋トレです。筋トレはAIが代わりにできないことのひとつです。ノベルワークスはAIをフル活用して、新しいエコシステムを再定義しようとしています。いかに新たな価値を見出せるかを問いかけたいです。
パーソルビジネスプロセスデザイン 小坂駿人氏(以下、小坂氏):パーソルビジネスプロセスデザインの小坂です。我々は業務プロセス全体でDX推進する「ゼロ化」というサービスブランドを立ち上げています。kintoneも活用し、セールスや採用、総務業務などをDXしています。
前段としてモデレーターの大谷は、現状のAI活用を「メールを書いてもらうなど、個人の業務改善にとどまっている」と指摘。これを仏教に例え、自分だけを救う「上座部仏教」的なAI活用から、みんなで会社を良くしていく「大乗仏教」的なAI活用、つまり「組織AI」へフェーズを移すべきというテーマを設定した。
AI導入どこから始める? “苦手な業務”それとも“総務”から?
「組織AI」への第一歩として、まずどの業務からスタートすべきか。この問いに対し、登壇者の意見は分かれた。
四宮氏:我が社では「自分が苦手な業務からAIに任せなさい」と伝えています。得意なものは人間がやり、例えばブログを書くのが苦手ならAIに任せる。「AIって便利だよね」という成功体験を得やすい入り方が良いと思います。
満村氏:我々は「総務部」からですね。総務部は会社の屋台骨を支えているとともに、めちゃくちゃビジネスの知識を持っています。ここをAIでスマートにし、マッチョ化させることができれば、ビジネスを分かっている人たちの手が空き、会社の次の動きを作り出せます。
小坂氏:四宮さん挙げた苦手な業務は「ストレスゾーン」、満村さんの挙げた総務部は「ボリュームゾーン」の領域だと思います。全社的にどう使っていくか、部門的にどう使っていくか。ボトムアップでやりたい人から始めるのか、トップダウンで効果が望めるボリュームゾーンをターゲットにするのか。それぞれ見極めが重要です。
AI導入のさまざまなリスク 最大の障壁は“活用人材”
次に議論はAI導入のリスクだ。「活用できる人材がいない」「精度が上がらない」「データがない」「セキュリティが不安」と、企業はさまざまな課題を抱えている。
四宮氏:「精度が上がらない」問題について、私は「AIはツールじゃなく、人だと思いなさい」と常に言っています。自分では雇えないような優秀な人に仕事を依頼している感覚です。100%の回答は返ってこなくても、7~8割の高度な回答が返ってくる。それを見て最終的に決断するのが人間の役割です。だから僕はAIとケンカしますよ(笑)
満村氏:僕もAIとめっちゃケンカします。そして、「ごめん、俺の指示が悪かったな」って謝りもします(笑)「データがない」問題ですが、むしろ今は揃ってきたのではないでしょうか。生成AIは自然言語が得意なので、今までの仕事のコミュニケーションをそのままデータ活用できる。むしろデータを用意するハードルはものすごく下がっています。
小坂氏:「活用できる人材がいない」はAI導入の“最大の障壁”です。AIは、コロナ禍のリモートワークツールのような圧倒的な強制力はありません。うまく使える人は使うが、使えない人は使うのをやめてしまう。組織で3割使われれば良い方で、「導入したけど使われない」というのは企業にとっても損失です。
AIをどう業務に組み込むか。特に「kintoneとAI」の相性についても議論が白熱した。
小坂氏:結論、kintoneとAIは非常に相性がいいです。RAG(検索拡張生成)を使う上でAIレディなデータを蓄積するための設計をノーコード・ローコードで構築できます。構造データだけでなく、非構造データも高いユーザビリティで蓄積できるプラットフォームは強いです。
満村氏:めちゃくちゃ相性はいいですね。kintoneは、私たちが日々会話している非構造データを構造化していくのにすごく向いています。文字起こしデータをkintoneに入れて、プロセス管理で承認しながら、業務データとして活用するといった流れは、AI活用の“良い入口”になると思います。
満村氏:加えて、AIは凄まじい速さでコードを書けます。そのおかげで、業務部門がプラグインのような拡張機能を使わなくても、AIでカスタマイズしたシステムを自ら作れる可能性も出てきました。
四宮氏:生成AIが登場した時、「ノーコードとコーディングの壁が一切なくなったな」と思いました。プログラミング知識がなくてもカスタマイズできるのは両者同じです。ただ、kitoneでアプリを作れるけど、プロにお願いしたいというニーズがあるのと同じで、AIで自作する人もいれば、プラグインを使いたい人もいる。選択肢が広がっただけだと考えています。













