あるギリギリのプロジェクトを救ったのは「熱意ある若手担当者」の育成だった
プロジェクトの推進役は社外のクライアントに任せるのが最強説 Backlogを社内外で定着させる秘訣
ギリギリのプロジェクトを救った“熱意ある若手担当者の育成”
それでは、クライアント側のメンバーからバックログスイーパーの適任者を見つけるにはどうしたらよいのか。金子氏は、自身の経験談を交えながらその方法を紹介した。
まず、前提として「クライアント全員」を動かそうとしないことが大事だ。「確実にBacklogを使ってくれそうな人」を1人見つけ、「Backlogを広げる起点」を作ることが最優先になる。
では、その1人はどう見つけるのか。金子氏は「性格」ではなく「行動」を見るべきだと語る。たとえばそれは、メールやチャットのレスが早く、質問や依頼にもすぐ回答・対応してくれるような人だ。関係者や部署を巻き込み、口頭よりもテキストで伝えてくれる人であればなお良い。こうした条件を多く満たすのが「バックログスイーパーに向いている人」である。
そして、発見した適任者を徹底的に“味方”にしていく。「実はこれが一番伝えたいことで、なかなかできる人がいない」と金子氏。具体的には、Backlogの導入目的やメリット、使用イメージなどを1on1で丁寧に説明し、伴走しながら操作も覚えてもらう。なによりも「Backlogを使ったほうが良い」と実感してもらうことが重要だという。
金子氏が実際にクライアントからバックログスイーパーを見つけたのは、ある“ヒヤヒヤもの”のプロジェクトだったという。Webサイトのリニューアルに伴い、付随するシステム開発、関連する2サイトのCMS移管を、わずか“納期3か月”で完遂しなければならない案件だった。
加えて、そのクライアントは紙文化が根強く、チャットツールなどを利用していなかった。金子氏が一番危険視したのは、Webサイトのワイヤーフレーム(設計図)を「PDFで印刷して確認したい」と言われたことだ。「コミュニケーションコストが高すぎる。このままでは絶対納期に間に合わない」と確信した。
ただ、幸いだったのが、若い担当者のレスポンスが早く、関係者の取りまとめにも積極的だったことだ。金子氏は、「熱量のあるこの担当者なら、Backlogを使う意義を感じてくれるのではないか」と、バックログスイーパーになってもらうことを決断した。
そこからは担当者に、デモを交えながら、膝詰めでBacklogのメリットを説明。クライアント側にはコスト負担が発生せず、セキュリティ面でも問題がないことも後押しとなって、プロジェクトでのBacklog利用が決定した。
その結果、PDFの提出は不要となり、すべての確認・修正はBacklog上で完結。クライアント側が使い始めたため、当然、社内コミュニケーションもBacklogへ集約された。短い納期ながらも無事公開・納品でき、バグや修正もほとんど発生せず、「万歳三唱」で終わるプロジェクトになったという。
金子氏は「適任者を見つけて育てるという手法は、難しいことではなく、他の案件にも応用できる」と手ごたえを得た。育成に必要なものは3つ。ひとつは、Backlogのメリットがわかる資料。そして、Backlogのデモ環境。最後に、「本気でBacklogを使って欲しいという気持ち」だ。
金子氏は、「Backlogやプロジェクトを動かすのはあくまで“人”。クライアント側にバックログスイーパーを作る意義はあらゆる面で大きい。まずは、行動を見ながら適任者を見つけ、Backlogを使う意義・メリットを本気で伝えて欲しい」と締めくくった。



