大規模システムの複雑なUIをカスタマイズビューで解決(ACSHU)
3番手はSIベンダーACSHU(アクシュ)のACSHU 百済玲男さんと岡部令さんによる「kintoneで挑んだ大規模システム構築!」だ。
ACSHUは4年前、DXを前提とした大規模なシステムのリプレース案件を担当したという。プラットフォームはすでにkintoneに決まっていたが、リプレース元はWindows系の項目がすさまじい数のシステムだった。「中を開けてみると、なんと30年も運用していた販売管理システム」とのことで、テーブル数は1000、機能数は500、データレコードも圧縮状態で20GBを超えるという。
「これほど大規模で、複雑な要件をkintoneで実現できるのか。最初は困難だと思いました」と百済さんは振り返る。これだけ複雑なシステムをkintoneの標準機能で開発すると、項目が多すぎて、見切れてしまう。レコードを複数選択し、まとめてアクションを行なえるようにもしたい。この困難な課題にACSHUはkintoneカスタマイズビューを最大限駆使し、約3年をかけてシステム構築を完成に導いたという。
新しい販売管理にシステムは一見するとkintoneに見えない。上段ではよく利用する項目を検索できるようにし、下段に見やすいレイアウトで検索結果を配置。各レコードにはチェックボックスが用意されているので、複数のレコードを選択して、まとめてアクションを行なうことも可能だ。
デモでは納品書を2件検索し、一括読み込み機能で表示する様子が披露された。紙の納品書に記載されたバーコードを読み込むと、2件が検索可能。チェックボックスを複数選択し、まとめて納品書を作成することもできる。さらに販売先のリンクをクリックするとマスターが表示されたり、Amazon QuickSightを用いた販売分析も可能になっている。
「kintoneカスタマイズビューを駆使することで、複雑な要件もクリアできました。kintoneの可能性、柔軟性をお伝えできたと思います」と百済さん。2024年にシステムは入れ替え、大きな問題なく1年が経過し、顧客であるオリエント4C'sからは「もっとも優れた仕組み構築大賞」という感謝状までいただくことができたという。「kintoneで大規模システムに挑む決断の後押しになれば幸いです」と聴衆にアピールした。
「ユーザーからの変な問い合わせ」でいいモノできた(シダックス志太さん)
4番手のシダックスの志太 悠真さんは、「kintoneを完璧に使いこなしている人!」と聴衆に問いかける。使いこなしている人というと、さすがに数は少ない。「うちもそんなに使いこなしていないです。kintoneってなんだろうとイメージがついていない方も多い。使いこなすと、変なことに使い始めたりします」とボヤく志太さん。
そんなシダックスでは、アプリは申請制にしており、志太さんの所属する情報システム部で確認やアドバイスを行なっている。しかし、そんな体制でも完璧に使いこなすのは難しい。申請制ということで、利用部門からは「PDFを加工したい」とか、「Google Authenticatorがほしい」といったよくわからない依頼が来る。「意味がわからん」と志太さんはボヤく。
「Authenticatorなんてkintoneでやってどうするんですか?」と志太さん。しかし、社用スマホなくても使えるし、部内での共有も簡単になり、特権アカウントも安全に共有できる。「あれ?便利じゃん」ということで、志太さんはkintone Authenticatorを作ってしまった。認証アプリをインストールし、QRコードをスキャンし、認証アプリで生成された6桁の確認コードを入力すればログインは完了。
パソコンだけではなく、スマホでも利用可能。Google Authenticatorと同じことがkintoneでも実現できた。けっこういいものができたので、アプリとソースコード一式まで公開。志太さんは「完璧に使いこなすなんて、そもそも無理。みなさんは変な問い合わせを受け続けます。ただ、『そんなアホなこと言うんじゃないよ』という言葉をグッとこらえて、やってみてください」と会場にメッセージを送った。












