Cybozu Days 2025で開催されたkintoneのカスタマイズコンテスト「kintone hack 2025」。今年は7組のチームが予選を勝ち抜き、幕張メッセ会場の本選に臨んだ。制限時間は6分で、デモはすべて実演のみ。今年は過去に見られないほど実用度の高いカスタマイズが多く、聴衆を驚かせた。
数理最適化をkintoneに埋め込んで拡がる世界(フリグラム)
トップバッターのフリグラムは、「数理最適化で、kintoneを『記録する場所』から『答えを出す場所へ』」というタイトルで、フリグラムの宮下雄さんと藤田拳さんがプレゼンを披露した。
5.5メートルの鉄パイプを掲げた宮下氏。このパイプを切断し、必要なサイズを無駄なく切り出すには、どうしたらいいか。3本のパイプから長いサイズを切り出すと、1本分の廃材が出てしまう。しかし、フリグラムの数理最適化モデルで算出すると、必要なパイプを無駄なく切り出すための切断計画が指示され、1本分まるまる使わなくて済む。これが数理最適化の威力だ。
このシステムでは切断データの入出力を行なうkintoneをフロントエンドとし、バックエンドのAWSが橋渡しとなって、数理最適化エンジンに処理を依頼し、算出した切断計画をkintoneに掲出するようになっている。
kintoneには素材と規格の長さを登録した素材マスタ、鉄やステンレス、アルミなどの必要部材リストが用意されており、必要部材を入力すると切断計画が得られるようになっている。実際のデモも披露。最適化された切断計画では、材料効率は96.1%を実現し、かかるコストや実行時間も算出される。指示書ではどの素材を何ミリで切断すればよいかが記載されている。
もう1つの数理最適化の事例で披露されたのが、病院や看護師向けのシフト管理の最適化だ。こちらも3つのアプリで構成されており、30人の従業員の休み希望、日勤・夜勤で必要な人数、そして連勤数や休みのルールなどの制約条件を登録する。これを元にシフトの最適化していくと、連勤や夜勤の制約はクリアしたものの、一部で欠員が発生することがわかった。これを人手で調整すればシフト管理が可能になる。
宮下さんは、数理最適化によって、配送ルートや生産計画、在庫配置の最適化などができると説明。「kintoneが答えを出すプラットフォームになる。数理最適化で数理最適化で、kintoneを『記録する場所』から『答えを出す場所へ』。ご静聴ありがとうございました」と結んだ。
kintoneユーザーの行動と声を可視化する「kingegement」爆誕(エビフライスラッシャーズ)
2組目のエビフライスラッシャーズは田中幹也さん、植田剛士さん、中西さやかさん、管原百世さんなど、kintone hive登壇者などから構成。まず植田さんは「kintoneの主役は、そうユーザーであるみなさんです。そんな本質に触れる5分間のお話しです」と頭出しし、とある会社のとある会議という設定で寸劇をスタートさせる。
kintoneの利用者数がわからず、「今日の会議も平行線やなー」と困る植田さん。そこに登場したのが、kintoneユーザーのアクセスを解析する「kingagement(キンゲージメント)」だ。まずはGoogle Analyticでアクセスを解析し、kintone標準機能でグラフを作るだけ。「スレッドの投稿数やいいねの数など、標準のAPIが公開されていないデータも取得できるところ」と中西さんは説明する。
スレッドの投稿やいいねの数を集計すると、植田さんはアクティブなユーザーではない。しかし、滞在時間を見ていると、植田さんはスレッドをねっとり閲覧していることがわかる。「利用を推進するためには、こうした隠れフォロワーみたいな人を見つけ出すことが重要」と中西氏は語る。
もう1つの「声の可視化」。「アンケートでユーザーの声を集計したものの、数が多すぎて集計が大変!」という管原さんの声に応え、中西さんはkingagementのブロードリスニング機能を披露する。ブロードリスニングは大量の声をAIでダイジェスト化する機能で、意見の傾向ごとにクラスター分析としてグラフ化したり、要約を見たり、各意見を拾うことができる。「ユーザーの声って、集めた後に分析するのが大変なので、めちゃいいっすね」と田中さん。
そして、kingagementで集計した行動と声を掛け合わせると、kintoneの担い手を増やすことができる。たとえば、声が少なくても、アクセスが多い場合は、投稿をになっているユーザーがどこかにいるはず。「みんなの行動と声に耳を傾けることで、エンゲージメントを最大化する。これがkingagement」と田中さん・中西さん。「技術をどう使うかが大切です」と植田さんはまとめた。













