先月、9月6日に「生成AIなんでも展示会」という展示会が開催された。
生成AIにまつわる制作物をパソコン1台という気軽さから展示していい、という展示会だ。
筆者は都合が付かず行くことができなかったのだが、仲間と共に制作しているプロジェクト名義で出展をした。
「うちゅうじんは競馬がしたい!」というAITuber(AIで動くVtuber)のプロジェクトである。
今回は「うちゅうじんは競馬がしたい!」というコンテンツについて説明していきたい。
▲「うちゅうじんは競馬がしたい!」の自己紹介動画
AITuberが競馬予想 「うちゅうじんは競馬がしたい!」とは
「うちゅうじんは競馬がしたい!」は競馬予想をするAITuberである。
AITuberのよくある難点として、「タスク」が無い、というのが挙げられる。「タスク」なしで面白い配信をするのは難しい。
Vtuberはゲーム配信をしたり、歌をうたったり、「タスク」をこなしながら雑談をすることで、長時間の配信をすることができるのだと思う。
しかしAITuberはゲーム配信や歌配信をするのが難しいことが多く、コメント返しが主な配信になりやすい。面白いコメントがない限り、面白い配信をクリエイター側でコントロールするのが難しいというのが実情だ。
もちろんゲーム配信や歌配信にチャレンジしているAITuberもいる。その分野の技術の発展には期待したい。
AITuberに“タスク”を与える――競馬予想という仕組みづくり
「うちゅうじんは競馬がしたい!」では工夫を2つしている。
まず、競馬予想というタスクをAITuberに与えること。
競馬は地方競馬も合わせれば毎週末行われており、毎週予想するタスクが生まれる。毎週競馬の予想について話せば、話題が尽きることがない。
次に、3人のAITuberでわちゃわちゃ話すこと。1人のAITuberだとコメント欄のユーザーとの会話になってしまうため、ラグも生まれるし会話の内容をクリエイター側がコントロールしづらい。
AITuber 3人で話すことによって、ラグも生まれにくいし会話の内容をコントロールしやすい、という寸法だ。
生配信に向けて進化中、展示会でのテスト配信も実施
「うちゅうじんは競馬がしたい!」では、まだ動画の配信のみを行っている。生配信で面白くなるように設計を考えてはいるものの、まだ生配信はしていない。
しかし、生配信に向けてチャレンジは行っている。先日の「生成AIなんでも展示会」では会場で生配信のテストを実施した。
筆者は会場に行けず、見られていないのだが、だいぶ面白い配信になったようだ。
読者の皆様も是非、生配信をするようになったら、参加してコメントをしていただきたい。
▲「うちゅうじんは競馬がしたい!」の最近の競馬予想動画
フルオートで動くAITuberたち 人の手をほぼ使わない制作
いま配信している動画では、
・雑談パート
・今週末の競馬の注目ポイント
・今週末の競馬の3人それぞれの予想
・まとめ
という流れで動画を作っている。
動画で使われているAITuberたちのセリフや動き、声やテロップはフルオートで作られており、ほぼ人間の手は入っていない。
先ほどはAITuberの難しい点を挙げたが、逆に、AITuberの利点もあると考えている。
VTuberは主にLive2Dのトラッキングを使うため、表情を漫画のように表現するには、切り替えスイッチを巧みに使う必要がある。
しかし、AITuberでは、フルオートでセリフや動きを表現するため、漫画のような表情をコロコロと表現することができる。
またさらに、VTuberでは難しい、何人か並んだときにしゃべっている人の方を向く、という動きができる。
3人でしゃべっているこの雰囲気はAITuberならではだと思う。
リアルタイムで動くテロップと表情 AITuberならではの演出
また、VTuberでは、リアルタイムでテロップを出すのが難しい。テロップは、切り抜き動画でしか見ないのではないだろうか。
AITuberの場合は、テロップもフルオートなため、配信でもテロップを出すことができる。さらに、喋りの感情に合わせて文字のフォントを変えることもできる。
AITuberならではの、リアルタイムにリッチな画面が作れるというのは、今後生配信になってきたときに生きてくると思う。
3人の宇宙人AITuber、性格も予想スタイルも三者三様
競馬の予想については、3人とも個性、というか軸がある。
左のオレンジ色の「コスモ」は血統重視。
真ん中のピンク色の「メテオ」は名前と勘重視。
右の紫色の「ネビュラ」は穴馬狙い。
今のところ、オレンジ色の「コスモ」がさすがに血統重視なだけあって、勝っている。
……というかコスモしか勝っていない。
筆者も「うちゅうじんは競馬がしたい!」の競馬予想を参考に馬券を買うときは、コスモを参考にしている。おかげで何度か勝っている。
「うちゅうじんは競馬がしたい!」のAITuberたちは宇宙人という設定だ。
宇宙人が地球に来たところ、競馬に魅せられてしまった。
宇宙人たちはお金ではなくにんじんを掛けている。
お金を掛けさせるのはちょっと生々しいというのも理由の一つだが、宇宙人たちのストーリーは実は結構細かく作り込まれているので、今後の展開を楽しみにしていただきたい。
AITuberは“タレント”ではなく“コンテンツ”

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