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「Zoom AI Companion 3.0」が登場 エージェンティックAIへの進化を掲げる
「Zoom AI Companion」が3.0に、エージェンティックAI基盤への進化を図る
AI Companion 3.0(以下、AIC 3.0)を中心に、これからリリース予定の最新機能群を紹介したのは、Zoom CPO(最高製品責任者)のスミタ・ハシム氏だ。
Zoomでは、2023年のAIC 1.0でWeb会議の自動要約やネクストステップのまとめ機能を、2024年のAIC 2.0で重要な情報の抽出やタスクの優先順位付けといった生成AI機能を実現してきた。ハシム氏によると、この1年間でAICのアクティブユーザー数は4倍に増加したという。
そして、今回のAIC 3.0で実現するのが、AIがより自律的にタスクを実行する「エージェンティックAI」の機能群だ。
エージェンティックAI/AIエージェントに関しては、現在さまざまなベンダーが、その中心となるプラットフォームの座を得ようとしのぎを削っている。ハシム氏は、Zoomプラットフォームが「豊富な会話データを持つ」「オールインワンで従業員と顧客のライフサイクル全体をカバーする」「さまざまな外部システムとオープンに連携する」ことから、AIの実装に適した環境であると強調する。
ユーザーに代わってAIエージェントが自律的に行動するために、ZoomのエージェンティックAIでは、ユーザーの好みやふるまいを継続的に学ぶ「記憶力」、複雑な状況を分析する「推論力」、目的に適したツールを使う「タスク実行力」、そして複数のスキルやエージェントを統合管理する「オーケストレーション力」という、4つの力を備えるという。
AIC 3.0のフレームワークは、「モデル」「スキル」「エージェント」の独立した3レイヤーで構成されている。モデルレイヤーでは、ZoomのLLM/SLMだけでなくサードパーティー製モデル、ユーザーが独自構築したモデルも選択できる。スキルレイヤーでは、上述した“4つの力”を用いて、AIC 3.0で新たに「エージェンティックリトリーバル(エージェント主導型の自律的情報取得)」や「コンテンツ生成」のスキルが追加されている。こうしたスキルを組み込むかたちで、ユーザーがさまざまなタイプのエージェントを実行/カスタマイズできる仕組みだ。
AIC 3.0が提供する高度かつ多様なAIエージェントのスキル
ハシム氏は、このAIC 3.0で実現したいくつかの新機能(スキル)を紹介した。いずれも今後、2025年の後半に提供開始される予定だ。
たとえば「Note-taking with AIC(AICによるメモ作成)」は、会話中のリアルタイムなメモ作成をAICが自動化してくれるスキルだ。Zoom Meetingsだけでなく、Microsoft TeamsやGoogle Meet、Cisco WebExといったサードパーティー製のWeb会議ツール、さらには対面での会話にも適用できる。さらに、ユーザー自身がメモを書き加えることで、AIエージェントは会話の文脈をより良く理解するようになるという。
「Free up my time(時間を解放する)」は、会議予定が詰まっているときに、参加する重要度の低い会議を抽出してくれるスキルだ。参加をキャンセルすることで、ほかの業務を行う空き時間が確保できる。参加重要度の低い会議は、たとえば「過去に参加したものの、一度も発言や言及がなかった」といった、過去の会議履歴から判断されるという。また、参加しなかった会議についても、後からAICによる要約や、前回会議からの情報アップデートなどを受け取ることができる。
営業支援機能である「Zoom Revenue Accelerator」でも、エージェンティックAIによるプロスペクティング(潜在顧客の発見)スキルが紹介された。これまでの顧客とのやり取りから、成約につながりそうな見込み顧客の優先順位を付けて、アポイント(会談の予約)を取り付ける。こうした一連の作業を、AIエージェントが自動化してくれるという。
AIC 3.0では、コンテンツ生成機能も拡張されている。たとえば「Writing Assistance(ライティング支援)」スキルは、会議やチャットでの議事録、テンプレートなどを参照して、エグゼクティブサマリー、プロジェクト目標、成果物などを整理したかたちでプロジェクトの計画書などを自動作成してくれる。この計画書は静的なものにとどまらず、プロジェクトの進行や追加の議論に応じて動的に、タイムラインの更新や目標の修正、関係者の追加といった修正も行われるという。
AIC 3.0への進化によって、AICの活用がより日常的で頻繁なものになると考え、ZoomではAICの操作画面(プロンプト入力画面)を中心に据える形に変更する。これまで「Zoom Workplace」アプリでは、AICをサイドウィンドウに表示していたが、それをホーム画面の中央に配置する。また新たに、WebブラウザからAICを直接呼び出すことも可能になるという。
ハシム氏は最後に、AIC 3.0においても引き続き、Zoom Workplace有料プランの契約者には「追加コストなし」でコア機能が提供されると説明した。また、プレミアム有料サービスの「カスタムAI Companion」も、AIC 3.0に合わせて機能強化されるという。
なお、Zoomtopia日本版およびZoomtopia基調講演は、イベント公式サイトからオンデマンド配信で視聴することができる。








