業務効率化にとどまらない改革を目指し、Oracleのクラウド型ERPを採用
「経理の質は経営の質を決める」 SMBCグループは経理業務改革で“90％自動化”目指す
2025年09月22日 09時00分更新
深刻な人材不足が進むなか、業界全体での経理業務改革を訴え
最後に山本氏は、将来への展望について語った。
従来の内部統制では、人が正しく操作しているかどうかを監視することに主眼が置かれてきた。しかし「AIやRPAで業務の90％以上が自動化される時代になると、人の操作を逐一チェックするような、従来型の統制は現実的ではない」と、山本氏は指摘する。
その代わりとして「仕組みそのものが正しく設計され、意図通りに稼働しているか」を継続的にモニタリングする、新しいIT統制モデルが重要になると予想する。「統制の単位は『人』から『システム・プロセス』へ移り、統制のタイミングは『事後』から『リアルタイム』に変わる」と説明した。
SMBCグループでは、自社の経理業務改革を広い視野で捉えている。「今後、急速な労働人口の減少に直面する日本において、経理や会計といったミドルバック業務の人材不足は深刻な状況になる。労働生産性の改善は、国際競争力を磨き上げるためにも急務」と山本氏。そのうえで、「AIなどを前提に設計された経理会計プラットフォームを、定型業務は自動化し、人は高度な分析やリスク判断に専念するという形で活用できれば、労働生産性の改善に寄与する」と展望を語る。
そのうえで「経理業務は競争領域ではなく非競争領域。標準化されたプラットフォームを皆さんと一緒に作ることでシステムコストを抑制し、ミドルバック業務の改善につなげたい」と、業界全体での協力を呼びかけた。
