AIエージェントの強化、セキュリティ強化の「Box Shield Pro」など ― 「BoxWorks 2025」レポート
Boxが年次イベントで多数の新発表 非構造化データ活用の課題を生成AIで解決
2025年09月17日 07時00分更新
「AI領域」と「セキュリティ領域」で多数の新機能を発表
今回のBoxWorksでは、大きく「AI」と「セキュリティ」という2つの領域で新発表があった。
まずAI領域では、企業の文書処理、業務プロセスに関連する3つの新機能がある。
1つめは、非構造化データから構造化データを抽出する「Box Extract」だ。企業が保有する膨大なドキュメント(非構造化データ)から、高精度に構造化データを抽出するというもので、法的契約書、マーケティング素材、請求書、融資関連文書など、あらゆる形式のコンテンツに対応する。
AI関連の新機能について発表したケラシュ・クマー氏によると、Box Extractの特徴は「高度な推論モデル」にあるという。たとえば契約書をsy利する場合は、意味の推論によって契約書の条項を特定し、反復的な推論で判断ベースでのレコメンドを行うという。書類内にある「開始日」と「契約期間」の情報から「終了日」を計算するなど、複雑な処理も行える。
早期導入顧客である金融・保険業のValmark Financialでは、AIによる自動化で、従来の60倍となる25万データポイントの抽出ができるようになるといった成果が得られているという。
2つめは、抽出したデータを使って業務プロセス全体を自動化する「Box Automate」だ。ドラッグ&ドロップでワークフローを構築し、文書の検証、リスク評価といったタスクを並行で処理したり、必要に応じて人によるチェックプロセスを組み込むこともできるという。
3つめは、ノーコードでアプリを構築できる「Box Apps」の機能拡張だ。自然言語によるコンテンツビューのフィルタリングや分類が可能になったほか、チャートやグラフなどのかたちでデータを動的に可視化したり、複数のダッシュボードを作成したりできるようになった。
基調講演のデモでは、小売事業者がBox Extractを活用し、書式の異なる数十万件ものベンダー契約書に対して情報抽出を自動実行して、契約管理の作業負荷を軽減する様子を披露した。さらに、抽出されたデータをビジュアライズするBox Appsを構築し、「カリフォルニアにある、ホームフィットネス製品を取り扱うベンダーは?」などと、自然言語で検索を行うシーンも見せた。
そのほかAI領域では、検索エージェントの「Box AI Search Agent」、大量のコンテンツ分析をエージェントが支援する「Box AI Research Agent」なども発表した。また、カスタムエージェントの構築などAIをカスタマイズできる既存機能「Box AI Studio」では、ビルド体験の簡素化、ナレッジの追加などの強化を発表した。
AIにおけるオープンプラットフォーム戦略のひとつとして、新たにMCPサーバーの提供も開始している。これにより、外部のAIエージェントが、Boxに保存されたコンテンツにアクセスできるようになる。
セキュリティ領域では、既存のセキュリティ機能「Box Shield」を強化した「Box Shield Pro」が発表されている。分類エージェント、脅威分析エージェント、ランサムウェア活動検知ツールという3つの主要機能を統合し、コンテンツの識別から脅威対応まで、セキュリティ運用の全ての工程をAIエージェントで支援する。
たとえば分類エージェントは、これまで70億ファイルを分類してきたBoxの実績に基づいて、文書内容とトピックの理解、作成者や共同作業者などのコンテキストの分析、漏洩した場合の潜在的な影響を評価し、適切な分類を行うという。現在はアクティブベータ版として提供しており、数カ月以内には一般提供(GA)を予定している。









