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rakumo×AvePointが「rakumo for Microsoft 365」を提供開始

Google WorkspaceもMicrosoft 365も“使いやすく” 新「rakumoシリーズ」でAvePointが開発提携

2025年09月11日 11時45分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 日本のグループウェア市場で存在感を放つ「Microsoft 365」と「Google Workspace」。今後も利用拡大が見込まれる一方で、商習慣や文化の違いから、日本企業にとっては使い勝手や機能面の課題も存在する。そうしたギャップを埋める国産サービスのひとつが、rakumoがGoogle Workspace向けに提供するアドオンSaaS「rakumo」シリーズである。

 このrakumoシリーズを、新たにMicrosoft 365向けに展開する「rakumo for Microsoft 365」が、2025年9月1日より提供開始された。ただし、開発したのはrakumo自身ではなく、Microsoft 365のアドオンSaaSで実績を有するAvePoint Japanだ。

 周りの企業も「驚きだった」という、両社の提携やサービス開発の経緯が、両社社長が登壇したパートナー企業向けのイベントで語られた。

パートナー企業を招いた「rakumo for Microsoft 365」提供開始記念イベントが9月8日に開催された

日本企業に最適化された「rakumo カレンダー」「rakumo コンタクト」がMicrosoft 365に進出

 「rakumo for Microsoft 365」は、Google Workspaceの利用をより楽にする「rakumo」シリーズを、Microsoft 365向けに仕立て直して提供するものだ。

 rakumoシリーズは、業種・規模を問わず様々な日本企業に導入されており、現在の契約企業数は2500社、ユーザー数は120万を超える。Google Workspaceに足りない機能を補完するサービスを取り揃えており、誰もが直感的に使えるUIが評価され、継続率は99%を維持しているという。

Google Workspaceに足りない機能を補完する、rakumoシリーズ

 しかし、IT戦略上の様々な理由から、グループウェア自体をMicrosoft 365に切り替える企業も一定数存在する。これまでrakumoでは、そうした企業に提案できるソリューションを有していなかった。そこで、新たに展開するのが、AvePoint Japanが開発するrakumo for Microsoft 365である。

 9月から提供を開始したのは、「rakumo カレンダー for Microsoft 365」と「rakumo コンタクト for Microsoft 365」だ。ユーザー画面だけではなく、管理画面のUIも本家rakumoと同じで、プラットフォームによる違いは一部あるものの、同等の機能を備えている。

 rakumo カレンダー for Microsoft 365は、多くの日本企業が採用する“階層型組織”に合わせてデザインされた、スケジュール管理ツールだ。誰もが直感的に使えるシンプルなUIと、スケジュールの確認・調整のストレスを解消する階層型のアドレス帳が特徴だ。

シンプルで直感的に使えるUI

 階層型のアドレス帳では、予定確認やスケジュール調整時に、所属部署が可視化された状態から対象メンバーを直感的に見つけることができる。同期や部署横断のプロジェクトチームなど、よく使うグループをユーザー独自にカスタマイズすることも可能だ。

 予定の作成時には、グループメンバーを一括登録でき、メンバーや会議室を横断した空き時間も、視覚的に表示してくれる。

複数人のスケジュール管理もスムーズに

 もうひとつのrakumo コンタクト for Microsoft 365は、誰でも迷うことなく使えるようデザインされた、社員名簿として管理できる共有アドレス帳である。社員情報や取引先情報をクラウドで一元管理するため、社員が個々でアドレス帳を作成する必要がなくなる。

 Entra IDにはないカスタム項目も追加でき、社員番号や担当領域、保有資格、雇用形態などをひとつのUIで把握できる。rakumo カレンダーとも連携可能だ。

誰でも迷うことなく使える全社共通のアドレス帳

 両サービスは、Microsoft 365とリアルタイムに連携する。Teamsにもアプリを追加可能で、スマートフォンに最適化したUIも用意している。rakumo カレンダー for Microsoft 365は、1ユーザー当たり月額300円(税別)、rakumo コンタクト for Microsoft 365は、1ユーザー当たり月額200円(税別)で提供され、販売はAvePoint Japanとrakumoの両社が担う。

“渡りに船”だった、強みが異なる両社の出会い

 このrakumo for Microsoft 365は、rakumoとAvePoint Japanの業務提携により生まれている。AvePoint Japanは、米AvePointの日本法人であり、Microsoftのグローバルパートナーとして、Microsoft 365の悩みを解決するデータガバナンスソリューションを展開している。

 これまで、Microsoft 365とGoogle Workspaceという異なる市場でユーザーのギャップを埋めるサービスを展開してきた両社が、なぜ提携に至ったのか。AvePoint Japanの代表取締役である塩光献氏は、「パートナーも(本提携を)びっくりしていた」と前置きしつつ、「もともとrakumoは、(AvePointの)Salesforce向けバックアップ製品の顧客だった」と振り返る。

AvePoint Japan 代表取締役 塩光献氏

 きっかけは、最高戦略責任者である川鍋宏一郎氏が、新たな事業を模索する中で、顧客リストからrakumoを発見したことだ。当初は、「隣の芝はどれくらい青いか」(塩光氏)という軽い気持ちで情報交換の機会を持ちかけたが、rakumoがMicrosoft 365市場に興味を持っていることを知り、両社で勉強会や交流会を重ねていった。

 そして、お互いに理解を深める中で、両社にシナジーがあることが明確になったという。「我々もエンドユーザーにより近い事業に挑戦するために、実際にアプリケーションも作ったりしたが、なかなか上手くいかず、突破口を探っていた」と塩光氏。

 一方、rakumoの代表取締役社長 グループCEOである清水孝治氏も、自社の成長を描く中で、「日本で存在感が強いMicrosoft 365市場にrakumoを展開するのが一番の近道なのでは」と考えていた。しかし、Google Workspaceに習熟しきった同社のエンジニアが、Microsoft 365向けにいちから作り上げるのでは時間がかかってしまう。そのため、AvePoint Japanとの提携は“渡りに船”だったという。

rakumo 代表取締役社長 グループCEO 清水孝治氏

 とんとん拍子に話が進み、2025年1月には業務提携が決定。その後、4月からrakumo for Microsoft 365の開発が始まった。rakumoがAvePoint Japanにノウハウを提供しつつ、開発は急ピッチで進み、9月のサービス提供開始に至っている。

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