「24時間つながる自治体窓口」を目指し、グラファーの電話応答サービスを活用
急増するマイナンバーカードの問い合わせ 北九州市がAIエージェントで応答自動化の実証実験
2025年09月04日 16時30分更新
市民ニーズと地域課題が複雑化し、適切な公共サービスの提供が困難になっている現在、身近な行政窓口である電話応対においても深刻な課題が発生しているという。市民からは「電話がつながらない」「担当者が代わるたびに何度も同じ説明を繰り返す必要がある」といった声が寄せられる一方で、自治体職員は頻繁な電話応対により業務効率が低下してしまう。
こうした課題を解決すべく、福岡県の北九州市とグラファーは、マイナンバーカードに関する電話問い合わせの対応をAIで削減する実証実験を開始した。実証実験に用いられるのは、グラファーが提供するAIエージェントを活用した電話応答サービス「Graffer AI オペレーター」だ。
これまでグラファーは、AI自動音声応答サービス「Graffer Call」により、京都市や福岡市を含む様々な自治体における電話応対の課題を解決してきた。その知見をもとに、より自然で柔軟な対話を実現する、AIエージェントを活用したGraffer AI オペレーターを開発している。
北九州市との実証実験では、小倉北区役所の市民課市民係に寄せられるマイナンバーカードに関する電話問い合わせ対応を対象とする。市民課市民係には、月間で約3400件の電話が寄せられ、その約半数がマイナンバーカード関連の問い合わせという状況だった。
これらの問い合わせの約70%を「Graffer AI オペレーター」により自動応答し、AIでは応答困難な質問やマイナンバーカード以外の問い合わせは、従来通り職員が応対する体制をとる。これを通じて、AIオペレーターの自然な対話の実現度合いを含む応対品質と回答精度を検証する。
北九州市は、実証実験を通じて職員による電話応答件数を35%削減することを目指しており、AIエージェントによる自動応答の通年化や対象業務の拡大も見据えている。同市は、「今回の『Graffer AI オペレーター』の導入により、AIを活用した職員の負担軽減と24時間365日つながる新たな行政窓口の実現を期待しています」とコメントしている。


