IoT開発におけるセキュリティ設計の基礎を学べるIPAのガイド
IoTシステムの設計フェーズで特に検討すべきことを網羅したガイドとしては、IPA(情報処理推進機構)の「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」があります。前述の経産省ガイドは“経営者を含む全社向け”のものでしたが、こちらは“設計者/開発者向け”の技術的指針です。
○IPA(情報処理推進機構)「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」(2024年3月版)
具体的には、IoTのセキュリティ設計手順(5ステップ)の解説のほか、国内/海外で公開されているIoT関連セキュリティガイドラインの紹介と整理などを行っています。ただしこの手引書は、指針として基礎的、概論的な内容にとどまっており、より具体的に「この対策を実施すべき」といったガイダンスはありません。そのように深掘りできない理由は、一口に「IoTシステム/IoTデバイス」と言っても、適用分野によってまったく異なる技術要素で構成されるからです。
たとえば、この手引書で「脅威分析と対策検討の実施例」として掲載されている5領域(デジタルテレビ/ヘルスケア機器とクラウドサービス/スマートハウス/コネクテッドカー)のシステム構成、発生しうる脅威の図版を見比べると、検討すべきポイントがそれぞれまったく違うことが分かります。
したがって、この手順書をIoTセキュリティ設計の“基礎編”として読み、適切な設計手順を理解したうえで、IoTの適用領域/業界ごとのより具体的なガイドラインやベストプラクティスを学んでいくという方針がよいでしょう。上述したとおり、この資料には国内/海外のガイドラインが多く掲載されていますので、ここからたどるのが近道のひとつだと思います。
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