「ごみコンテナの監視」「トレーラーの自動測定」「省エネ体質改善」まで3社の開発ストーリー
「目と脳を持つロボット」を手に入れる!試して実感したSORACOM Fluxの可能性
GRIFFY:営業主導で作られた“トンネル内の車両計測”と“豪雪地帯の除雪判断”の仕組み
2番手に登壇したのは、建設業界向けにDXソリューションを展開するGRIFFY。披露されたのは、顧客の要求に即座に応えた、営業担当が主導で構築した2つのFluxアプリだ。
同社の都鳥真也氏は、「現場は特にスピード感を重視しており、営業が直接システム構築できる方法を模索していた」と説明する。
まずひとつ目は、「トンネル内でのトレーラー」の課題を解決するFluxアプリ。施工中のトンネル内はスペースがなく、トレーラーの方向転換には車両回転装置が用いられるが、そのために車両の計測が必要となる。同社の顧客は、車両を測る基準線を引いて、複数作業員が目視で確認していたという。
この作業を自動化すべく、ソラカメで3方向から同時撮影して、AI測定するFluxアプリを営業が作成した。ドライバーや警備員が「IoTボタン」を押すと車両が撮影され、検測結果は、GRIFFYのVRサイネージで路面にバーチャル表示される。ソラカメの画像が蓄積されるSORACOM Harvestの更新をトリガーにSORACOM Fluxが起動、AIが車長を計測して、ダッシュボードサービスの「SORACOM Lagoon」を通じて、VRサイネージが投影するといった構成だ。
もうひとつは、「豪雪地帯における除雪」の課題だ。札幌市の現場では、目視である程度積もったら除雪をするという作業を繰り返しており、人によって判断のばらつきが生じるという課題を抱えていた。そこで、対象物が雪で見えなくなったタイミングで通知するFluxアプリを構築。ソラカメとGRIFFYのLTE通信端末を接続して、30分単位で撮影画像をAI判定して、除雪が必要な場合は関係者にメールで知らせる仕組みとなっている。
都鳥氏は、「ソラカメとFluxによって、営業主導のシステム構築を推進できている。開発費が抑えられるため、別製品のオーダーも増えた。一方、AIの判断精度はプロンプトに大きく左右されるため、ノウハウを社内共有して、より良い製品開発を続けていきたい」と語った。
大谷は、営業主導で開発されたことに驚き、「まさにテクノロジーの民主化。専用のシステムがなくとも試行錯誤で何とかできるのがFluxの面白いところ」とコメントした。
i Smart Technologies:稼働・電力データを基に“省エネ体質”をカイゼン
最後に登壇したのは、i Smart Technologies。グループ会社である旭鉄工で年間利益を10億円向上させた実績を持つ、IoTでのカイゼン支援を手掛ける企業だ。今回紹介されたのが、稼働・電力データを基に“省エネ体質”を改善するFluxアプリである。
同社は、色付けなどの工夫で電力の“ムダ”を可視化するモニタリングシステム「iXaxs」を提供している。旭鉄工も同システムで、電力消費量を42%削減したという。
しかし、同社の北村裕氏は、「見える化しただけでは、結果が出る企業は多くはない」と語る。ムダを把握できてもカイゼンは続かず、管理者は生産第一でデータを見る習慣が定着しないのが現状だ。節電意識の浸透には、現場で自走できる仕組みが必要となった。
そこで、SORACOM Fluxにより、設備の稼働状況や電力状態を監視し、現場にリアルタイムで音声アラートを出すFluxアプリを構築。通知を見る余裕がない作業者も、電力のムダに気付くことができる。さらに管理者には、一定期間での電力の集計と生成AIによるカイゼン提案が送られる。生成AIには旭鉄工で得られたノウハウを学習させており、iXaxsの見える化グラフによって、具体的な問題点も把握できる。
リアルタイムなアラートは、SORACOM Fluxが、ラインが稼働状況か、ムダな電力があるかを設定した条件から判定する。「カイゼン提案の頻度や、判定条件などを現場で自由に設定できるのがFluxの強み」と北村氏。
この2つの仕組みは、今後、現場での運用を通じて節電効果を検証していく予定だ。
大谷による「Fluxでないとこうした仕組みの構築は大変だったか」という質問には、「エンジニアだけが使うのであれば他の選択肢もあったが、最終的に非エンジニアにも入り込んでもらうことを考えるとFlux一択だった」と答えている。
最も参加者から支持されたのは…
以上、3社による開発ストーリーのプレゼンを受け、参加者が面白かった事例を投票。最も支持を集めたのは……白煙やごみコンテナの自動監視を披露した中外テクノスの尾崎氏に決まった。
コメンテーターの大谷は、「目視業務の汎用性の高さが響いたのではないか。『我々は目と脳がついたロボットを得た』という表現も、シンプルで実際の業務に落とし込みやすい。色々な気づきにつながる発表でした」と締めくくった。









