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業務を変えるkintoneユーザー事例 第277回

医院を共通のゴールを目指すチームに変えた予約管理システムの刷新

「このままでは医院を守れない」 仙台の歯医者を救った“スタッフと一緒に悩める”kintoneアプリ

2025年08月18日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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共通のゴールに向けて自ら動き、現場の声をアプリに落とし込む組織文化の醸成

 今では、スタッフ自らkintoneアプリを作成するようになっている。きっかけとなったのは、紙で管理していた棚卸業務におけるスタッフとの意見交換だ。鈴木氏が例年通り、年末ギリギリに業務を依頼すると、スタッフからこっぴどく怒られた。

「2日もあるよ…」と返すも「院長のそういうところ嫌です!」とまで言われてしまう

 そこで、メンバーと一緒に「在庫管理アプリ」を作成。一目で在庫状況が分かり、バーコードを使ってまとめて入庫・出庫が管理できるアプリだ。棚卸し業務が楽になり、発注ミスもなくなり、院長とのいざこざもなくなった。

在庫管理アプリ

 こうしてkintoneにより実現した「数字の見え化」。共通のゴールを意識できるようになったことで、スタッフの行動も変わっていく。予約のキャンセルが発生しても、スタッフが自主的にアポ埋めのコミュニケーションをとるようになったのだ。そして、予約がとれなかった患者の治療が進み、業績も読みやすくなり、最高益の月も生まれるようになっている。

 スタッフと作成した「在庫管理アプリ」によって業務効率化も進み、現在は「人事評価アプリ」も作成中だ。鈴木氏は、「こうしてスタッフ自ら動けるようになったのは、kintoneで簡単に業務アプリを作れるからです」と強調する。

 鈴木氏は、「経営者は孤独だと思っていました。一人で決断をしなければならない場面もあります。しかし、今は指標をもとにスタッフが自ら考えて、自分たちの声をアプリに落とし込んで、全員で考えて結果を出せるようになりました」と振り返る。

 加えて、「作りたいものを自らの手で形にできること、そして全員で考えながら経営に取り組むことこそが、価値があると実感しています。それが最終的に患者への価値提供につながると信じています」と締めくくった。

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