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業務を変えるkintoneユーザー事例 第271回

「顧客管理しないと会社の将来はない」から始まったkintone活用

社員の「あったらいいね」をkintoneで叶えているうちに、DX認定を取得していた話

2025年07月22日 11時30分更新

文● 柳谷智宣 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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他社製品との連携、新入社員の「あったらいいね」の実現、そして「DX認定」まで

 こうしたアプリを含め、当初の目的だった顧客管理が実現し、一区切りがついたOSKのkintone活用。しかし8年前、基幹業務ソフトウェアを展開するPCAの支店長との会話が、新たな転機となった。久保田氏が自慢げにkintoneでの成果を語ったところ、支店長から 「一緒にやろうよ」と思いがけない提案を受ける。この一言から、kintoneの見積書アプリとPCA販売管理システムをAPIで連携させるプロジェクトが始まった。

 以前は、営業担当者が見積書を作成し、受注が決まると手書きの受注伝票を作成。それを2階の営業フロアから1階の管理部へ運び、管理部の担当者が再度システムに入力するという、何とも非効率な業務プロセスで運用していた。

 API連携後は、kintone上のボタン一つで、見積情報がPCAの販売管理システムに自動転送。これにより、転記ミスがなくなり、作業コストは80%も削減された。結果として残業代も減少し、新たな人員を補充する必要もなくなり、社員の給与アップにもつながっている。

 さらに、kintoneが社内に浸透したことで、新たな動きも生まれた。新入社員である祐徳氏が、ホームページ作成ツール「おりこうブログ」のプラグインを活用して、「フェア集客管理」アプリを作成。Excelで管理していたイベント申込者の情報を、ホームページのフォームからkintoneへ自動で取り込む仕組みを作った。イベント当日も、来場者があると担当営業の携帯に通知が届く。「新入社員でも“あったらいいね”を自分で実現できるのが、kintoneの良さだと思います」(久保田氏)

 ここまでの多岐にわたるアプリ活用は、すべてkintoneで構築された。OSKは2024年、このkintoneを中心とした取り組みによって経済産業省が定める「DX認定」を取得している。久保田氏は、「DX認定は、kintonで作ったシステムだけで取得しました。kintoneを導入すれば『DX認定が取れるよ』と、お客様にも提案しているところです」と締めくくった。

OSKはkintone改革により「DX認定」を取得

社員のアプリ作成を促進する仕組み

 セッション後には、サイボウズの岡地麻起氏から質問が飛んだ。

岡地氏:見積書アプリからPCAの販売管理システムに、ワンクリックで連携できる事例を紹介いただきました。kintoneと基幹システムとの連携に関心が高い人も多いですが、この連携の実現は時間がかかるのでしょうか。

久保田氏:PCAさんはプラグインを無償で提供しているため、誰でも簡単に設定できます。IT緑帯の私でもできました。

アフタートークの様子

岡地氏:新入社員でもアプリが作れる環境を築いているのを感じました。アプリ作成を促進する工夫はしていますでしょうか。

久保田氏:私たちは「社内改善」アプリを作っています。その中で「kintoneでこんなアプリが作れる」ことを紹介していまして、祐徳君もアプリを色々と作った上で、それを書き込んでくれています。「アイデアを集める箱を用意して、その中でどんどん改善していく」といったイメージです。

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