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「AIへの対応を誤れば、これまで同様の成長は遂げられない」

楽楽販売・楽楽明細にもAI機能を投入 ラクスが“全方位”で進めるAI活用

2025年07月14日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 楽楽シリーズなどのSaaSサービスを展開するラクスは、2025年7月10日、AI戦略に関する発表会を開催。あらゆるサービスでAI機能を提供しつつ、社内活用も推進するという“全方位”でのAI戦略を示した。

 あわせて、同日から提供開始した「メールディーラー」のAIエージェント機能や、「楽楽販売」や「楽楽明細」におけるAI機能の実装計画についても披露している。

 ラクスの取締役である本松慎一郎氏は、「上場企業として、AI活用を業績の向上に結びつける必要がある。社内活用は利益創出に、AI機能は売上に寄与させていく。『やらなければならないからやる』のではなく、『自社の成長につながる』という理解のもとで、AI活用を推進する」と強調した。

ラクス 取締役 本松慎一郎氏

国内最大級のSaaS企業として進める“全方位”のAI活用

 ラクスのAI開発は、2017年3月より始まっている。「楽楽精算」にて、交通費精算の入力予測を導入。2023年10月には同じく楽楽精算でAI-OCR機能を、2024年10月には「メールディーラー」に生成AIによるクレーム検知機能を実装した。そして、2025年からは、本格的に開発リソースを投入し、AI機能の実装を加速させていく方針だ。

 本松氏は、「顧客の生成AIに対する期待が非常に高まっている。ラクスはSaaS企業として成長してきたが、AIへの対応を誤れば、同じような成長ができないかもしれない。我々を含めて、AI活用が企業の競争力と収益構造を左右する」と語る。

ラクスのAI開発の歩み

 ラクスのAI活用は、特定の領域に絞らず、社内外含めて「全方位」で進める方針だ。各サービスにAI機能を搭載するだけではなく、社内においてもAI活用を推進。顧客と社員の生産性向上を図る。

 社内では、「収集・分析・要約」「コンテンツ作成」「アイディア創出・企画立案」「業務自動化」の4つのユースケースを整理して、それぞれの領域でAI活用を浸透させている。既に、社内アンケートでの利用率は「97.9%」に達成しており、「仕事においてAI利用が前提になっている」(本松氏)状態だという。

ラクスのAI活用の方針

 サービスへのAI実装は、各サービスで同時並行的に進めていく。「ラクスのSaaS事業者としての強みは、豊富なリソースだ。走り出しは小回りがきくスタートアップ企業が有利だが、中期的にはリソースをつぎ込める事業者が差異を生み出せる。加えて、これまで培ってきた業務改善のノウハウも、AI機能の提供において強みになる」と本松氏。

 2025年に入ってからは、6月にメール配信システム「配配メール」で「AIヘルプ機能」を提供開始。これは24時間365日、問い合わせ対応をするチャット型AIで、「あいまいな表現にも対応して、知りたいことまでラクにたどり着ける」のが特徴だという。サービス開始から2~3週間経ったが、既にユーザーの自己解決率は向上しており、問い合わせ発生数を20%削減できる見込みだという。

配配メールの「AIヘルプ機能」

 2025年度内には、経費精算システム「楽楽精算」において、AIエージェント機能を提供することも、既に発表している。第1弾として、領収書をアップロードするだけで、過去の経費や精算履歴、運用ルールをもとに、経費精算の伝票を記載してくれるエージェントを実装予定だ。

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