業務を変えるkintoneユーザー事例 第268回
山形県の装置メーカーが「予実管理システム」で社員の笑顔を取り戻す
「無駄」「面倒」「頑張り損」 諦観していた社員を変えたkintoneの工夫
2025年07月07日 10時00分更新
一番大事なのは「ネガティブな言葉に負けないこと」
こうして工夫を凝らしたkintoneアプリは、けして順風満帆で完成したわけではない。
最初の要件出しでは「あれもこれも欲しい」、進行中は「やっぱやめる」と言われた。アプリ作成が遅いと「まだなの?」とせかされ、いざ完成しても「前はできたよ」「使いづらい」と文句が出る。「新しいものを作った際には、ある程度ネガティブな言葉を受けざる得ない」(佐藤氏)
最後に佐藤氏が送ったのは、ネガティブな言葉を抑えるためのアドバイスだ。まず、必須要件を定めたら、そこに向かって「小さくアプリをつくる」。完成したら「関係者を集めて困りごとを訊く」ことで、周りを巻き込む。そして、これらを繰り返し「カイゼンを回す」ことで、徐々にアプリを大きくしていく。加えて、「一番大事なのはネガティブな言葉に負けないこと。最初に描いた『このアプリで良い景色が見えるはず』という想いを最後まで貫き通して欲しい」と強調した。
今後は、kintoneのカイゼンを社外にも広げていく予定だ。サイボウズのオフィシャルパートナーやkintoneのエバンジェリストを目指し、今度は“kintoneユーザーの笑顔”を生み出していく。
プレゼン後には、サイボウズ 東北営業グループの島谷昇孝氏から質問が投げられた。
島谷氏:たくさんのkintoneアプリの工夫は、現場の声を取り入れた結果でしょうか。それともパートナーと相談されたのでしょうか。
佐藤氏:基本的には現場で使ってもらってのフィードバックから生まれています。
島谷氏:「ネガティブな言葉に負けない」という言葉がすごく響きましたが、佐藤さんはどう乗り越えたのでしょうか。
佐藤氏:成果が出る自信があったので「うるせえ!」という気持ちで跳ね返しました。きっと良いものができると信じて前に進んでいます。
島谷氏:時には強い気持ちを持つことが重要ですね。もちろんさまざまな工夫を取り入れたからこそ、活用が広がっていったのだと思います。

この連載の記事
-
第300回
デジタル
業務改善とは「人の弱さと向き合う」こと だからkintoneの利用は“あきらめた” -
第299回
デジタル
悪夢のExcel多重入力と決裁スタンプラリー システム刷新の反発は“ライブ改善”で乗り越えた -
第298回
デジタル
PCに行列ができる、旧態依然な業務にサヨナラを kintoneで年2546時間の残業を削った日本海ガス -
第297回
デジタル
モンスターExcelもそのままkintoneアプリ化 老舗企業を整トーン(頓)した「小田トーン」の実力 -
第296回
デジタル
わずか3名で5万6000人へのkintone展開 「作る」から「変える」マインド変革が突破口に -
第295回
デジタル
全職員の6割がkintoneを利用する関西外国語大学 背景に待ったなしの大学DX -
第294回
デジタル
シェア100%の重圧を跳ね除けろ 味の素ファインテクノの業務改善は、kintoneで加速した -
第293回
デジタル
業務改善はクライミング kintoneで壁を登った元気女子の感情ジェットコースター -
第292回
デジタル
“なんとなく”の現場改善、もうやめません? kintone運用6年で辿りついた自動化と可視化 -
第291回
デジタル
kintone導入、失敗しませんでした 先駆者がいたので、kintone留学や伴走支援まで用意され、至れり尽くせり -
第290回
デジタル
kintoneを使ってもらうことはあきらめた でも、年間1500時間も業務時間は減った - この連載の一覧へ






