遅れてきたフラッグシップ「ROG CROSSHAIR X870E EXTREME」をレビュー
Ryzen 9 9950X3Dのハイエンド自作PCなら、ROG最強のマザーボードを見逃す手はない
2025年06月11日 10時00分更新
2025年3月、AMDの最新CPUである「Ryzen 9 9950X3D」および「Ryzen 9 9900X3D」が登場した。型番末尾“X3D”のCPUは、キャッシュタイルを垂直方向に積み重ねることで、キャッシュ容量を増加させる「3D V-Cache」を採用している。
3D V-Cache採用のCPUは、ゲームパフォーマンスの高さが話題となり、PCゲーマーやクリエイターなどに人気がある。先んじて登場したRyzen 9000シリーズの「Ryzen 7 9800X3D」も、すでにゲーミングPC市場で大きな存在感を放っている。
そこに登場した3D V-Cache最上位モデルとなれば、やはり注目度は高い。GeForce RTX 50シリーズやRadeon RX 9000シリーズといったビデオカードの選択肢も増えた今、新たなPCを自作しようという人もいるだろう。
そうした中、ASUSから新たにSocket AM5対応のハイエンドマザーボード「ROG CROSSHAIR X870E EXTREME」が登場した。満を持して登場したX3D最上位モデルにふさわしい、最上位マザーボードの特徴を本稿で取り上げていきたい。
5型ディスプレー搭載の高級マザーボード
“EXTREME”の名を冠するASUSのマザーボードは、同社のコンシューマー向け製品でもフラッグシップに当たる。
最上級の電力設計を備え、高いオーバークロック(以下、OC)適正を持っているため、オーバークロッカーなどのコアなユーザーがターゲットとなるが、もちろんほかの用途でも問題なくこなせる。
チップセットはその名の通りAMD X870E。X870Eは前世代のX670Eと比べて、チップセット仕様はそれほど変わりないが、USB4の対応が標準になっている。また、チップセットの違い以外にも、世代が新しいのでマザーボード自体の設計がより最新のトレンドを取り入れているという違いもある。
フォームファクターはE-ATXと大型のため、PCケースにはミドルタワーからフルタワークラスのある程度大型のものを用意したい。
製品を見ると、まずはやはり大型の液晶ディスプレーが目を引く。ゲーミング向けのマザーボードなどでは、LEDによるライティングでPC内部を彩るというのが一般的になってきているが、それに加えてハイエンドモデルでは、アニメーションを流せるディスプレーを搭載するものも出ている。
本機では、VRMヒートシンクの部分に5型のフルカラー液晶ディスプレーを搭載する。この部分はプリセットのアニメーションや自身で選択した画像を表示できるだけでなく、CPUの電圧や温度、CPUクーラーのファンスピードといった情報も映し出せる。
E-ATXのマザーボードだけあって、ディスプレーの占める部分は大きく、画面も見やすい。PCを好みの見た目にするために使うもよし、モニタリング用として安定性のチェックに使うもよしと、なかなか実用的になっている。表示画面の設定はASUSのユーテリティーアプリ「Armoury Crate」から行なえる。
背面のインターフェースには、USB Type-Cが4ポート搭載されているが、うち2ポートはUSB4となっている。USB4は最大40Gbpsの転送速度を誇り、外付けストレージなどでも高速なデータ通信を行なえる。
高解像度の画像ファイルや動画ファイルといった容量の大きいデータを大量に扱うクリエイターは、外付けのストレージを使用する機会もあるだろうが、そうした人にとって、高速なポートを複数搭載しているのはありがたい。
さらに、残り2基のUSB Type-Cポートと、8基のUSB Type-Aポートは、すべてUSB 3.2 Gen 2(USB 10Gbps)となっている。合計12基のUSBポートにより、デバイスの拡張性はかなり高いと言えるだろう。Bluetooth 5.4による無線接続もサポートするので、無線デバイスも接続可能だ。
また、有線LANも10GbEと5GbEを備えており、最上位らしい構成。対応した回線とルーターがあれば、安定性と高速さを両立したネット環境を構築できる。無線LANもWi-Fi 7対応で、フルスペックの320MHz帯域幅を使用可能だ。従来の160MHzから2倍の帯域幅に対応していることで、快適性がアップしている。
オンラインゲームはもちろん、オンラインの共同編集作業をしたりクラウドを活用したりといったビジネス用途にも心強い。
また、BIOSフラッシュバックボタンとCMOSクリアボタンを備えているため、わざわざOSを起動させなくてもマザーボードのBIOSを更新できるほか、問題が起きた時にBIOSにリセットをかけられる。PC自作をする人にとってはうれしい機能だ。
