遅れてきたフラッグシップ「ROG CROSSHAIR X870E EXTREME」をレビュー
Ryzen 9 9950X3Dのハイエンド自作PCなら、ROG最強のマザーボードを見逃す手はない
2025年06月11日 10時00分更新
オーバークロック向けの機能が豊富
パワーステージは、20(110A)+2(110A)+2(80A)と、最上位だけあって堅牢な構成。Ryzen 9のような上位のCPUも、安定した動作が見込める。OCにも対応可能だ。
また、本機はほかにもOC向けの機能を豊富に搭載している。まずハードウェア上では、OCを試行する際に便利なさまざまなボタンやスイッチを備えている。搭載しているものは以下のようなものだ。
●STARTボタン
バラック状態でも電源を入れられる
●FLEXKEYボタン
システムを再起動できる
●セーフブートボタン
PCをリセットし、セーフモードで起動できる
●リトライボタン
即座にハードウェアをリセットできる
●BCLKボタン
CPUのBCLKを調整できる
●BIOSスイッチ
2つのBIOSを切り替えられる
●スローモードスイッチ
オーバークロックのセットアップ中にシステムを安定させるために、CPUのクロックを下げる
そのほかにも、液体窒素などを使った極低温下でも動作できるような機能や、情報を取るための複数のセンサーなど、最上位ならではのOC向け設計が盛り込まれている。
また、「DYNAMIC OC SWITCHER」や「CORE FLEX」といった調整機能にも対応する。DYNAMIC OC SWITCHERは、高負荷時のマルチスレッドワークロードの場合は手動で設定したクロックに、負荷が低めなタスクではPrecision Boost Overdrive(PBO)にと、動作状況を自動的に切り替えられる。
CORE FLEXは、CPUの電力や電流、温度の制限といった部分を個別に操作でき、温度や電流が上昇するにつれて、CPUコアの周波数を段階的に下げるブレークポイントを設定できる。
また、メモリーのオーバークロックにも対応しており、Ryzen 9000シリーズでは最大8200+MT/s、Ryzen 8000シリーズでは最大9000+MT/sのメモリースピードに対応する。
ASUS最新のDIYフレンドリーな設計を豊富に搭載
ASUSでは、パーツの着脱をより手軽に行なえるようなさまざまな機能をマザーボードに盛り込んでおり、これらを総称して「Q-Design」と呼ぶ。
マザーボードの価格帯によって、これらの機能は省略されたりもするのだが、ROG CROSSHAIR X870E EXTREMEは最上位機種だけあって、Q-Designを余すことなく盛り込んでいる。
PCIe x16スロットには、「PCIe Slot Q-Release Slim」を搭載。ビデオカードなどを接続した際に、カードを斜めに持ち上げるだけでラッチが外れ、簡単に外せるようになるものだ。昨今はビデオカードが大型化し、ラッチのボタン部分に指が入らない場合もあるが、これならどんなビデオカードも容易に着脱できる。
ビデオカードが意図せず外れてしまわないのかという心配もあるが、カードを水平に持ち上げても基本的に外れない作りになっているし、PCケースにネジで固定するブラケット側を持ち上げる必要があるので、ネジを緩めていない限りは問題ない。
SSDなどを組み込むM.2スロットにも、Q-Designが採用されている。ROG CROSSHAIR X870E EXTREMEは標準で3基のM.2スロットを搭載しており、Ryzen 9000シリーズもしくは7000シリーズのCPUを使用した場合、そのすべてがPCIe Gen5接続に対応する。
中でもCPUソケットに近いM.2_1スロットには、かなり大型のヒートシンクが標準で搭載されている。Gen5 SSDは発熱しやすいため、小型のヒートシンクだと熱処理に不安があるが、近年のマザーボードはデフォルトで大型のSSDヒートシンクを備えているものもあり、Gen5 SSDも使いやすくなっている。
本機では、そんな大型のヒートシンクをボタン1つで外せる「M.2 Q-Release」を搭載。わざわざドライバーを用意しなくても、ヒートシンクを着脱できる。
また、ヒートシンクだけでなく、SSDの固定もツールレスで行なえる。最も一般的なType2280サイズのSSDの場合は、通常ではネジで固定する位置に「M.2 Q-LATCH」という部品がつけられている。これはSSDを上から押し付けるだけでパチッとハマるようになっており、非常に簡単に取り付けが可能だ。外す際には、部品の反対側を押せば取り外せる。
SSDの規格が異なる場合は、「M.2 Q-Slide」という部品をSSDの長さに合わせてスライドさせることで固定可能になっている。SSDを外す場合はこのスライドを外側にスライドさせるだけなので、こちらもツールレスで着脱可能だ。
そのほか、Wi-Fiアンテナを取り付ける際に、コネクターを押し込むだけで接続できる「Q-Antenna」も採用。組み込み時のエラーを確認できる「Q-LED」や、より詳細なPOSTコードをチェックできる「Q-Code」もしっかり搭載している。










