フルMVNO同士のタッグが切り拓くIoTの次のステージ ソラコムと丸紅が新会社設立 

大谷イビサ 編集●ASCII

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 2025年5月12日、IoTプラットフォームを展開するソラコムと総合商社の丸紅は、新会社設立と戦略的協業を発表した。新会社は丸紅I-DIGIOグループのフルMVNO事業を分社化し、ソラコムのグループ会社となる。丸紅本体との戦略的協業ではコンサルティングファームとの連携でコネクティビティからソリューションまでの一気通貫でのIoTの展開を目指す。

ソラコムと丸紅I-DIGIOグループで新会社設立 その意図は?

 今回発表された新会社は、丸紅I-DIGIOホールディングス傘下の丸紅ネットワークソリューションズのMVNO事業を分社化し、ソラコムから51%を出資する形で設立される。新会社の社名は未定だが、2025年8月1日からソラコムのグループ会社として運営される(関連記事:ソラコムと丸紅、IoT領域で戦略的合弁会社を設立!新通信サービスでDXを加速)。

 丸紅I-DIGIOグループは、プロダクトソリューションの丸紅情報システムズ、ネットワークインテグレーションの丸紅ネットワークソリューションズ、システムインテグレーションの丸紅ITソリューションズ、マネージドホスティングやIaaS/PaaSを手がけるイーツの4社から成る丸紅のIT事業グループ。このうち丸紅ネットワークソリューションズは、旧丸紅無線通信の2012年からNTTドコモのMVNO事業を展開しており、2019年からはグローバル通信に対応。2020年からはフルMVNOサービスを展開しており、今回新会社に事業移管される。

丸紅I-DIGIOホールディングス 代表取締役社長 佐藤由浩氏

 2014年設立のソラコムは、日本発のグローバルIoTプラットフォームを目指し、デバイス、通信、クラウドを一気通貫で提供する。2017年にKDDI傘下に入り、2024年には東証グロース市場に上場(関連記事:いよいよ上場したソラコム スイングバイIPO達成のインパクトとは?)。契約回線数は700万回線、顧客は3万を超える(2024年12月末時点)。グローバル展開も当初から注力しており、つながるエリアは185カ国・地域、通信キャリア数は428に上る。グローバル売上率も47%にまで高まっている。

ソラコム 代表取締役社長CEO 玉川憲氏

 両者の特徴は独自SIM発行や料金プランなどビジネスの自由度の高いフルMVNOを展開しているという点。両者の相乗効果を最大化する戦略的な連携を構築する。モバイルワーカー向け、オンプレミス中心でNTTドコモのフルMVNOを提供する丸紅I-DIGIOと、モノ向け、クラウド対応のソラコムとの提携は、お互いの強みを活かした補完関係になるという。

 具体的には両者のNTTドコモとKDDIという両キャリアに、ソラコムの持つグローバルキャリアとの提携を加えたマルチキャリア対応を強化。1つのSIMに複数の国内キャリアのプロファイルを使える「マルチキャリアプロファイル」の実現を目指す。また、ソラコムの培ってきたソフトウェアベースの交換機やSIMのテクノロジーの提供やシステム共用による全体の最適化、ネットワークとセキュリティを統合したSASE(Secure Access Service Edge)の提供も進めていく。

コンサルティングファームとの協業で、増えるIoTニーズに対応

 もう1つの発表は、丸紅の情報ソリューション部門のドルビックスコンサルティングとソラコムとの戦略的協業になる。

 ドルビックスコンサルティングは2021年に設立された丸紅資本100%のコンサルティングファーム。約150名のプロフェッショナルが所属しており、コーポレート、ビジネス、テクノロジーなどのDXを伴走支援型で提供。丸紅グループ内外から400件以上のプロジェクトを実施しているという。

丸紅 執行役員 情報ソリューション部門長 藤永崇志氏

 コンサルティングファームとIoTプラットフォーマーという異色の提携だが、IoTと親和性は高い案件も増えている。たとえば、鶏舎にIoTを導入することで、人手不足や生産性の向上を行なったり、ドライバーの居眠りやスマホ利用を監視することで事故を防止したり、さまざまな業界でIoTニーズは高いという。

 今回の戦略的協業では、ソラコムだけではカバーしきれなかったIoTのコンサルティングニーズに対して、ドルビックスコンサルティングがIoT導入戦略の策定、価値創出、ビジネスモデル変革などを一気通貫で補う。さらに丸紅とソラコムは、2025年2月に海外市場での協業に向けて合意書を提携しており、IoTのコネクティビティから、ソリューションの提供までを一体で提供していく予定となっている。具体的には、モビリティ、農業、電力、水道などのインフラ領域での事業展開が検討されているという。

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