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Salesforce Service Cloudを中核に進める“運用効率化”と“オムニチャネル化”

「接客で本当に使えるの?」 一度は却下された生成AI導入、KINTOはどう挽回したか

2025年05月08日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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プロンプトの工夫で30秒→2分短縮に改善、AIエージェントも視野に

 なぜ成果が得られなかったのか。KINTOカスタマーセンターでは、応対ログを日々チェックする体制をとっている。そのため、標準のプロンプトでは「要約され過ぎて」しまい、メンバーが問い合わせや回答の内容を追記する手間が発生したからだ。

 そこで取った対応策が、プロンプトテンプレートを作成・管理できる「プロンプトビルダー」機能の活用だ。同機能で、顧客の質問を箇条書きで表現して、その質問に回答が連動するようにプロンプトを調整。また、重要な情報である金額や日付などの「定量表現」を必ず要約に含むよう指示した。

プロンプトビルダー活用後の要約結果

 プロンプトの修正によって、ACWが長いメンバーは平均133秒の大幅な時間短縮を実現。また、KPIを達成しているメンバーでも平均26秒短縮できた。センター全体の加重平均で算出すると「約127秒(約2分)」の短縮につながり、11カ月間でイニシャルコストを回収できる成果を実現した。

 定性評価としても、音声が自動要約され、応対中にログ入力する必要がなくなり、「顧客に集中して向き合える」「心理的負荷が軽減される」という声が挙がったという。これらの成果を示した結果、無事に本番導入が決定した。

PoC結果をふまえた回収シミュレーション

 現在、チャットツールはDigital Engagementに置き換わり、すべてのチャネルがService Cloudで完結して、生成AI活用できる体制を築いている。まずは、目標としていた運用面の効率化とツールのオムニチャネル化を達成した形だ。

 今後は、接客領域の省人化を本格的に推進すべく、AIエージェントである「Agentforce」の導入も検討していくという。平井氏は、「経営会議でも懸念となった、“そもそもAIで回答できるか”は、慎重に検証しなければならない。Einstein for Serviceを使用しながら、Agentforceの活用も見据え、接客領域の省人化を実現していきたい」と締めくくった。

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