学習まんが『僕とクルマの大冒険』発行記念、特別インタビュー

クルマを買うときの「リサイクル料金」は、こんな風に使われている

文●ASCII

提供: 自動車リサイクル促進センター

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自動車リサイクル促進センター(JARC)COOの永井辰幸氏

自動車のリサイクルって?

 株式会社角川アスキー総合研究所は3月、公益財団法人 自動車リサイクル促進センター(以下、JARC)が発行した小学生向けの学習まんが『僕とクルマの大冒険~自動車リサイクルの謎に迫る!~』を全国の学校や図書館、児童養護施設に寄贈。贈呈式を東京都、大阪府、神奈川県で開催。

 本書は、自動車リサイクルの大切さや限りある資源を守る意識を子どもたちに伝えることを目的に制作された学習まんが。家族で乗っていた愛車を手放すことになった車田一家が、クルマとの「別れ」をきっかけに、「販売事業者」「解体事業者」など、自動車のリサイクルに関わる現場を次々にめぐる“冒険”に出発し、クルマのリサイクル制度や、SDGsに関する学びを深めていくという内容だ。

 消費者にとって身近な自動車だが、そのリサイクルに関しては、深く知らないという方も多いのではないだろうか。本稿では、国内の自動車リサイクル制度の成り立ちや現状について、JARCのCOO 永井辰幸氏(以下、略敬称)に話をきいた。

──はじめに、JARCの歴史や取り組みについて教えてください。

永井「JARCは、循環型社会に向け自動車リサイクルに関する様々な課題に対応するため、自動車産業界の横断的機関として2000年11月22日に設立されました。

 使用済み自動車の適正なリサイクル、資源の有効利用などに寄与する活動を、多様なステークホルダーとの連携により行っています。また、自動車リサイクル制度の指定法人として、自動車ユーザーからお預かりしているリサイクル料金を管理し、自動車リサイクルシステムを安定して運用することに努めています」

──⾃動⾞リサイクル制度についてお聞かせください。

永井「自動車リサイクル制度は、既存の自動車リサイクルの基盤を活かし、廃棄物の削減と資源の有効利用を安定的に行える仕組みとして、2005年1月から本格的に運用を開始しました。

 制度の特徴は主に3点あります。1つ目は、適正なリサイクル処理を安定して実施するために、自動車のリサイクルにおけるユーザーや事業者の役割を制度化したこと。2つ目は、ユーザーが自動車の購入時に前払いしたリサイクル料金を有償処理が必要なフロンガス、エアバッグ、シュレッダーダストの適正処理費用に充てる制度を導入したこと。

 そして3つ目は、使用済み自動車のリサイクル処理の状況や処理費の支払い状況などを一元管理する情報システムを構築し、車両の登録情報や抹消情報とも関連付けして、その進捗を確認できるようにしたことです。現在、自動車ユーザーを始め、自動車メーカーを含む自動車産業界が一体となった取り組みに支えられ、使用済み自動車のほとんどがリサイクルされています」

──ユーザーが自動車を購入するとき、売却するとき、廃車処分する際に心がけるべきことはありますか。

永井「自動車をはじめとした商品を使わなくなった時、リサイクルの入り口で重要な役割を担っているのは、私たちユーザーであるということです。ユーザーの理解が得られなければ、自動車のリサイクルを正しく進めることはできないし、自動車を構成している資源をリサイクルで再資源化していくことも困難になります。自動車には将来の社会を築く資源としての役割もあるということを、売却するとき、廃車処分する際は心がけていただけるとありがたいです。日本はユーザーの方の意識も高く、自動車リサイクルが社会に定着してうまく回っていると考えております。

 さらに今後リサイクル、資源循環を高度化し、再生材を製品にしていく際、商品のどの部分が資源循環による再生材で造られているのか関心を持っていただけると嬉しいです」

“将来の社会の主”に、知ってほしい知識が詰まってる
『僕とクルマの大冒険~自動車リサイクルの謎に迫る!~』

「クルマが何でできていて、使い終えたクルマがどのように社会に生かされているのか、興味と関心を持ってもらえればうれしい」と永井氏

──学習マンガ『僕とクルマの大冒険~自動車リサイクルの謎に迫る!~』は、まんがを読むことで、自動車のリサイクルを取り巻く状況がよくわかる仕上がりになっていますね。内容の中で、特に伝えたかったメッセージや、こだわりの詰まったシーンを教えてください。

永井「自動車のリサイクルは小学校で学習することもありますが、その具体的な内容は、なかなか皆さんに伝えられないことも多いと思います。まんがを通じて、普段使っている自動車がどのようにリサイクルされているか、リサイクル制度が、ユーザーをはじめとしメーカーや、中古車を含めた販売、整備、解体、破砕事業者など、多くの関係者たちによって成り立っていることを知っていただけたらと思っています。そして、いま使っている自動車は資源として将来の社会に役立っていくのだということを最後に伝えられるようにしたいと考えました。

 また、まんがの中で不法投棄自動車による廃棄物が積み上がり、汚染されてしまった土地が出てきます。あのシーンは、使い終わった自動車をきちんと処理しないとどんなことが起きてしまうのか、現実にあったことを描いています。回復には長い年月が必要になっています。いま社会で当たり前にできているリサイクルは、これまでに皆の社会を良くする取り組みの積み重ねでできているということ、将来も皆がそれを理解して実践し、改善していくことが必要であることを、将来社会の主役となる子供たちにぜひ伝えることができたらと思っています。そしてまんがを通して自動車にも興味をもっていただけたら、うれしいと思っています」

──本日はありがとうございました。

立川市の児童養護施設 至誠学園で実施した贈呈式の模様

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