初めてのIoT構築に最適なデバイスの魅力と事例を語り尽くす

お手頃な価格で位置情報も温湿度も加速度もとれる GPSマルチユニットは楽しいぞ

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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 「GPSマルチユニット」はIoTプラットフォームを手がけるソラコムのセンサーデバイス。GPSで位置情報をとれるのに加え、温湿度や加速度のセンサーも搭載しているので、初めてのIoT構築でもいろいろ試せる。デバイスの魅力についてソラコムの井出尭夫氏と守谷宙氏に聞いた。

コンソールからデバイス登録 電源をオンにすれば使えるGPSマルチユニット

 2020年に発売開始されたソラコムの「GPSマルチユニットSORACOM Edition(以下、GPSマルチユニット)」は、GPSとセンサー、セルラー通信、電池までまとめて搭載されたオールインワンのIoTデバイスだ。位置情報を取得できるGPSに加え、温湿度計センサーと加速度センサーが搭載されており、さまざまなデータをクラウドに送信できる。nanoSIM対応で、SORACOMのLTE-M対応プランで通信が可能になっている。

 最大のメリットは利用までのハードルの低さ。SORACOMのユーザーコンソールにログインし、SIMとデバイスをひも付け、利用するセンサーの種類、データの送信頻度などを設定。デバイスで電源を投入すれば、データ送信がスタートする。ソラコムの井出尭夫氏は、「1台でセンサーと通信が完結できるのが売り」と語る。

ソラコム 井出尭夫氏

 IoTの初心者向けデバイスとしてもオススメ。実際、ソラコムやソラコムのユーザーグループであるSORACOM UGのイベントで行なわれるハンズオンでは、このGPSマルチユニットを初めてのIoTデバイスとして利用してもらうことも多いという。「センサーのデータがクラウドに届くことを体験してもらうツールとも言えます」と井出氏は語る。

商用でも用いられるGPSマルチユニット 位置情報の特定は鉄板だが、他の用途も

 初心者でも使いやすいGPSマルチユニットだが、PoCや商用環境でも用いられている。

 一番多いのは、やはりGPSを活用した位置情報の測定。トヨタ自動車では、工場内の物流カートの位置情報をGPSマルチユニットでモニタリングしている。カートの位置はスマホやモニターで共有しており、地図上で確認することができるという。「工場内での位置トラッキングでは、問い合わせも多いユースケースです」とソラコムの守谷宙氏は語る。

ソラコム 守谷宙氏

 昨年末に開催されたAWSのユーザーグループJAWS-UGのイベント「JAWS FESTA 2025 in 広島」では、参加者を送迎するシャトルバスの位置を知ることができる「バスロケ」アプリがコミュニティの面々で開発された。ここでもバスに積まれたのは、このGPSマルチユニット。また、OWL-TY(オウルティ)の「POLARISS.NET(ポラリス)」というサービスでは、車やバイクの盗難対策デバイスとしてGPSマルチユニットを採用しており、愛車の位置トラッキングに利用されているという。

 地図と位置情報の連携はGPSマルチユニットの鉄板事例だ(関連記事:内製化で実現したAGCの物流クライシス対応 位置情報とIoTがどこまでできたのか?)。「デバイスとSaaSが直接通信する場合は、デバイスに設定を書き込まなければなりません。でも、GPSマルチユニットは、SORACOMプラットフォーム上の設定情報がデバイスへ反映される仕組みなので、接続先を変えたり、設定を変更するのも柔軟に可能になります」と井出氏はアピールする。

 GPSマルチユニットは重力を検知できる加速度センサーもある。加速度センサーはデバイスの傾き具合もわかることから、前述したトヨタ自動車ではGPSマルチユニットを搭載した物理的なカンバンを倒したり、戻したりすることで、社内便の到着をチャットで通知するシステムを構築している(関連記事:これぞテクノロジーの民主化 トヨタのカイゼン文化にフィットしたSORACOM)。また、温湿度センサーは、生鮮食品の品質管理に用いられている。京都の野井農園では、カゴにGPSマルチユニットを設置し、運搬中の温度上昇をいち早く検知し、農産物の品質管理に利用している。

スマホ、センサーデバイス、モバイルルーターなど、どれを選べばよい?

 今回は専用のセンサーデバイスであるGPSマルチユニットを紹介したが、IoTデバイスとしては、ほかにもスマホ、モバイルルーター、マイコン+センサーなどが候補に挙がる。ユーザーはIoTデバイスをどのように選べばよいだろうか?

 選定のポイントは、まず電池のもち。スマホやモバイルルーターは基本的に電力消費が大きいデバイスであるため、電源環境が不可欠だ。その点、GPSマルチユニットはIoTを前提としたLTE-Mで通信するため、消費電力も小さい。10分に1度の頻度でデータ送信する場合は1週間程度、1時間に1回の頻度であれば、17~18日程度の電池の持ちになるという。もちろん、利用するセンサーの種類やデータの送信頻度によって消費電力は大きく変わるので、ここらへんはシステムの設計でカバーしたいポイントだ。

 スマホに比べたメリットは電力面のみならず、管理性にもある。守谷氏は「複数のアプリが起動していたり、別途でアプリを入れなければならないスマホに比べると、設定がSORACOMプラットフォームから配信されるGPSマルチユニットは、ある程度の台数を運用するのも楽です」とアピール。また、マイコン+センサーを自前で組み合わせるのに比べてると、GPSマルチユニットは導入が簡単というメリットがある。「基本的には電源を入れるだけで、使い始められる。コーディングなどの知識は不要です」と井出氏はアピールする。

 1万2000円という低廉な価格もありがたい。通信インターフェイスを提供するUSBドングルでも2万円台なので、各種センサー搭載でこの価格はかなりお手頃と言える。「コスパもいいし、なにより手軽に試せます」と守谷氏。GPSマルチユニットはソラコムIoTストアで販売中だ。

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