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第13回 チームワークマネジメント実践者に聞く

積み上がる課題とタスクをチームで前向きにさばくためのBacklog活用

メンバーのやる気をMAXにするチーム組成術 コミュニティイベントから学ぶ

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

提供: ヌーラボ

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 コンテンツや会場の準備、スポンサーの管理、チケット販売、Webサイトやデザイン、SNSなど、数多くの課題とタスクが積み上がるイベント運営業務。今回は、2024年12月にパシフィコ横浜ノースで開催されたBacklogのユーザーコミュニティイベント「Backlog World 2024」の運営メンバーに集まってもらい、プロジェクト管理を効率的に行なうためのチームワークマネジメントとBacklogの活用法を聞いた。(以下、敬称略 インタビュアー ASCII大谷イビサ)

勤務場所も、所属する会社も違うメンバーがBacklogを軸にイベントを運営

大谷:清家さん、まずは自己紹介とBacklog、Backlog Worldとの関わりについて教えてください。

清家:福岡のFusicで働いている清家史郎と申します。プリンシパルエンジニアという役職ですが、会社のエバンジェリストも担当しています。さらに、Fusicという会社だけではなく、コミュニティを通じてテクノロジーを周りに伝える役割を担っており、技術コミュニティでも積極的に登壇しています。

Backlog World 2024 実行委員長を務めたFusicの清家史郎氏

Backlogとの関わりをお話しすると、Fusicに入って以降の9年間はずっとBacklogを業務で利用する立場でした。そこで、BacklogのユーザーグループであるJBUG福岡の勝毛さんから「Backlog World 2023」にプロポーザルを出してと声掛け頂き、せっかくなのでプロポーザルを出し、結果登壇することになりました。それがきっかけでBacklog Worldの運営にも関わるようになりました。

その後、福岡で開催されたJAWS FESTAで、最初はオブザーバーとして参加し、途中から運営にフルコミットすることになり、情報整理がうまくいかずに停滞していたイベント運営をBacklogを使って立ち上げ直したという話を地元の大分で話しました。そこでの実績を買われて、今度は「Backlog World 2024の実行委員長をやってみませんか」と運営からお声がけいただいたようです。これが2024年の3月ですね。

大谷:ありがとうございます。続いて、井上さん、自己紹介とBacklogやBacklog Worldへの関わりについて教えてください。

井上:株式会社ドリーム・アーツに所属している井上拓也です。仕事はSaaSの開発マネージャーで、清家さんと同じく9~10年くらいBacklogを業務で使っています。もともと僕はJBUG広島の運営をやっていて、今も広島在住です。いっしょにやっている中道さんという方が2021年のBacklog Worldの実行委員長になり、僕も運営に入りました。

Backlog World 2024の運営を担当したドリーム・アーツの井上拓也氏

そこからの関わりで、僕が2023年のBacklog Worldの実行委員長になり、そのときに清家さんと峠さんに登壇してもらいました。その流れで、僕は前年の実行委員長として清家さんにノウハウをお伝えしつつ、2024年をサポートすることになりました。今回はノベルティ担当をやらせてもらいました。

大谷:最後に峠さん、お願いします。

峠:北海道ガスというエネルギー会社で働いている峠幸寛です。全社のDXを統括するDX構造改革推進部に所属していて、基幹システムの刷新がメインのお仕事になっています。現在は2つのプロジェクトリーダーをやらせてもらっていて、そのプロジェクト管理にBacklogを活用しています。

Backlog World 2024の運営を担当した北海道ガスの峠幸寛氏

私がBacklogを使うようになったのは2022年10月で、JBUG札幌に登壇したのが1年後の2023年10月です。その登壇でかなり良い反響をいただき、友人と運営メンバーから「Backlog Worldに出た方がいい」と懇親会中にずっと背中を押してもらっていました。当時はBacklog World自体も全然知らなかったのですが、公募に通ったので、Backlog World 2023で登壇させていただいたという流れです。

ちなみにBacklogに関しては、去年からプライベートのメモも全部Backlogに残すようにしています(笑)。公私ともにお世話になっております。

大谷:生粋のJBUGerですね(笑)。

リーダーシップをとれるメンバー集めからスタート

大谷:続いてBacklog World 2024のプロジェクトをスタートから振り返ってもらえますか?

清家:先ほどお話ししたとおり、僕はもともと JBUGやBacklog Worldへの関わりは深くなかったため、まずは昨年の運営ノウハウを徹底的にリサーチすることから始めました。

JBUGコミュニティマネージャーの藤本さんから情報をいただいたり、Backlog Worldらしさを知るために井上さんとミーティングさせてもらいました。

井上:Backlog Worldは2019年から開催されており、2019年はオフライン、2020年・2021年がオンラインでの開催で、僕が実行委員長を務めた2023年は、4年ぶりのオフライン開催だったので、再集合みたいな感じでイベントを立て付けました。その続きとなる2024年は、ちょっと違くなるやろなという感じだったのかなと思います。

大谷:最初に手を付けたのはなんでしょうか?

清家:絶対外せないタスクとして、場所の確保を最初にやりました。僕が新参者ということもあったので、これまでの積み重ねを活かしたかった。その点、昨年のBacklog Worldでプロジェクトアワードを受賞されたパシフィコ横浜さんを会場にできたら、イベントとしてはきれいだなというのがあったので、会場を押さえて、開催日時を決めました。

会場となったパシフィコ横浜

並行して進めたのは、メンバー集めです。けっこうな人数が必要だと思ったのですが、1つこだわったのは、「『とりあえず人を集める』というのをやめる」ということです。メンバーとして確実に意思をもって動いてくれる人だけを集めました。

大谷:そこはプロジェクト組成でわりと重要なところですね。

清家:はい。昨年の流れから、井上さんにサポートしてほしいというのは決めていたのですが、峠さんに関しては完全に私からの指名でした。峠さんなら間違いなくポジティブに動いてくれると思ったので。

峠:僕が清家さんに誘ってもらったのが7月7日でしたね。

清家:その他のメンバーも「今までのJBUGの動きの中で、この役割を担う人がほしいです。この役割ならこの人で間違いないと思った人を教えてください」と周りにオーダーして決めました。僕がいままでのBacklog Worldのメンバーを深く知らないからこそ、こういう人が欲しいという「ロールに着目」してリクエストを出して、少数精鋭でやったと思っています。チームがどう正しく動くか、という条件から考えていましたね。

本人のやる気優先で役割を分担

大谷:運営メンバーの構成や、具体的な役割分担について教えてもらえますか?

清家:メンバーとしては13名で、「ツーマンセル」ということで1つの役割に2名のチームを充てました。チームとしては「サイト」「SNS」「スピーカー」「スポンサー」「デザイン発注」「会場」「会計」「PMO」「ヌーラボ」などがあり、それら全体を統括する実行委員長の私がいるという体制です。これをそのままBacklogのカテゴリとして設定して、チームに割り当てています。

役割分担に関しては、「やりたいことありますか?」とメンバーに聞きました。もちろんロールに着眼してお声がけしたメンバーではあるのですが、ふだんからコミュニティにはポジティブに関わってほしいと思っているので、ここでも本人のやる気を優先したわけです。その点、井上さんは「ノベルティやりたい」と言ってくれていたのでわかりやすかったのですね。一方で、なんでもできてしまう方に関しては、僕から割り当てていくことになりました。

井上:ただ、基本的には希望した役割にばっちり当てはめてくれたと思います。

大谷:峠さんは希望した役割になったのでしょうか?

峠:僕はとにかく「熱い場」にしたかったので、なにかやるなら講演者対応に回りたいなと思っていました。僕がたまたま参加できなかったBacklogのミーティングで役割分担が決まったのですが、僕もやりたかった講演者対応にアサインしてもらいました。だから、みんながやりたい役割に自然にアサインされていた感じなんだと思っています。

清家:僕もコンテンツにはこだわりたかったので、スピーカーのチームにも所属させてもらいました。ただ、こだわりすぎた結果、僕の動きが悪くなってしまいました。やってみて、決定権者がタスクを持たないことはけっこう大切だなというのは気づきでした。

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