このページの本文へ

「きったん」と「あーけん」がkrewData活用をディープに語る

krewData曼荼羅を見せてもらったら、業務改善や自動化のヒントが凝縮されていた

2025年03月10日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 写真●曽根田元

提供: メシウス

  • お気に入り
  • 本文印刷

従業員マスタのデータ生成を自動化するZOZOのkrewData曼荼羅

 二人目のゲストは「あーけん」ことZOZO IT統括本部 コーポレートエンジニアリング部の新井 健太さん。コーポレートエンジニアリング部はいわゆる情シスに当たる部門で、全社ツールのアカウント管理のみならず、現場とともにSaaS導入や運用、業務の効率化まで踏み込んでいる。こうした中、おもに交通費の申請や名刺の発注、稟議といったワークフローシステムとして使われているのがkintoneだ。

ZOZO IT統括本部 コーポレートエンジニアリング部 ITサービスブロック 新井健太さん

 新井さんも前々職でkintoneと出会って以来、知見を積んでおり、現在はkintoneアプリの開発やkrewDataの活用まで手がけている。「弊社はテクノロジーの力を使ってファッションを楽しめる世界を目指しています。そんな会社のコーポレートエンジニアとして、社員の働きやすさを向上したり、効率化による課題の解決を目指しています。その中でkintoneやkrewは重要なツールで、2つのツールの活用を通じて社員に貢献できるアプローチを探しています」と新井さんは語る。

 ワークフローのkintoneを利用しやすくするため、ZOZOでは申請者やその上長を容易に登録する基盤を運用している。この基盤の安定的な運用においては、組織変更や人事異動に迅速に対応する従業員マスタの保守が重要になるが、従来はマスタの情報源をスプレッドシートで管理していたため、マスタ更新は人手の作業が発生していた。これを自動化するために導入されたのがkrewDataだ。

 まずスプレッドシートを「入退社異動管理アプリ」としてkintone化。今回紹介してくれたkrewData曼荼羅は、このいわば台帳アプリのデータから入社情報を生成し、従業員マスタに登録するまでを担う。ここで目に付くのは、一般社員、ブロック長、ディレクター、本部長などの役職ごとに、入力アプリが異なることだ。これは役割ごとに利用されているフィールドが異なるため、フロー内ではそれぞれに入力アプリを用意して保守しやすいよう工夫している。それらのデータをkrewDataで整形し、マスタでは同じカラムに入るようにレコードを結合している。1つの入力アプリで運用すればkrewDataの処理も簡素化できるが、エンドユーザーの利便性とkrewDataの処理の保守性を加味して、こういった設計になっている。

 役割の違いのみならず、アルバイトからの社員登用など、入社経緯が通常と異なるパターンも個別にルートを作っている。ただ、これだけルートが多数になると、登録パターンによっては重複したデータが生成されてしまうため、途中でデータに優先順位を付け、結合した後に重複を排除してマスタに採用するといった工夫も凝らしている。

人事異動の情報をチェックするZOZOのkrewData曼荼羅

 ここまで紹介してくれたのは入退社異動管理アプリから従業員マスタにデータを流し込むためのkrewData曼荼羅だが、実はキモは「入退社異動管理アプリにデータを入れるまで」にあるという。「入社や退職は人の手で入れていますが、異動、昇進、兼務・兼任などの情報は現場の方々が入れてくれた申請情報をそのまま台帳に登録しています。この登録情報に誤りがないかは、今まで目視で確認するしかありませんでした」と新井さんは語る。

 この課題に対して新井さんが作ったkrewData曼荼羅は、「申請された人事異動情報の整合性チェックフロー」だ。登録された情報からマスタ用のデータを作成していた先ほどのフローに対して、こちらは人事異動が正しく登録されているかのチェック結果をkrewDataでログとして出力できるという。

 ルートにあたるのは、現場が申請した情報を管理する「人事異動情報管理台帳」。このアプリに登録されているデータが正確かどうか、異動、昇進、兼務・兼任などを登録したさまざまな入力アプリと突合する。複雑そうに見えるフローだが、異なるルートで同じエラー文の作成を行なっているため、共通化されているパートは多いという。ルートごとに作成されたエラー文は結合され、最終的にはログとしてアプリに出力される。

 エラー文は「組織変更に伴う人事異動情報不足を検知しました」「本務の組織と兼務先の組織で同じレコードがあります」などと表示される。エラー文に改行コードを生成させ、読みやすくなっている点もポイントだ。あとは、台帳に登録した担当に必要な情報の入力や誤りの訂正をお願いすればよい。krewDataと言えば、集計や加工だと思っていたので、エラーチェックに使っている点は驚かされた。

カテゴリートップへ