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デザイン会社ビーワークスのプロジェクトにBacklogがなじむまで

Backlogを16年使うとこうなる 血肉となったプロジェクト管理ノウハウがすごい

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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 Web制作・広告制作や自社ゲーム開発など、さまざまな案件にBacklogを活用するビーワークス。16年に渡って使い続けたことで、事業の多角化に柔軟に対応できているという。ビーワークスのメンバーに16年間の利用経緯や導入で越えられた壁、ツールの使い分けなどのノウハウを聞いてみた。

Web制作ですら「進行袋」だった会社がBacklogを導入したら

 ビーワークスは200名規模の総合デザイン会社。出版社向けの広告宣伝を支援する出版サービス事業部、「なめこ栽培キット」シリーズをはじめとする自社ゲーム開発を行なうゲーム事業部、多種多様なクライアントのマーケティングを支援するマーケティングデザイン事業部に別れ、幅広い事業を展開している。今回取材したマーケティングデザイン事業部は、営業、企画制作、デザイン、開発などのチームで、ブランディング・UX/UI設計からWeb等のアウトプットの制作まで、工程・媒体を問わないデザインを通してクライアントの課題解決をサポートしている。

 ビーワークスの三浦義多佳氏は、「2001年の創業当初は紙媒体のDTPをメインの事業としていたのですが、時代の変化とクライアントのニーズに対応しながら提供サービスを拡大してきました。ここ数年は、制作物の形態を問わないブランディングや発信するメッセージング、社員向けのインナーブランディングをお客さまといっしょに考えるというお仕事も増えています。いろいろなビジネスを手がけていますが、デザインを通してクライアントの課題解決を支援するというスタンスは共通しています」と語る。

ビーワークス マーケティングデザイン事業部 営業部 営業2グループ 課長 三浦義多佳氏

 Backlogの導入は2009年。なんと16年前にさかのぼる。「当時は、DTPで紙の制作物を請け負っていたのですが、進行袋で管理していました。Web制作でさえ、進行袋だったようです」(三浦氏)とのこと。そんな中、クライアントからの依頼をきっかけとして導入されたのがBacklogだった。今回取材したメンバーはすでに導入後に入社しているため、当時の様子は導入担当者のプレゼンからでしか伺えないが、効果は劇的だったという。

 翌年には自社導入を決め、大手企業の案件ではクライアントと利用することも増えた。当時12名だったマーケティング事業部は現在では80名規模に拡大したが、Backlogはそのコミュニケーション基盤として利用されるようになった。「新入社員にはBacklogで日報を書いてもらい、先輩がフィードバックするみたいな感じで、コミュニケーションに慣れてもらっています」(三浦氏)。

 当初はBacklogの利用はマーケティングデザイン事業部に閉じていたが、その後は出版サービス事業部やゲーム事業部など他の事業部でも導入が進んだという。スモールスタートで導入し、現在は全事業部でアカウントを契約し、全社で利用している状態だ。「1つの事業部からヌルッと導入し、効果を上げてから他の事業部に展開。気がつけば全社で使っているという状態です。16年経った今では、社内外問わず、Backlogでコミュニケーションさせてもらっています」と三浦氏は語る。

 現在はヌーラボの公式パートナーもなっており、Backlogをクライアントに提案する立場でもある。ここでは単に導入支援やサポートだけではなく、プロジェクトの進め方まで提案できるところが大きいという。「たとえば、定例会議でBacklogを使ってアジェンダを立て、Wikiで議事録残せばわかりやすいみたいな進め方は、クライアントによっては『目から鱗だった』と言われます。このノウハウは納品物以上の資産になっているかもしれません」(三浦氏)。後述する自社プロジェクトの案件でも、この強みを強く認識することになる。

Backlogで場所、規模、費用の壁を越えられた

 ビーワークスがBacklogで越えたのは、場所と規模、費用という3つの壁だという。

 「場所の壁」は、もちろん物理的な拠点ごとに閉じてしまうコミュニケーションの壁を指す。同社は東京と大阪に拠点を持っていたが、拠点ごとに組織も異なっていた。しかし、コロナ禍でリモートワークが解禁になったことで、拠点という概念があいまいになった。そのため、Backlogがコミュニケーションの基盤となり、場所を意識しない働き方が可能になったという。

 「規模の壁」は、組織の成長でぶち当たった壁だ。「12名程度だったらともかく、80名で100を越えるプロジェクトを抱えると、もはや口頭、紙、メールでは無理。しかも、昔はクライアントから弊社の営業担当やディレクターに連絡が来て、そこからデザイナーやエンジニアに対して縦に指示が飛ぶのが普通でしたが、最近は横や斜めの連絡経路も増えました」と三浦氏は語る。

 ここで言う横の連絡経路というのはデザイナー、エンジニアといった異なる職種のメンバーで、クライアント側も複数の担当者が参加する可能性がある。また斜めの連絡経路に入るのは、たとえばカメラマンやクライアントWebサイトのサーバー管理者などの関係者だ。「こうなると関係者が全員参加でき、適切な人が適切な人にボールを打ち返せるBacklogのようなプラットフォームが必要になります」と三浦氏は語る。Backlogが規模の壁を壊したことで、社内組織の縦経路のみならず、社内外の横経路、斜め経路まで、メッシュ状にコミュニケーションが行き届くようになった。

 最後の「費用の壁」は、作業コストの透明化を意味する。Backlogによる作業の見える化が、クライアントに対するコストの透明性につながり、納品物よりコミュニケーション自体に比重を置いた案件も増えてきた。「Webサイトのディレクションは納品物がないため、クライアントからコストが見えにくい。でも、Backlogがあれば、進行管理や情報集約などプロジェクトの進行に寄与するディレクターの活動が見えやすくなります」と三浦氏は語る。

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