実務経験ゼロから、国家資格で未来を切り拓く!
宅建士を取得して看護師から不動産会社を起業。たった2年で収入が3倍に!
愛知県と岐阜県を拠点に、収益物件の売買や賃貸仲介をしているあーこ不動産さん。ひとりで不動産会社を設立してわずか2年だが、順調に成長を遂げている。彼女はもともと看護師から不動産の世界に飛び込んだ異色の経歴の持ち主。ライフシフトのきっかけは、将来に対する漠然とした不安…。宅建士(宅地建物取引士)試験の合格が起業を後押ししたという。
なぜ看護師を辞めた?転職を決意させた「将来への漠然とした不安」
「看護師の仕事は好きでしたが、先輩たちが出産や育児で働きづらそうにしているのを見て、自分も同じ道を歩むのではないかと不安になったんです。」
看護師としてのキャリアを積んでいた森田さんだが、将来に対する漠然とした不安が心に影を落とし始めていた。ライフイベントで働き方が制限される現実を目の当たりにした彼女は転職を視野に入れ始める。
「また、時間を切り売りするように働くのではなく、いつかは自分で事業をしてみたいと思っていたので、いろいろなセミナーに参加し、たくさんの本を読みました。その時に不動産投資に興味を持ち、『これだ!』と思ったんです」
森田さんは、すぐに行動にうつった。当時は不動産の知識が全くなかったため、まずは宅地建物取引士の資格を取得することから始め、異業種での新たなキャリアを切り拓こうと決意したのだ。
看護師業と両立しながら合格を勝ち取れた秘訣はSNSにあり
「10か月勉強すれば受かると聞いていたのですが、私は短期集中型なので5か月前から始めました。5か月間は勉強優先の生活に切り替えたのです。早朝や昼休みの時間を使って毎日3、4時間は勉強しました。市販のテキストと問題集を購入し、YouTubeで講義動画を見て理解を深めました」
当時、森田さんは異業種の知り合いは少なく、まわりに宅建士を目指す人もいなかった。
「短期集中のため、毎日勉強することは必須でした。一日でもサボるともう戻れない気がしていたので、モチベーションを保つことに苦労しました。そこで、試験を受ける仲間を作るために、Xのアカウントを開設し、『#宅建』とハッシュタグをつけて勉強の様子を投稿することにしました。勉強仲間ができ、励まし合うことができました」
さらに、勉強する彼女の姿を見て、職場の同僚も一緒に宅建士を目指すことになったという。
宅建士試験の勉強を進めるうちに、不動産業界での仕事にますます興味を持ったという森田さん。試験前に辞表を提出し、背水の陣で試験に挑み、見事合格を勝ち取ったのだ。
看護師資格よりコスパが高い!?宅建士の働き方はさまざま
「不動産とは遠い環境にいると資格を取るのは難しいと感じるかもしれませんが、勇気を持って一歩踏み出してほしいです。私は宅建士資格は看護師資格よりコスパがいいと感じました。私は看護師になるために4年間大学に通いましたが、宅建士は仕事以外の時間で勉強して、テキスト代と試験の受講費用だけで取得できたからです。試験に受かれば、実務経験は必ずしも問われません」
宅建士免許を持っているとさまざまな活躍の場所があり、多様な働き方ができるのも魅力だという。
「まず、不動産業を営むためには、スタッフ5人につき1人の専任の宅建士が必要です。専任の宅建士というのは、その会社以外で兼業をしていない人なので、正社員として採用されやすいのです。営業に自信があるという方でなくても、宅建士であること自体が会社への貢献になる場合もあります。また、宅建士の平均年収は500万前後だと言われていますが、ボーナスやインセンティブの大きい会社も多く、実際はもっと年収が高い人もいます。
最近では、不動産エージェントという働き方もあります。不動産会社と業務委託契約をして、その会社の名刺を使って案件があったときに仕事をして利益を会社と個人で分けるという働き方です。フルコミッション制なら固定給がない代わりにノルマもなく、自由に働いてる人もいるそうです。兼業でも可能です。
また、宅建士資格を持っているとできるアルバイトもあります。宅建士しかできない業務の一つに重要事項説明を読むという仕事があるんですが、売買や賃貸の仲介では必ず必要になります。その重要事項説明を読むという仕事を外注している会社があり、3000円~5000円で受けているという話を聞いたことがあります。最近ではオンラインで重要事項説明をできるようになったので、在宅でも働けるチャンスが増えました」
一人で不動産会社を開業!かかった資金は?月のランニングコストは?
このように数多の選択肢があるなかで、森田さんが選んだのは独立開業だった。街の不動産会社をイメージすると「目立つ場所に店舗を借りて、何人もスタッフを雇って…」というイメージがあるが、実際は店舗を構えなくても、一人でも開業はできるのだという。
「不動産会社を開業するためには、都道府県に許可申請をして宅地建物取引業免許の交付を受ける必要があります。要件の一つに、専任の宅地建物取引士を設置することとあるのですが、自分が宅地建物取引士になっていれば大丈夫です。また事務所は、いくつかの要件を満たせば、開設できますよ」
一人で不動産会社を始める場合、開業資金はどのくらい必要なのだろうか。
「宅建協会、保証協会の入会金で180万円。また開業資金は法人の設立に約25万円、電話やFAXなどの備品代に約30万円。そのほかに、事務所を借りる費用などで最低でも合計約350万円ほどかかります。私の場合は、看護師時代の貯金を開業資金に充てました。金額的にハードルが高いと思われる方もいるかもしれませんが、その分参入する人も多くはないという印象です。仲介手数料は物件価格の3%+6万円+消費税なので、例えば3000万円の物件の取引だと税込みで100万円を超える収入が得られます。つまり、3000万円の物件を4回取引すれば、開業費用はペイできるという試算になります。
運転資金の主な内訳としては、事務所がある場合は家賃と、集客のためのポータルサイト掲載費用として月に4~5万円、あとは案内をするときの交通費くらいでしょうか」
開業して間もないころ、売上ゼロの時期をどうやって乗り越えた!?
知り合いの事務所での修業を経て、独立した森田さんだったが、初めての契約を得るまでには苦労があったという。
「開業当時は人脈がほとんどなかったため、まず地元・岐阜市の問屋街へ足を運びました。シャッター街になってしまっていた商店街にお店を誘致して、にぎわいを取り戻してほしいと思っていたのです。そこで、空き店舗のオーナーさんを1軒1軒訪問して『この店舗を誰かに貸しませんか』と、営業して回りました。開業直後の3ヶ月は仕事が全然なく、『貯金が底を尽きたら看護師に戻ろう』と弱気になるときもありました。しかし、あるとき商店街の人が声をかけてくれて、その方が持っている他の物件を売らせていただけることになったのです。それをポータルサイトに掲載したところ、投資家さんが買ってくださいました。それが初めての契約です」
その後も、さまざまな人と会い、さらにYouTubeやSNSも活用して人脈を広げていったという森田さん。
「不動産仲介において、看護師時代に培った寄り添う姿勢が生きていると感じています。また、不動産は大きなお金を扱う業界ですので、女性が対応することでお客様に安心してもらえることもありました。
不動産業界は女性にもチャンスがたくさんあると感じています。時間に縛られず、ライフステージに合わせた働き方も可能なので、自分らしいキャリアを築きやすいですよ。将来的には、独立を目指す女性たちをサポートできるようにもなれればいいなと思っていて、開業支援やシェアオフィスの運営にも興味があります」
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