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全社への浸透のさせ方、現場での活用アイディアの広げ方――「BoxWorks Roadshow Osaka 2024」で語る

Boxを使い倒せ! 井村屋が7年間で学んだ「定着化」「活用拡大」ノウハウを披露

2024年09月25日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: Box

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Boxは社員の日常業務にも定着、DXに向けて“使い方のアップデート”を推進

 導入から7年が経った現在、Boxは井村屋の日常業務にすっかり定着している。岡田氏は「社内では『あらゆるファイルはBoxに置く』というのが当たり前に浸透しています。もうBoxそのものを意識することは少なくなりました」と語る。

現在のBox利用状況。53TBを超えるコンテンツが保管されており、外部SaaSとの連携も進めている

 ユースケースもこの7年間で進化してきた。井村屋では、2030年に向けたデジタル戦略のロードマップを策定しており、2024年の現在は“デジタルによる業務効率化と生産性向上(デジタライゼーション)”が目標となっている。講演の中で山崎氏は、こうした目標に合致するいくつかの新しいユースケースを紹介した。

 ひとつは、協力工場など外部とのコラボレーションの強化だ。他の会社とやり取りする「製造仕様書」「請求書」「納品伝票」といった帳票を、これまでのようにFAXやメールではなく、Boxの共有フォルダを使ってやり取りする仕組みに切り替えているという。帳票ファイルをアップロードすると、相手側にはそれが自動通知されるのでコミュニケーションの無駄がない。今後は「Box Sign」による電子署名も導入予定だ。

 「われわれデジタル戦略室でも、パソコンの発注業務でこの仕組みを使っています。PCリース会社さんとBoxのフォルダを共有して、お互いに見積書や発注書を保存するかたちです。紙やメール添付でのやり取りのように書類が行方不明になることがなく、あらかじめフォルダで整理した状態で共有されるので効率的ですね」(山崎氏)

 ただし、セキュリティ的に安全・安心な環境でなければ、社員が安心して社外コラボレーションを進めることができない。操作ミスなどによる情報漏洩を防ぐために、井村屋では「Box Shield」の分類ラベル機能を活用しているという。「公開可能なコンテンツ、社外秘の機密情報、特定の外部企業とのみ共有するもの、といった分類をして、共有リンクの作成などを制限しています」(山崎氏)。

Boxを通じた社外とのコラボレーションで、無駄がなくセキュアなコミュニケーションが実現する

 また、Box側の機能強化で追加されるさまざまなサービスも積極的に活用している。

 ワークフロー自動化ツールの「Box Relay」は、定期的に発生する細々とした手作業を自動化するのに役立っているという。たとえば勤怠管理業務の場合、毎月1回、RPAツールがレポートのファイルをBoxフォルダに保存すると、管理職への通知やタスク割り当てが自動的に行われるようになっているという。ほかにもさまざまな通知、ファイルの自動振り分け、コピーやバックアップなどの作業を自動化していると紹介した。

ワークフロー自動化の「Box Relay」も活用している

 Box上のコンテンツを組み合わせた社内ポータルがノーコードで作成できる「Box Hubs」も活用している。社内イベントとしてフォトコンテストを開催した際、社員からの応募写真は「ファイルリクエスト」機能でBoxに集め、そのフォルダを共有して審査を行い、結果発表ページはBox Hubsを使って作成した。

 「Box Hubsでの公開は、複数の写真を選んで『写真を追加』をクリックするだけです。写真の募集から審査、公開まで、人手がかかる作業を軽減して、社員が撮影したコンテンツの魅力を伝える、良い活動ができたのではないかと思っています」(山崎氏)

社内のフォトコンテスト運営はBoxのサービスをフル活用して省力化した

新たなBox活用アイディアは現場から、そして新機能から生まれる

 井村屋では2020年から、組織横断型で「DX戦略プロジェクト」を発足させている。「つながり改革(外部コラボレーションのDX)」「ものづくり改革(製造現場のDX)」「働き方改革(働き方のDX)」の3つをテーマに、各部門から集まったおよそ40名のデジタル担当者がデジタル化を推進していくという取り組みだ。

井村屋では全社横断の「DX戦略プロジェクト」でデジタル化を推進している

 こうした全社的なDX推進体制を敷いたことで、現在ではデジタル戦略室側ではなく、各現場からもBox活用のアイディアが出てくるようになっているという。社内で「Boxにコンテンツを置くのが当たり前」になったからこそ、その次の活用アイディアも生まれるわけだ。

 「現場のデジタル担当者向け勉強会を開き、Box、kintone、Zoomなどのツールを使ってデジタル化を推進する方法を伝授しています。ただし、ツールの使い方をあまり締めつけてしまうと使われなくなってしまうので、最低限のガバナンスは効かせつつ、まずは自由に使ってもらおうというスタンスです。各現場のアイディアで、Boxの使い方は徐々に進化していますね」(岡田氏)

 それでは、これからのBox活用にどんな期待をしているのか。岡田氏、山崎氏とも「Box AI」への期待は大きいと口をそろえる。すでに社内では、Box Hubsに組み込まれたBox AIを使って、社内規定ポータルやBCP対策規定ポータルで質問回答機能を提供できるよう、関係部署と取り組みを進めている。

 「こういう規定文書は細かく作らなければなりませんが、そうすると現場社員が読むのが大変になります。そこで、規定としてはきちんと細かく作りつつ、社員が活用する際には生成AIがサポートして回答してくれる。そういう形が良いのだろうと思います」(山崎氏)

Box Hubsに組み込まれた質問回答機能の活用も開始した

 さらに岡田氏は、将来的に「Boxと“対話”ができるようになると面白いでしょうね」と語った。たとえば商品開発の場面で、Box AIに尋ねると蓄積されたコンテンツからさまざまなヒントを出してくれる。そこから新しい商品が生まれる――。そうしたAI活用のユースケースに対する期待の声は、経営層からも上がっているそうだ。

 山崎氏は、井村屋でのBoxのユースケースはこれからも増えるだろうと予想した。

 「これまで7年間使い続けてきましたが、その間のBoxの進化を振り返るとすごいですよね。機能がどんどん拡張されていくので、われわれももっと使いこなさないといけないなと思います。井村屋でのユースケースの拡大は、Boxさんに引っ張ってもらっている側面もあります」(山崎氏)

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