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週替わりギークス 第315回

お仕事悩み、一緒に考えます。#52

0歳児、いつから保育園に? 女性の働き方、とことん考えてみました

2024年09月07日 07時00分更新

文● 正能茉優

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働き方・仕事についてのお悩み、募集しています!

 「こんな働き方はもう嫌だ」「もっとこんな仕事がしたい」。
 誰かに聞いてほしい、でも近しい人にこそ言いにくい仕事の悩み。この連載では、そんなお悩みの解決の糸口を一緒に考えていきます。

 何か困っていることや考えていることがあれば、こちらまで気軽にメッセージください! 匿名のメッセージも、もちろん大丈夫です。

今回のお悩みは「働く女性と、0歳児」について

 ASCII読者の皆さん、こんにちは!正能茉優です。

 この連載「お仕事悩み、一緒に考えます。」では、今月も、読者の皆さまからいただいたお仕事に関するお悩みについて、一緒に考えていきます。

 今月のテーマは、前回に続き「働く女性と、0歳児」について。

 第一子を先月出産し、これからの自分の仕事ぶりに悩む女性からお便りをいただきました。

 複数の時間軸・目線が存在するからこそ判断が難しい、仕事と子の両立について、どう考えていくのか。

 前編に続き、この後編では初心者ながら私も一緒に考えさせてください。

0歳児がいながら、仕事をする。ベストなやり方は?

 正能さん、はじめまして。私は先月第一子を出産し、3ヵ月後の仕事復帰を予定している者です。自身の仕事の都合、そして実家の母によるサポートなどのもろもろを踏まえ、子が4ヵ月のタイミングでの復職を予定しています。

 再来月には勤務先の人事との復職面談があるのですが、最近、本当に生後4ヵ月での復職でいいのか、悩み始めました。

 産前に考えていた考え・気持ちと今明らかに違うのは、

●子と一緒に過ごした方がいいのでは? 母親は自分しかいないという責任感と、子をどこか可哀想なのではないかと思う気持ち
●授乳をミルクに切り替える、保育園のスケジュールに合わせ昼寝などのリズムをつくるなど、子の毎日を変えられるのか・変えていいのかという不安
●こんな手がかかる生き物がいる状況で、本当に自分は仕事で価値発揮できるのかという不安

 といったあたりかと思います。

 そもそもまだ保育園の入園可否の結果が出ないので復職は確約ではないのですが、まずは自分の希望を明確にするにあたり、今自分が抱いている責任感や不安が今後どう変わっていき、それらに自分がどう向き合うべきかの解像度を上げていきたい状況です。

 そこで伺いたいのですが、実際にこの1年間、正能さんは「小さな赤ちゃんがいる状況での仕事」と「仕事がある状況での小さな赤ちゃんとの向き合い」について、どう考え、どう判断されてきましたか?

 以前も「仕事が好きで、仕事を頑張りたい女性の産休・育休」について書かれていた記事を拝見しましたが、それ以降の出来事も踏まえ、実際に0歳児の育児をしながら仕事する日々を送られている中でのリアルなコメントを参考にさせていただけるとありがたいです。
 プライベートな質問であることは重々承知しておりますので、答えられる範囲でぜひよろしくお願いします。

(タガワさん(仮名)・37歳・会社員)

自分にとって、子にとって……目線を分けて考えてみる

 改めて、お便りありがとうございます!そしてご出産おめでとうございます。

 それでは早速、前回の続きから参りましょう。

 「復職したい・すべき理由もあるが、復職したくない・すべきではない理由もある」場合にどうするのかを決めるために、私はこのようなワークシートをつくって、考えてみました。

 使い方は、4ステップ。

1. 自分にとって、子にとって、家族にとって、という3つの目線に、2つの時間軸を掛け合わせた12マスに対して、自分の今の率直な気持ち・考えを書いてみる

2. 7-12については、乗り越える方法・受け入れられるやり方がないかを模索する。それでも難しいものがあれば、7-12の懸念事項として残しておく

3. 2で残った7-12をもとに、1-6をもう一度見直し、1-6を見直すことで乗り越えられる7-12があるか検討する。難しい場合には、1-6はそのまま残す

4. 2と3を比べて、最終的にどうしたいか決める


 本当は時間をとって、対話しながら一緒に書いてみたいのですが、今回はそうもいかないので、1ステップずつ順を追ってご説明できればと思います! もしお近くに、育休に悩む友人やパートナーがいれば、対話しながら一緒に取り組んでみるのもいいかもしれません。

 それでは早速、1つ目の「自分にとって、子にとって、家族にとって、という3つの目線に、2つの時間軸を掛け合わせた12マスに対して、自分の今の率直な気持ち・考えを書いてみる」から始めていきましょう。

1. 自分にとって、子にとって、家族にとって、という3つの目線に、2つの時間軸を掛け合わせた12マスに対して、自分の今の率直な気持ち・考えを書いてみる

 当時、産後初めてパソコンを開いて、このワークをやったのですが、2時間ほどの思考を経て、私の12マスにはこんな言葉が埋まりました。

 このワークシートを書いてみてまず感じたのは、「これらの12マスに表現されていることを、その時起きた出来事や、その時触れた情報で部分的に思考しては、それはなかなか答えも出ないな」ということ。

 今思えば産後の自分は少し衝動的・部分的な思考が強い傾向にあったように感じており、例えば「1歳までは保育園に入れずに、親が子といるべきだ」といった趣旨の情報をインプットすれば、他の諸々を思考せずに、そうしてあげたいとそのときは強く思うなど、多角的に情報を集めて、さまざまな時間軸を意識しながら総合的に判断することから遠ざかっていました。

 だからこそ、この12マスを使って、強制的に思考に複数の目線と時間軸を持たせることができたことがよかったように思います。

 また、家族の目線は、当時の私は子のことと自分のことで精一杯だったため、なかなか考える余裕もなく、実はこのワークを機にゼロベースで考えました。

 その中で感じたのは、子はもちろん最優先であるものの、その子を幸せにしていくチームとしての家族に目を向けられたのは、のちの自身の思考・行動の際の目線を形づくる貴重なきっかけになったようにも感じています。

2. 7-12については、乗り越える方法・受け入れられるやり方がないかを模索する。それでも難しいものがあれば、7-12の懸念事項として残しておく

 次に、1で埋めた12枠のうち、下の6枠(青枠部分)にある「復職したくない・すべきではないと考える背景」について、深掘りをしていきます。

 同じシート内に書いてももちろんよいのですが、今回はわかりやすいように、一旦1の下の6枠のみを切り出して、それらに対する対応策を考えてみました。

 黄色でハイライトを入れてある箇所が、懸念の残る項目です。


 このワークを通しての気づきは、現状で何らかの解決策がありそうなものを除いて、「やれない」と判断するには時期尚早で、「やってみないとわからない」ということ。

 だからこそ、黄色ハイライト部分の懸念が残る項目について、懸念を減らせる方法はないか次のステップでもう一段階考えてみることにしました。

3. 2で残った7-12をもとに、1-6をもう一度見直し、1-6を見直すことで乗り越えられる7-12があるか検討する。難しい場合には、1-6はそのまま残す

 このステップでは、2のワークで解決方法が見つかったものについては取り消し線を、懸念が残るものについては黄色ハイライトを入れ、1の表に反映しました。


4. 2と3を比べて、最終的にどうしたいか決める

 最後に、3までのワークで黄色ハイライトにした懸念が残るポイントを見ながら、「復職したい・すべきと考える背景(オレンジ部分)」について、懸念を減らすために譲れる/譲れないを再考しました。

 考えた結果、変えられる項目は緑で、絶対に変えたくない項目は赤字にしてみます。

 私の場合、仕事が生活の一部にあり、しかもその仕事できちんと自分の役割である「決断・判断」をしたいという気持ちが常に強くあります。

 ただ一方で、自分のキャリアについては、産前までそれらに傾けてきた時間や想いを10とすると、今この瞬間10で職場復帰したいわけではなく、7くらいあればいいなという思いでした。同じ仕事に関することでも、譲れることと譲りたくないことがあるようです。

 また、子の目線では、自分だけではできることに限界がありそうゆえ、さまざまなあそび・経験をプロの力も借りながらさせてあげたいと考える一方で、子にロールモデルを示したり、お金のことを考えたりするのは、時間軸上数年後でもいいという気持ちになりました。

 お金に関しては、家族という目線でも同様です。

 ただ、子を幸せにしていくチームとしての家族との関係性は、私にとっては意識的に構築していきたいもので、だからこそ自分は「仕事をしながら、子とも向き合いたい」と思っているようでした。

 これらを総合して考えると、

・周りに子のサポートをお願いしながら、まずは自分のやりたい仕事を生活の一部にする

・ただ報酬やキャリアの面で一旦しゃがむことはあまり気にならないので、仕事を続けていく中で懸念が残るポイントが大きくなってきたら、時短勤務にしたりするなどして、仕事を調整する

 という結論に至り、産後3ヵ月のタイミングで仕事復帰を決めた次第です。

 なお後日談としては、やはり「子との時間がもっと欲しい」と思うことが多々あり、復帰6ヵ月目のタイミングからは、8時から15時の時短勤務で会社員としては仕事をしています。

 子が起きてから始業までの1時間半と、退勤から子が寝るまでの4時間、さらには日中の授乳時間の30分の、合計6時間は子との時間を過ごしつつ、今は1日8〜10時間程度働く毎日です(なんだかんだ仕事が終わらず、子が寝た後に仕事をすることもしばしばです)。

 今日ご紹介したワークをするまでは、仕事が好きな自分が、時短勤務を選択するなんて考えてもみなかったのですが、このワークを通して、自分がどうしても譲れないことや案外気にならないことがはっきりして、自分でも意外なほどにあっさり時短勤務を決めました。

 いち経験者として思うのは、実は自分自身の考え・価値観について、自分がアップデートできていないこともあるということ。

 だからこそ、ちょっと面倒臭いとは思うのですが、ぜひ自身の考え・価値観を棚卸しした上で、納得のいくご判断が実現できたらいいなと心から応援しています。

 

筆者紹介──正能茉優

ハピキラFACTORY 代表取締役
パーソルキャリア「タグものさし構想」事業責任者

1991年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部 卒業。
大学在学中に始めたハピキラFACTORYの代表取締役を務める傍ら、2014年博報堂に入社。会社員としてはその後ソニーを経て、現在はパーソルキャリアにて、HR領域における新規事業の事業責任者を務める。ベンチャー社長・会社員として事業を生み出す傍ら2018年度より現在に至るまで、内閣官房「まち・ひと・しごと創生会議」「デジタル田園都市国家構想実現会議」などの内閣の最年少委員を歴任し、上場企業を含む数社の社外取締役としても、地域や若者といったテーマの事業に携わる。
また、それらの現場で接した「組織における感情」に強い興味を持ち、事業の傍ら、慶應義塾大学大学院にて「組織における感情や涙が、組織に与える影響」について研究。専門は経営学で、2023年慶應義塾大学院 修士課程修了。

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