業務を変えるkintoneユーザー事例 第239回
インデックスが大規模開発で進めた全体最適化
熱意でもぎとったkintone導入、使いづらいDXツールによる現場の不満を解消できるか
2024年09月04日 07時00分更新
kintoneユーザーによる事例・ノウハウの共有イベント「kintone hive 2024 Tokyo」が開催された。
本記事では、2番手に登壇したインデックスの牧良太氏のプレゼン、「補助金を活用した大規模開発で全体最適化を目指せ!~各種業務の可視化戦略~」をレポートする。
二重入力や使いづらいDXツールをどうにかしたい!熱意で押し切ったkintone導入
インデックスは、建設領域のプロジェクトマネジメントを手掛けており、オフィスや住宅、生産施設、都市開発を事業構想段階からトータルでサポートしている。近年は建設領域だけでなく、社会公共インフラや自然エネルギーの領域にも事業を展開し、海外へもビジネスを拡大している。
同社は以前からデジタル化を推進していた。社内承認や会計、人事労務、予実管理、工数管理、BIツールまで揃っており、ノートPCやスマートフォンも社員に支給。無駄に紙を印刷することはなく、在宅勤務の環境も整えていた。
しかし、ここまで整えたDX化にも課題があった。ひとつ目の課題は、「多発する二重入力」だ。スモールスタートでDXを繰り返した結果、バラバラな異なるツールすべてに、同じような入力作業が必要となった。当然入力ミスも発生して、データの信頼性も損なわれる。
2つ目の課題は「使いづらいDXツール」。一部のツールは現場に合わず、十分に運用できていなかった。そしての最後の課題は、「ツールを利用しない外国人社員」。彼らはほとんどのツールを使ってくれなかった。
iPaaSやRPAで二重入力を解決する手も考えたが、一部のDXツールが使いづらいという課題は残ってしまう。それなら、よりよいツールにリプレイスすればいいと思うものの、その手の製品は高額だ。業務に合わせてスクラッチ開発するのもコスト的に非現実的。そこでたどり着いたのが、ローコード開発ツールであるkintoneだ。無駄な入力をなくして、さまざまなデータをつないぐことが、“全体最適化”を図ることができるはず。
「ローコード開発でスクラッチと同じように開発できたなら、要求を満たしてくれるのではと考えました。kintoneは、標準機能だけではすべての要求を満たせないですが、豊富なプラグインで補え、必要に応じてJavaScriptで作り込めます」(牧氏)
一般的にkintoneはスモールスタートで導入することが多い。しかし、これまでのDXツールと同様に、小規模導入から入ると、「またか」と社員が悪印象を抱いてしまう。それであれば、いっそ大規模開発をして、「会社はkintoneを使って大きく変わろうとしてる。自分たちも変わらなければ」と意識改革させることを試みた。中小企業を対象とする“ものづくり補助金”をフル活用すれば、大規模開発のコストも抑えられる。
しかし、そこで社長から待ったがかかる。既存のDXツールに多額の投資をしたばかりなので、「どうにかならないか?」と言われたという。
「社長の意見と現場の要求が噛み合っていませんでした。社長の信頼は結果を出せば取り戻せるが、現場の信頼を得るにはここしかないと、腹をくくって現場を支持しました」(牧氏)
そこから、現場をヒアリングして、kintoneのプラグインを厳選してランニングコストも抑え、導入効果を社長にアピールした。しかし、なかなか説得できず、補助金の締切最終日。牧氏が「責任を持ってやるので、開発させてください!」と訴え、その熱意によって遂にゴーサインが出た。

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