エリアLOVEWalker総編集長・玉置泰紀のアート散歩 第24回

メンバーも驚く同期(シンクロ)がいっぱいの「Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡」がTOKYO NODE(虎ノ門)で始まったぞ

文●写真●玉置泰紀(一般社団法人メタ観光推進機構理事)

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 今年9月に結成25年目、メジャーデビュー20年目に突入するアーティスト・Perfumeの体験型エキシビションの内覧会に行ってきた。会場は虎ノ門のTOKYO NODE GALLERLY(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45F)。会期は8月9日〜10月14日。筆者は2005年の「リニアモーターガール」からのファンだが、今回の展示は、観客自身が彼女たちの創作に入り込めるような工夫が素晴らしい。膨大な情報が流れていく空間は同じ瞬間がなく、様々な表現がクロスして同期(シンクロ)する快感は、その場にいないと体験できない。ファンはもちろん、Perfumeが気になっていた人も是非、足を運んでほしい展覧会だ。

巨大なPerfumeの前で本人たちを撮影。展覧会の最初に登場する『We are Perfume』。天高12mのギャラリー天上から吊るされた3600個を超えるピンポン玉ひとつひとつに対して精密な位置調整をしたレーザー光線を照射する。ギリギリまで、寝る間も惜しんで作られたと言い、あーちゃんは「給料を上げてあげてほしい。ボーナスも出して上げんと」とのこと。筆者が手を挙げて、3人が応えてくれた瞬間を撮影した

 今回の展示は、彼女たちの驚異的な「身体性」とその舞台を支えるクリエイターたちの「テクノロジー」、それぞれが研鑽されて生まれる“奇跡の同期(シンクロ) ”をテーマに、 Perfumeが作り上げてきた表現への挑戦とステージの数々を再現している。 本展の総合監修にはPerfumeの振り付け・ライブ演出を手掛けるMIKIKO、インスタレーションには真鍋大度、クリエイティブコレクティブ・Rhizomatiksなど、 “チーム・Perfume”に長年携わるメンバーが脇を固め、25年におよぶ取り組みをステージとその舞台裏の両面から紐解いている。

 

 内覧会では、かしゆか(樫野有香)、あーちゃん(西脇綾香)、のっち(大本彩乃)の記者会見が開かれ、展覧会の見どころや、10月30日に発売される新しいコンセプトアルバム「ネビュラロマンス前編」、さらには新アルバムを携えての全国11都市を巡るツアー「Perfume 10th Tour ZOZ5 ”ネビュラロマンス” Episode1」(2024年12月~2025年4月)について語った。

 

 記者会見では、様々な見どころが語られたが、あーちゃんから衝撃の発表が。それは、ファンにはたまらない巨大年表「Perfume Chronology」(長さ50メートル!)を作成した時に、2000年結成ではなく1999年結成だったという事実が発覚したのだ。

 

 あ〜ちゃんは「こんなに長(なご)う続くと思っとらんでPerfumeが、誰も。じゃけん、結成した日も覚えとらんし、と思ったけれど、妹(西脇彩華)が覚えとって。『姉ちゃんらがユニットオーディション、2回目に受けとったときよ。それは、年越す前じゃけえ99よ』って。そうなん。驚きじゃあ……という会話がありました」と語り、「25年目にして大判明」。

 

 「これまでの数字全部間違ってるかもしれない。でも仕方ないねえ。長くやってるとね。こういうこともあります。今回から99年結成ということで25周年の歴史も書き換えておりますので、写メ撮っていってください。あと、Wikipediaさんにも2000年結成と書かれているらしいので、誰か修正してください。私300円を入れておきますのでお願いします」と呼びかけたが、その後、すぐに修正されていた。

 

あーちゃん

3人の生誕から始まる巨大年表「Perfume Chronology」

 かしゆかは、結成25周年を迎えた気持ちを、「最初に広島で組んだときは、10歳とか9歳で出会っていたので、漠然と『歌手になりたい』と言っていたけど、こう具体的に、みなさんと一緒に時間を過ごして、25年をこうやってたくさんの方とお祝いできることが本当にうれしいです。皆さん、ありがとうございます」と語った。

 

 新アルバム『ネビュラロマンス前編』について、かしゆかは「25周年に向けて、何かこうアルバムを作りたいね、という話からこれが生まれたんですけど、中田(ヤスタカ)さんから最初にお話を聞く機会があって、そこでタイトルもジャケットの絵のイメージも曲も全部そろった状態でお話を頂いたのが初めてだったんです。今まではシングル曲を録って、そのあとにアルバム曲を録って、雰囲気を考えてタイトルを作る、ていうプロセスがあったんですけど、中田さんのなかでもイメージがしっかりあってストーリーがあって、こういうアルバムにしたい、そして前編後編で作りたい、という想いを聞いて、私たちもびっくりしたよね」

 

 あーちゃん「ねぇ~。あんなん初めて。私らに期待しくれとる気持ちあったんじゃあ、って」

 

かしゆか

会場に展示されたポスター

 展示場でのみ先行公開される新アルバム 『ネビュラロマンス前編』の曲『IMA IMA IMA(いま・いま・いま)』は展覧会のテーマソングでもあるが、この曲と展示について、のっちは「とっても可愛い曲です。キャッチーでサビは可愛くて、ほんで、可愛いなあと思っていたら何か不穏な空気が流れる、みたいな、中田さんお得意の曲になっています。この曲は展示室で初体験できます。曲だけじゃなくて振り付け、それから新しいコンセプトのお衣装まで見ていただきながら、その展示も、皆さんが楽しんで頂けるようなギミックがある展示になっています。サビの中で『魔法みたいなものでしょ』という歌詞があって、ライブの演出って、時に不思議すぎて魔法みたいだなと思うことがあって、この展覧会にぴったりだな、と」

 

のっち

展示のラストは、ここだけで聴ける新曲『IMA IMA IMA(いま・いま・いま)』のコーナー。「架空のテレビ局の歌番組スタジオ」がテーマ。スタジオに入り込んだ観客は、自分自身がテレビクルーになったように、スタジオの照明や映像、スイッチングを操作して、演出に参加する事が出来る

実際にPerfumeになれる魔法の展覧会「Perfume Disco-Graphy」の見どころは多すぎて伝えきれない

  

 公式サイトから構成の3つのポイント。

 

1.Perfumeが歩んできた25年の軌跡を紐解く。圧倒的なスケールの展示空間

 

 ”アーティストとしても初となる、結成から現在までの歴史を巡る回顧展を総面積1,500平米以上におよぶTOKYO NODEの3つのギャラリーで開催。稀代のアーティスト・Perfumeが歩んだ25年を振り返る、またとない規模の展覧会です。”

 

2.身体性×テクノロジーの “ 奇跡の同期 ”。体験型アーカイブ展示の数

 

 ”「歌詞と振り付けの同期」「3人の身体の同期」「身体表現と演出の同期」「ファンとの同期」「時代との同期」など、本展のテーマであるさまざまな “同期”を、全長およそ60メートルにおよぶギャラリー内に再現。ファンにとっては過去の伝説的なライブを目の前で追体験できる一方で、ライブを見たことのない・Perfumeの楽曲を知らない方々も、演出の疑似体験を通して人間とテクノロジーの驚異的な同期を感じることができます。”

 

3.TOKYO NODEでしか見られない、本展だけのスペシャルコンテンツ

 

 ”展示室内には、ところどころにPerfumeのMVビジュアルが再現されたフォトスポットが登場。25年を振り返る巨大年表も制作され、この機会だからこそ見られる裏話や秘蔵コレクションの数々が展示されます。さらに展示室をディスコ会場にした週末夜のDJイベントや、オリジナルグッズを販売するポップアップショップ、メンバーが監修したコラボメニューなど、展覧会をさらに楽しむコンテンツを多数展開予定です。”

 

・Perfumeからのコメント

「私たちPerfumeの25年を振り返る展覧会「Perfume Disco-Graphy」の開催が決定しました! 結成してから25 年分のPerfumeの歴史、そしてライブ演出の軌跡が、一気に見られる展覧会です。ライブの演出の進化と共に、テクノ ロジーの進化も体感してきました。未知数の実験的な“人間とテクノロジーの挑戦”がそれぞれの努力と信じる力でピタッと合わさると身震いするような高揚感がやみつきになります。その何物にも代え難い感覚をぜひ体験して皆さんにぶっ飛んでほしいです。夏休みやシルバーウィークにも重なりますので、ぜひ全国の皆さんに遊びに来ていただけたら嬉 しいです。今年の夏は、虎ノ門ヒルズ・TOKYO NODE で会いましょう!」

YouTubeはこちら:https://www.youtube.com/watch?v=_Gyr8ecMFv4

 

Perfumeとは

 

あ~ちゃん・かしゆか・のっちからなる3人組ユニット。2007年にシングル「ポリリズム」がブレイク、独自な楽曲・歌詞・ダンス・MCなどで多方面から評価を得る。2013年にはフランス・カンヌで行われた世界最大の広告祭にて日本人歌手として初めてパフォーマンスを披露した。また、世界最大級の音楽フェス「Coachella 2019」や、ヨーロッパ最大の音楽フェス「Primavera Sound 2023」にも出演。日本国内だけでなく世界にて注目を集めている。今年アジア4都市にてツアーを開催。2025年9月には結成25周年、メジャーデビュー20周年となる。

Perfume オフィシャルサイト: https://www.perfume-web.jp

 

【実際の展示を回ってみたぞ】

 

●We are Perfume

 

 展覧会の最初に登場する『We are Perfume』。天高12mのギャラリー天上から吊るされた3600個を超えるピンポン玉ひとつひとつに対して精密な位置調整をしたレーザー光線を照射して、Perfumeのポーズの代名詞”Aポーズ”の3Dシルエットを浮かび上がらせる。2010年の東京ドームLIVEからステージ演出を手掛ける真鍋大度とクリエイティブ・コレクティブ、Rhizomatiksによる新作インスタレーション。

 

●Perfume Silhouette Corridor

 

 Perfumeの数々のシルエットが並ぶコリドー。様々な楽曲の象徴的な振り付けやポーズがくり抜かれたパネル。

 

●歌詞と身体表現の同期 Reframe

 

 Perfumeのダンスは歌詞から始まる。この作品は、Perfumeの過去の楽曲の歌詞と、身体表現である振り付けを解析し、さまざまな手法を用いて可視化したオーディオ&ビジュアルインスタレーション。巨大スクリーンは幅7m、高さ5m。

 

●3人の同期:FUSION inspired by 「FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。」(2018)

 

 三角錐型スクリーンのそれぞれの面にPerfumeが躍っている。過去のライブで採取されたボリュメトリックビデオデータ(被写体の周囲に張り巡らせたカメラから撮影した映像を、平面でなく立体3Dデータとして構築し、自由視点での鑑賞が楽しめる映像技術)を用いて投影していて、MIKIKO氏から「DNAレベルで同期している」と評されるPerfumeならではのシンクロを感じることができる。

●身体表現と演出の同期:無限未来 inspired by 『Perfume × TECHNOLOGY』presents”Reframe”(2018)

 

 人間や物質の位置と動きを捉えるモーションキャプチャという技術を使って、小型マーカーを手にした観客を9台のレーザーから放たれる無数の光線がリアルタイムで追従するインタラクティブなインスタレーション。2018年のライブ「Reframe」の同曲で披露された演出を体験できる。Perfumeがライブで実際に演じた光線の軌跡が再現されるパートもある。筆者もトライしたが、面白い。記者会見での、あーちゃんによると、実際のライブでは「こんなに優しくないんよ」とのこと。

●身体表現と演出の同期:STORY inspired by Perfume LIVE SXSW(2015)

 

 「SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)」はアメリカ・テキサス州のオースティンで開催されるテクノロジーと音楽の国際見本市で世界的に人気だが、Perfumeが2015年に披露したSTORYは、ARと映像合成技術によって、実際のライブ映像とCGの仮想空間をシームレスに行き来する全く新しいパフォーマンスだった。虎ノ門ヒルズの街並みから始まる、この作品では、Kinect(キネクト)という機器とカメラ4台を用いてステージに立つ体験者の動きを捉え、そのデータを3次元のボリュメトリックビデオデータに変換してSXSWの演出の世界を体験できる。実際にSXSWで使用されたPerfumeのデータも使用されている。

●身体表現と演出の同期:マカロニ inspired by Perfume LIVE 2021 polygon wave(2021)

 

 マイクスタンド前に立つ体験者のシルエットを機械学習して、LEDのステージにバーチャルな影を映し出す。自身の動きに合わせて変化するバーチャルな影を楽しんでいると、いつの間にか、その影がPerfumeのメンバーの影に変形して踊りだしていく。2021年のライブでは事前に収録した影を投影してメンバーが躍るというものだったが、このインスタレーションでは体験者の影をリアルタイムで生成する、さらに一歩進んだ演出に挑戦している。記者会見では、3人が「どこにも照明がないんよ。ビックリするよ」とのこと。家族みんなのお気に入りの曲なので、グッときた。

●edge 25th Anniv. Year Special Live Edition

 

 様々な体験ができる60メートルに及ぶChapter2の空間がおよそ1時間に一度、ギャラリー全体が同期して、ライブ会場のようになる。メンバーによるカウントダウンから始まる演出は、Perfumeが”勝負曲のひとつ”とも称する楽曲『edge』。記者会見でメンバーは「ぶち上ったね。裸足で走り回ったもん。1時間は居て欲しい」とのこと。

●軌跡と奇跡:ポリリズム tribute to Perfume(2007-)

 

 Perfumeが実際にライブで使用した200足を超えるハイヒールがピラミッドのように積まれている部屋。3人は「念がこもっている」。ハイヒールを中心に3方向・270度のシアター空間に、ブレイクしたきっかけともなる楽曲『ポリリズム』の過去ライブ映像24種が投影される。

●Perfume Disco-Graphy Archives

 

 倉庫をイメージしたコリドーには、ファン垂涎の歴代のライブTシャツを始め、25年の活動の記録を補完するアーカイブ・ギャラリーになっている。歴代のCD盤は勿論、国内外のアワードで獲得したトロフィーや、広島アクターズスクール時代の記念冊子など、通常は公開されない貴重なアイテムが並ぶ。

●展覧会コラボメニュー

 

 かしゆかが試食会で食べきれなくて、こっそり持ち帰って食べたほど、力の入ったメニューの数々。

 

「TOKYO NODE DINING」(45F)

 

 デザートは「ナガノパープルのパルフェ TOKYO GIRL ver.」「バスクチーズケーキ レーザービーム ver.」。ドリンクは「モクテル”The Light”」「モクテル”ナチュラルに恋して”」「モクテル”Dream Fighter”」。

「TOKYO NODE CAFE」(8F)

 

 「ディスコグラフィーのオープンサンド」など。

「T-MARKET PUBLIC BAR」(B2F)

 

 ドリンクの「モクテル”Magic of Love”」「モクテル”Everyday”」の2種。

■開催概要

名称:Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡 (パフューム ディスコグラフィ)
開催期間: 2024年8月9日~10月14日/67日間
会場: TOKYO NODE GALLERY A/B/C (東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F)
特設ページhttps://www.tokyonode.jp/sp/perfume/index.html
チケット:オンラインでの日時予約制

※チケットを持つ障がい者の方1名につき介助者1名まで無料で入場可 ※購入後のキャンセル不可(日時変更1回のみ可)※チケットは3期に分けて発売。希望の来場日により販売開始日が異なるので注意。
[ 第1期 ]7月 2日(火)販売開始:8月 9日(金)~ 9月 1日(日)分まで
[ 第2期 ]8月13日(火)販売開始:9月 2日(月)~ 9月29日(日)分まで
[ 第3期 ]9月10日(火)販売開始:9月30日(月)~10月14日(月・祝)分まで

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