ASCII Power Review 第259回
バッテリーの持ち具合もチェックです
AMDの新CPU「Ryzen AI」搭載「ASUS Zenbook S16」実機レビュー = インテルとクアルコムのCPUと比べてみた
2024年08月01日 11時00分更新
ASUSは、AMDの最新AI対応プロセッサーを搭載した16型ノートPC「ASUS Zenbook S16 UM5606WA」を8月1日に発表した。
「Zenbook S16」は、最大50TOPSの性能を発揮するNPUを内蔵する、AMDの新CPU「Ryzen AI 9 HX 370」を搭載している。
「Ryzen AI」シリーズは、Arm系のCPUとは異なり、x86アーキテクチャーなので従来のWindowsアプリをネイティブ動作できる、互換性の高い「AI PC」である。
後半のベンチマークテストでは「Snapdragon X」搭載の「Copilot+ PC」や、インテルの最新CPU「Core Ultra 9」とも速度を比べてみる。
AMD渾身の「AI」プロセッサー
「Ryzen AI 9 HX 370」搭載
「Zenbook S16」はOSに「Windows 11 Home 64ビット」、プロセッサーに「AMD Ryzen AI 9 HX 370」(12コア、24スレッド、最大5.1GHz、28W、GPU:AMD Radeon 890M、NPU:AMD Ryzen AI)を採用。メモリーは32GB(LPDDR5X-7500)、ストレージは1TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。
ディスプレーは16型3.2K OLEDで2880×1800ドット、16:10、120Hz、0.2ms、Dolby Vision対応、DisplayHDR True Black 500、光沢を搭載。
ディスプレー上部には207万画素赤外線(IR)カメラ、アレイマイクを内蔵している。ステレオスピーカーはharman/kardonと協業しており、Dolby Atmos対応。1W×4、0.8W×2という6スピーカー構成だ。
インターフェースは、USB4(PowerDelivery、映像出力対応)×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、HDMI×1、SDXCメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1を用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 7、Bluetooth 5.4をサポートしている。
本体サイズは353.6×243×11.9~12.9mm、重量は約1.5kg。本体素材にはセラミックとアルミニウムを組み合わせたASUS独自の素材「セラルミナム」を採用している。
また、米国国防総省調達規格「MIL-STD-810H」準拠のテストをクリア。78Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はJEITA測定法3.0で約10.7時間(動画再生時)/約15時間(アイドル時)、JEITA測定法2.0で約13.8時間と謳われている。
本製品はシステム構成としてはAMD Ryzen AI 9 HX 370/メモリー32GB/ストレージ1TBのみ。スカンジナビアンホワイト、スマイアグレーとカラーの異なる2モデルが用意されている。直販価格は31万9800円とやや高めだが、そのぶん長期間快適に利用できるだけの余裕あるスペックで構成されているわけだ。

ACアダプターの型番は「ADP-65TW A」。仕様は入力100-240V~1.5A、出力5V 3A、9V 3A、15V 3A、20V 3.25A、5-16V 3A、16-20V 3.25A、容量65W
ASUS独自アプリ「StoryCube」搭載
Copilot+PC機能は2024年内に提供予定
「Zenbook S16」は、x86ベースのNPU内蔵プロセッサー「AMD Ryzen AI 9 HX 370」を採用したAI PCだ。キーボードにはCopilotキーが配置されており、ワンタッチでAIアシスタントを起動できる。
記事執筆時点では、AIアシスタント「Copilot」、音声をリアルタイムに翻訳して字幕を表示する「ライブキャプション」は実装されてる。過去のファイルや作業内容を検索できる「リコール」機能、ローカル環境で画像生成できる「コクリエーター」は含まれていなかった。これらAI機能は2024年内に提供予定だ。
ASUSは独自AIアプリの「StoryCube」を搭載している。AIアルゴリズムが自動的にユーザーの写真やビデオを整理して管理することで、検索を簡単に行うことができ、ハイライト動画も作成してくれる。
キーボードは84キーの日本語配列で、キーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.2mm前後。本製品は16型ノートPCながら、1.19cmの薄型ボディーを実現しているが、そのぶんキーストロークが浅くなっている。
とは言えキーボードの剛性は高く、明確なクリック感が与えられている。いくつかの密着しているキーに慣れれば、100%のスピードで入力できるキーボードだ。
16型3.2K OLEDディスプレーの輝度、色域、コントラスト比などの細かなスペックは公表されていないが、Dolby Vision対応、DisplayHDR True Black 500をサポート。アイケアやブルーライト低減認証も取得されている。
またディスプレーのリフレッシュレートは最大120Hzに対応しており、3Dゲームなどで最大120fpsのフレームレートを設定できる。写真や動画編集などのクリエイティブワークのぴったりの高画質、ゲームや動画視聴などのエンターテイメント用途にもってこいの高速ディスプレーであると太鼓判を押せる。
ウェブカメラは207万画素赤外線(IR)カメラを採用。RGBカメラとIRカメラは別体式となっており、室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影でき、解像感も高い。アレイマイクにはAIノイズキャンセリング機能が採用されているので、映像的にも、音質的にも高いクオリティーでビデオ会議に臨める。
「Ryzen AI」のベンチマークテスト
CPU速度は「Snapdragon X」と「Core Ultra」の約9割
3Dグラフィックスは「Core Ultra」とほぼ同等

「HWiNFO 64 Pro」で取得したシステムの概要。プロセッサーは「AMD Ryzen AI 9 HX 370」、メモリーは32GB(LPDDR5X-7500)、ストレージは1TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している
本製品が搭載する「AMD Ryzen AI 9 HX 370」は、Zen 5とRDNA 3.5アーキテクチャーを採用したAMDの最新プロセッサーだ。
スペックとしては、12コア24スレッドで最大5.1GHz、TDP28Wで最高54W。GPUはAMD Radeon 890Mで16コア、2900MHz動作だ。どのぐらいのパフォーマンスを発揮するのか、定番ベンチマークでチェックしてみよう。

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