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ASCII Power Review 第258回

メインメモリーは1.5倍、ストレージは2倍でお買い得ですね

最強化した「ROG Ally X」と「ROG Ally」を徹底比較したら、バッテリーが2倍長持ちだった

2024年07月29日 10時00分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 大手PCメーカーとしては初めてゲーミングモバイルPC市場に「ROG Ally」で参入したASUSが、ニューモデルとして「ROG Ally X」を発売した。

 本製品は、メモリー、ストレージの増量&高速化をはじめとした大幅アップデートを実施。CPUこそ継承しているが、着実に性能、使い勝手を向上させたニューモデルだ。

 今回ASUSより、ROG AllyとROG Ally Xの試用機を借りたので、改めて定番ベンチマークを実施してみた。処理性能が向上したうえ、SSDが高速化し、バッテリー駆動時間は倍増していた。詳しくみていこう。

左上が「ROG Ally」(10万9800円)、右下が「ROG Ally X」(13万9800円)。ROG Allyも併売される

RAM&SSDが増量&高速化
バッテリー増量にType-Cを2基装備し冷却性能を強化

 まずは、ROG Ally Xのスペックからお伝えしていこう。CPUは「AMD Ryzen Z1 Extreme」で(8コア、16スレッド、3.3/5.1GHz、45W、4nm、Zen 4アーキテクチャ)、内蔵GPUは「AMD Radeon Graphics」(最大8.6TFLOPS FP32、RDNA 3アーキテクチャ)。メモリーは24GB(LPDDR5X-7500、オンボード)、ストレージは1TB(PCIe Gen4 x4接続 M.2 2280 SSD)を搭載している。

 ディスプレーは7型フルHD IPS液晶(1920×1080ドット、315ppi、500cd/m²、120Hz、7ms、グレア、ペン非対応、タッチ対応、Corning Gorilla Glass Victus、Corning Gorilla Glass DXCコーティング)を採用。サウンド機能としてはDolby Atmos対応のステレオスピーカー(1W×2)、アレイマイクを搭載。ウェブカメラは非搭載だ。

 インターフェースは、USB4(データ転送、映像出力、本体への給電対応)、USB 3.2 Gen2 Type-C(データ転送、映像出力、本体への給電対応)、microSDメモリーカードスロット(UHS-II)、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信は、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1をサポートしている。

 本体サイズは280.6×111.3×24.7~36.9mm、重量は約678g。80Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はJEITA2.0で約25.4時間、JEITA3.0で約11.7時間(動画再生時)/約22.4時間(アイドル時)と謳われている。

 ROG AllyからROG Ally Xへの進化点・変更点の差分をまとめると、下記のようになる。

・メモリーの増量と高速化
16GB LPDDR5-6400 → 24GB LPDDR5X-7500

・ストレージの増量と高速化
512GB M.2 2230 → 1TB M.2 2280

・バッテリーの増量
40Wh → 80Wh

・Type-C端子を2基搭載
ROG XG Mobile+USB 3.2 Gen2 Type-C → USB4+USB 3.2 Gen2 Type-C

・冷却性能を向上
ファンを23%小型化、ファンブレードを50%薄型化、エアフローを10%増量

・コントローラーの配置を変更
 左右スティックと、方向ボタン/ABXYボタンのリーチを縮めて配置

・マクロキー(M-Keys)を小型化

・カラーをホワイトからブラックに変更

 プロセッサーは変更されていないが、ユーザーの声を最大限取り入れた、大幅なアップデートだ。

7型フルHD IPS液晶ディスプレーについては変更なし

誤操作を避けるため、マクロキー(M-Keys)を小型化

インターフェースは、ROG XG Mobile+USB 3.2 Gen2 Type-CからUSB4+USB 3.2 Gen2 Type-Cに変更。USB4が搭載されたことで、他メーカーのeGPUも接続可能となった

大容量バッテリーを搭載するため、厚みが21.22~32.43mmから24.7~36.9mmに増えている

グリップについてはより握りやすくするため、厚みが4.5mm増やされている

ROG Ally Xの実測重量は679.5g

ROG Allyの実測重量は613.5g

パッケージには本体、ACアダプター、スタンド、説明書類が同梱

ポリカーボネート製のスタンドはひとつからふたつに変更された

後ろ側へのせり出しが減っているが、しっかりと固定できる

ACアダプターのコード長は実測200cm

ACアダプターの型番は「ADP-65JW Y」。仕様は入力100-240V~1.5A、出力5V 3A、9V 3A、15V 3A、20V 3.25A、容量65W

管理ユーティリティーは「Armoury Crate SE V1.5」を搭載。ただし、本ソフトはROG Allyにも提供されている

(クリックで拡大表示します)

3Dグラフィックス性能と
バッテリー駆動時間が着実に進化

 それでは本題のベンチマークスコアを見ていただこう。今回はBIOSも含めてソフトウェアのバージョンを揃えてベンチマークを実施しているので、両者間の実力が正確に見えてくるはずだ。

ベンチマークは「Armoury Crate SE V1.5」でオペレーティングモードを「Turbo」に設定して実施している。

 まずCPU性能だが、これはほぼ同等。CINEBENCH 2024のCPU(Single Core)でROG Ally Xのほうがやや低いスコアとなったが、これは誤差範囲だ。

ROG Ally Xの「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は13491pts、CPU(Single Core)は1742pts、ROG Allyは13427ptsと1719pts。

ROG Ally Xの「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は747pts、CPU(Single Core)は98pts、ROG Allyは747ptsと100pts。

R23ではROG Ally XはROG Allyに対して、CPU(Multi Core)は100%相当、CPU(Single Core)は101%相当のスコアを記録。2024ではROG Ally XはROG Allyに対して、CPU(Multi Core)は100%相当、CPU(Single Core)は98%相当のスコアを記録

 一方、3Dグラフィックス性能については、ROG Ally XはROG Allyに対して、「3DMark」のPort Royalは121%相当、Time Spyは107%相当、Fire Strikeは105%相当、Night Raidは104%相当のスコアを記録した。メモリーが16GB LPDDR5-6400から24GB LPDDR5X-7500に変更されたことで、3Dグラフィックスの実性能が向上したわけだ。

ROG Ally Xの「3DMark」のPort Royalは1702、ROG Allyは1402。ROG Ally XのTime Spyは3408、ROG Allyは3199

ROG Ally XのWild Lifeは18764、ROG Allyeは17844。ROG Ally XのNight Raidは29181、ROG Allyは28057。

ROG Ally XはROG Allyに対して、Port Royalは121%相当、Time Spyは107%相当、Fire Strikeは105%相当、Night Raidは104%相当のスコアを記録

 メモリーの高速化は実際のゲームでも効果を発揮しており、ROG Ally XはROG Allyに対して、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」で109%相当、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」で107%相当のスコアを記録している。ほかの3Dゲームであっても、同程度のパフォーマンス向上が期待できるはずだ。

ROG Ally Xの「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは8135(快適)、ROG Allyは7463(やや快適)。ROG Ally Xの「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは3938(普通)、ROG Allyは3681(普通)

ROG Ally XはROG Allyに対して、109%相当のスコアと、107%相当のスコアを記録

 ストレージ性能も明確にアップしており、ROG Ally XはROG Allyに対して、シーケンシャルリードは116%相当、ライトは191%相当のスコアを記録。特に書き込み速度の向上が著しい。

 サイズがM.2 2230からM.2 2280 SSDに変更されたことで、より高性能なSSDを選択できたわけだ。もちろん冷却システムが進化したことで、「高性能=高発熱」のSSDを搭載できるようになったことになる。

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