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【対談前編】マカフィー栗山憲子社長×ITジャーナリスト高橋暁子氏

大学生に「AIを使わないと完成しないレポート」を課してみる

2024年07月16日 11時00分更新

文● せきゅラボ

提供: マカフィー株式会社

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マカフィー株式会社 代表取締役社長の栗山憲子さん、ITジャーナリストの高橋暁子さんによる対談を3回に渡ってお届けする。第1回は、学生とAIの現在・未来について

AIが「家庭で利活用される」ために必要なことは?

 技術とビジネスの視点から語られがちなAI技術だが、社会に浸透するうえでは一般家庭や年少者への受け入れが必須だ。そこで今回から数回にわたり、マカフィー株式会社 代表取締役社長の栗山憲子氏、ITジャーナリストの高橋暁子氏のお二方に、経営者そして家庭を持つ者の目線からAI技術の現在と未来を語っていただいた。

マカフィー株式会社 代表取締役社長 栗山憲子氏

栗山憲子氏。マカフィー株式会社 代表取締役社長

 慶応義塾大学修士課程(MBA)卒業後、1991年カナダ大手IT企業ノーテルネットワークス(旧ノーザンテレコム)入社。以後、マーケティング・営業・技術・オペレーション・戦略企画部など、多岐にわたる部門の責任者を歴任。一方、BPR日本統括として本社直轄組織改革Projectに参画、全社Diversity活動として人材育成に携わるなど、幅広い分野を経験の後、経営企画・管理本部統括として、日本初の女性取締役就任、日本経営陣として経営参画。

 その後、Dell株式会社にて日本・韓国のソリューションビジネス部門立ち上げ、トレンドマイクロ株式会社本社経営管理統括部門責任者を経て、20年以上のITキャリアからヘルスケア業界に転身。IQVIA株式会社(旧クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン)にて、Global Business Operation部門を日本統括として立ち上げ、組織・責任範囲をAsia Pacificにも拡大し、日本・アジアのビジネス成長・組織拡充に寄与。

 2019年、マカフィー株式会社常務執行役員として再びIT業界に戻り、日本におけるセキュリティービジネスの成長をISP/Teleco、PC OEM、Retailビジネスの全エリアにて支援実現。2020年、Global Channel Marketing統括として本社組織に参画、その後Japan/APAC主要パートナー統括を務め、2022年9月よりマカフィー日本総責任者として現職に至る。

今の就活生は賃金よりも「AIに奪われない仕事」のほうが重要!

―― 一時期、「AIでなくなってしまう仕事」というような話題がよく見られました。子どもの進学を考えると「我が子をこの仕事に就かせると将来が危うくなるのでは?」と危機感を抱く保護者もいらっしゃるかと思います。

高橋 「AI技術の進展でどんな仕事がなくなるのか?」という話題ですと、2023年にサイバーエージェントさんがAIを導入した結果、ディレクター職の削減が起きた、というニュースがありましたが……その後、業績が上がったと聞きます。

 大学では講義を始める前に“その週の最新IT系ニュース”を紹介するのですが、先日「AIにこんな仕事が奪われた」「就職状況もAIで変わっているから、意識をこう変えたほうが良い」という話を始めた途端、300名近くの学生が皆真剣な表情で耳を傾けて、講義そのものよりも圧倒的に反応が良かったんです(笑)

 学生たちは「あの職種ってやっぱりなくなるんだ……」とざわめいたりしていて、AIへの関心の高さを感じました。

 私は、講義に出席している学生たちにさまざまなレポートやアンケートを取っているのですが、「友達がレポートをAIで作成していた」とか「自分もしたことがある」「参考に使ったことがある」といった回答が、なんだかんだで1割前後あります。

 ただ一方で、「AIが我々の仕事を奪っていきそうだ……」という思いを強く感じている世代でもあるようです。だいぶ警戒はしているようです。

 「すでに使いこなしている同世代の子がいるから、私も使わなきゃ駄目だよね」という意識はありつつも、「ちょっと怖い」「不安」「よくわからない」「まだ信用できない」といったネガティブな感情もまた持ち合わせているようです。

 AIが自分たちの敵なのか味方なのか見極めているような感じですね。少なくとも「私の就職にはかなり影響しそう。まずはAIに奪われない仕事(職種)を選ばないと」という意識はあるようです。

 実際、ほかの調査でも「今後AIに奪われないであろう仕事を選んだ」とか「今の時代に合っている、そしてこれからも先行きが暗くない会社を選んだほうが良い」といった意見を持つ就活生が結構多いようです。

ITジャーナリスト/成蹊大学客員教授 高橋暁子氏

高橋暁子さん。ITジャーナリスト/成蹊大学客員教授

 SNSや情報リテラシー教育が専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育事情に詳しい。東京学芸大学卒業。東京都で小学校教諭などを経て独立、現在に至る。書籍・雑誌・Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナー、講義、委員などを手がける。

 『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『できるゼロからはじめるLINE超入門 iPhone&Android対応』(インプレス)など著作は20冊以上。

 SNSをはじめとする10代のネット利用実態とトラブル、スマホ&インターネット関連事件などをテーマとして、NHK『あさイチ』、NHK『クローズアップ 現代+』、NHK『所さん!事件ですよ』ほか、テレビ・雑誌・新聞・ラジオなどのメディア出演多数。

 全国の小中高校大学、自治体、団体、企業などを対象に毎年50回ほどの講演・セミナーを実施している。令和2年より「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」技術審査委員会技術審査専門員(文部科学省より委託)など、省庁からの依頼も多い。

 現在せきゅラボにて、「親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定」を連載中。

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