メンヘラテクノロジーの高桑蘭佳です。今回はタイトルの通り、大手企業が抱えている悩みをメンヘラとギャルとアイドルが一緒に考えて、議論するイベントを開催してみた件について書いていこうと思います。
この“メンヘラ”は言うまでもなく弊社なのですが、CGOドットコムさんという“ギャル”の会社と、ツギステさんという“アイドル”の会社の3社で共同開催しており、大手企業で働いている人とは日常の中では交わらないであろう属性を組み合わせたイベントです。
※本イベントはオプテージの協賛で開催したものです。運営サイド視点でイベントの裏側を紹介することを主旨としており、イベント自体をPRするものではありません
CGOドットコム
「世の中のバイブスをアゲる👆」ことをミッションとし、🌈ギャルマインド🌈を基軸に事業を展開。主力事業のギャル式ブレストは、リブランディンク支援や組織コンサルティングとして取引企業数30社以上(東急建設様、三菱鉛筆様、JR貨物様、札幌市役所様など)。掲載メディア「日本経済新聞」「読売新聞」「NHK」「激レアさんを連れてきた。」など。
公式サイト:https://cgo-gal.com/
総長 バブリー
人生で3回学校を中退。 高校中退後は大阪へ家出しギャルマインドに救われる。「ギャルマインドで世の中をアゲにする」ことを目指し、合同会社CGOドットコムを設立。企業や団体にギャルを送り込む『ギャル式ブレスト』、スタジオ事業『ギャル式スタジオ』を展開する。「Forbes Japan 世界を救う希望100人」に選出。バブリーという名前は、本名の竹野理香子の「竹(バンブー)」と「理香子」に由来。
ツギステ
「ラストステージより輝く、日常を。」をスローガンに、元アイドルのキャリアサポート事業を展開。アイドル経験者によるカウンセリングや、企業紹介によるマッチングをする。現役世代からの絶え間ないサポートを目的にアイドルコミュニティの運営も実施。
公式サイト:https://tsugisute.com/
CEO/渋谷区議会議員 橋本ゆき
東大生アイドルとして、アイドルグループ「仮面女子」に所属しインディーズ女性アーティスト初のオリコン1位を獲得。アイドル引退後は「誰もが挑戦できる社会」を作るため政界へ進出。渋谷区議会最年少議員として、「スタートアップ支援/コミュニティ活性化/行政DX/女性の健康支援/エンタメ支援」に取り組む。23年には「アイドルのキャリア課題」の解決に向け株式会社ツギステを設立。
イベントのテーマは、「メンヘラ・ギャル・アイドルの消費行動から探る、非マス向けプロモーション」。
Z世代の価値観の多様化については色んなところで語られていると思います。私自身、中高生の頃は比較的誰とでも同じテレビ番組やニュースの話題が通じて、「昨日のアレすごい面白かったよね!」という会話がしやすかったですが、最近はなかなか難しいことを体感しています。テレビ、ネットを問わず、自分的にはかなりの有名人だと思っていても、“界隈”が違えばまったく話が通じないことも往々にしてあります。
このような従来通りのマスマーケティングが難しくなっている状況で、非マス層の消費行動を知ってもらうことは価値があることかもしれない……! というのが、このイベントの企画段階での運営サイドのお気持ちでした。
そして、第1回のイベントを開催したのが昨年10月。「面白そうだから、やってみようよ!」とギャルとアイドルから誘われたメンヘラは、「ご一緒させていただけるならぜひ……」と比較的スッ……と準備が進んでいきました。開催告知をして、「集客がんばろ!」と意気込むかどうかくらいの時点で申し込みが集まり、「あ、やばい! これ以上会場に入れない!」とあわてて適当に設定したチケット枚数を修正し、満員御礼。想像以上の反響にとても驚きました。
メンヘラとギャルとアイドルに「通信」について考えてもらう
今回、イベントに登壇してくれたメンヘラとギャルとアイドルは以下の3名。
そして、アジェンダオーナーとして参加してくれたのはオプテージの伊藤さん。関西を中心にMVNOサービス「mineo」などのサービスを提供している企業です。
そんなオプテージさんが、メンヘラとギャルとアイドルに聞いてみたいことが「通信」。そして、まずは「通信ってどんなイメージですか?」という問いかけからスタートしました。
メンヘラとはいえ工学部出身で中途半端な知識を学んでしまった私は、頭の中で「OSIサンショウモデル……とかアッタケナ……?そんなイメージですよね……」と面白くもなんともない回答を思い浮かべながら、きっと今回求められているのはそんな答えではなくて、3名がどんなイメージをもっているのか気になりました。
まず、メンヘラのえまさんから「通信制限……すぐかかっちゃう」というリアクションがあり、アイドルの新倉さんからは「3DSっていうゲーム機で、同じゲーム機を持っている人同士がすれ違うと“すれ違い通信”って言って、いろいろ交換できるよみたいなのがあったんですけど、それだって思いました」と懐かしさを感じるコメント。ギャルのmiyunaさんからは「えっ、なんだろう……電波? みたいな? なんか、Wi-Fi? みたいな? 知らんけど」と、わかる! 私もカッコつけたかったけどなんかそんなかんじ! と共感したくなる回答でした。
その後、伊藤さんから「いま言っていただいたみたいに、モノとモノがつながることが大きく”通信”だと思ってもらえたらいいかなと思います」と完全理解な分かりやすさしかない解説をいただきました。オプテージさんはこの“通信”と様々な製品を組み合わせることによって、いろんな未来に貢献できるのではないかと考えているそうで、今回のイベントを通して、通信を使ったアイデアをディスカッションしていくことに。
最初に、ファシリテーターから「みんなが通信について困っていることとか、逆に楽しかった体験とかあったりする?」と問いかけます。
すると、ギャルのmiyunaさんから「渋谷駅がめっちゃ電波悪くて、まじでLINEとか開かなくて。爪が折れたら、いつもアロンアルフア(※東亞合成が製造・販売している瞬間接着剤)で直しがちで。みんな持ってるから、それがポケットWi-Fi的な感じで電波を発してくれるものになったらいいなって」とさっそくギャル感強めのアイディアが出てきて、伊藤さんも「アロン……アロンアルフア……×通信ってこと……ですね。だいぶ斬新ですが、いいかもしれないです」とちょっと驚いた反応。
そのアイデアから、いつも持ち歩いているモノつながりで、メンヘラのえまさんがイベント当日も持っていたウサギのぬいぐるみにもSIMをブッ刺せそうだね! という話になり、伊藤さんが「しゃべらせたりもできるかもしれない」とコメント。すると、えまさんは「(ウサギのぬいぐるみが)構ってくれたらいいのにって思います」とどんどん新しいアイデアへと発展していきます。
さらに、アイドルの新倉さんからは「電車で寝過ごしちゃうことが多いので、通信を使ってなにか解決できないかな」というお困りごとに対し、ギャルのmiyunaさんは「電車の中でアラーム爆音で鳴ったらクソ迷惑だから、よくわかんないけど洗脳して欲しい。携帯からじわじわ、じわじわと。時間になったら通信でめっちゃ静電気がバーってなるとか」というアイデアで盛り上がります。
それを受けて、アイドルの新倉さんから「寝過ごし防止のアプリを作って、登録している人は、この人は何駅で降りたいんだなっていうのがわかるようにして、起こしてあげるとポイントがもらえるみたいな」と優しい世界のアイデアが爆誕。伊藤さんも「いいですね、なんか心が温まる」と和やかな雰囲気に包まれました。
その後もいろんな視点からのアイディアが飛び交う中、私個人的に面白かったアイデア2つを以下ご紹介します。
1つ目は、転倒防止アラート付き厚底。ギャルのmiyunaさんの「厚底を履いて酔っ払うと、(転びやすくて)まじで傷がもうすごくて。だいたい酔っ払うときって人間の転び方一緒なんですよ。もうすぐ転びそうだよ、ここがあなたのよく転ぶ場所だよって、それ知れたらめっちゃアゲだよね」という悩みに対し、伊藤さんから「靴に……SIMを差し込めば……もしかしたら……!」と可能性を示唆してくれ、一同「SIMすごーい! とりあえずなんでもSIM差しとこ!」と盛り上がりました。
2つ目は、好きな人の人体用SIM。メンヘラのえまさんからは伊藤さんに「好きな人にSIMは差せますか?」と質問が挙がりました。「ひっ、人に……? 直で……?ってことですか?」とちょっと動揺する伊藤さん。将来的にはいけるかもしれないが、現時点では身につけるものとかで擬似的に再現することは可能かもしれないとした上で、メンヘラのえまさんからは「スマホの位置情報だとズレるから、生身の体に差せないと、どこにいるかがわからない。歌舞伎町とかだと、ラブホテルとかいっぱいあって、バーで飲んでるよって言われても不安になるから、正確な位置情報が知れるようになりたい」と好きな人にSIMを差したい理由を詳しく説明してくれました。
今回アジェンダオーナーを務めてくださったオプテージの伊藤さんからはイベントの最後に「すごく斬新な意見をいただきました。普段新しいサービスとかも考えたり、もちろんするんですけど、オフィスに集まって膝を突き合わせて考えたりするのとは違う、エッジの効いた角度からいろんな意見をいただけましたね。持ち帰って、なんとか人にSIMを差せないかって明日から検討したいと思います(笑)」という感想もいただくことができました。
また、CGOドットコムのバブリーさんとツギステの橋本さんからもイベント開催後の感想をいただきました。
CGOドットコム・バブリーさんからの感想
「イノベーションは辺境から……」この言葉の通り、新しく面白いことはいつもニッチなカルチャーから生まれます。今回のイベントでは「すきぴの身体にSIM刺したい」「厚底シューズにSIMさして酔っ払った時の転倒防ぎたい」など、各属性のらしさあふれるアイデアがたくさん飛び出ました。ギャルメンヘラアイドルのニッチな感想が、数年後にはあたりまえになっているかも?そんなイベントを今後もメンヘラテクノロジーさん、ツギステさんと作っていきます。
ツギステ・橋本さんからの感想
メンヘラ属性の女の子と話す機会ってなかなかないので、「普段何考えてるんだろう…?」と思っていたのですが、行動やニーズを深掘りするイベントの中で「私もそう思う!」と共感できるところがあったり「え!!そんなことするんだ!」と驚くところがあったり。
同じくギャルやアイドルといった普段接点を持ちたない非マス的女性のカルチャーをそれぞれ体感し、共感したり刺激を受けたりするとても貴重な場になってきたと感じています。多様性が混じり合う世代の理解を深めたい方が集まる場に発展させていきたらと思います!
以上、記事内でご紹介したのはディスカッションの一部ですが、イベントのアーカイブは下記URLからも見れるので、ぜひ気になる方は見てみてください!
2024年2月2日(金)19:00〜
メンヘラ・ギャル・アイドルの消費行動から考える、"非マス"向けプロモーション
https://www.youtube.com/live/WKqaXRpJWPI?si=-kcAP0ZhUQ7utAsb
次回の開催は2024年7月5日を予定していますが、「とりあえず雰囲気的に7月の最初の金曜日かな?」としか、話していないのでめっちゃ仮置きで変わるかもしれません(笑)。が、もし今回の記事を読んで次回が気になった方は各社のSNSかイベントページをフォローしておいてもらえると、正しいイベント開催日程の情報を受け取ることができるはずです!
高桑蘭佳(たかくわらんか)
1994年生まれ。石川県出身。東京工業大学大学院環境社会理工学院研究生。2018年8月にメンヘラテクノロジーを設立。彼氏を束縛したくて起業した大学院生として「アウト×デラックス」(フジテレビ系列)や、「指原莉乃&ブラマヨの恋するサイテー男総選挙」(AbemaTV)などに出演。
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