本記事はFIXERが提供する「cloud.config Tech Blog」に掲載された「Windows Admin Centerで行こう~2020年代の運用管理のカタチ 」を再編集したものです。
# はじめに
こんにちは。マネージドサービス領域の田邊と申します。
最近、久しぶりにWindows系の認定試験を勉強し始めたんです。マイクロソフト社公式のベンダー資格ですね。
Windows資格。10年以上のITインフラ戦士ならある程度はなじみがあるんじゃないでしょうか。
一昔前だと、「MCSE:Microsoft Certified System Engineer」などという名前で、Windowsの管理や設計、トラブルシューティングの知見を保証するものがありました。
いまはWindowsと名のついた認定には以下の2種類があります。Azureに関連した「Az」シリーズの一部に組み込まれるようになっています(これが Cloud By Default の時代か)。
試験 AZ-800: Windows Server ハイブリッド コア インフラストラクチャの管理
https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/certifications/exams/az-800/
試験 AZ-801: Windows Server Hybrid Advanced Services の構成
https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/certifications/exams/az-801/
その出題範囲の中で、私の古い記憶の中にはあまり出てきていなかった、「Windows Admin Center」というツールが目につきました。いまはマイクロソフトはこの使用を推進しているように見えます。
このツールの最初の一般公開が2018年4月なので、もう5年ほど。そこそこブラッシュアップされていそうです。
Windows Admin Center のリリース履歴
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-server/manage/windows-admin-center/support/release-history
バージョン 1804 - Project Honolulu が Windows Admin Center になり、セキュリティ機能とロールベースのアクセス制御が追加されます。 最初のGAリリース。
本記事では、自分の学習も兼ねて、このツールでどんなことを出来るのかを見ていこうと思います。
# 導入方法
インストール方法の解説は、公式のブログに譲るとします。絵付きでしっかり書かれています。
Windows Admin Centerのインストール方法と使い方
https://jpwinsup.github.io/blog/2021/09/27/WindowsAdminCenter/WAC-Tutorial/
# 内容
こちらが、「ゲートウェイ」マシンから見た管理画面です。
このゲートウェイで管理しているWindowsマシンが一覧化されています。今回はVMを3台登録しておきました。登録する形態として「Servers」「Windows PCs」「Server clusters」「Azure VMs」がありました。
Azure上に建てたWindows VMでも、「Windows PCs」などとして登録することは可能でした。
## Windows VMs の例
クライアントOSの管理カテゴリーのようです。UIはこんな感じ。
Windows OSの各タスクマネージャーやシステム情報、設定、コントロールパネルにあるような設定項目がカバーされてます。それに加えて、Azureとの連携機能もこのツールで一元的に管理可能なようです。
### Overview
システム情報が一覧表示されます。パフォーマンス情報がリアルタイムに見えますね。CPU、メモリー、ネットワーク、ディスクあたり。
なお再起動、シャットダウン操作も可能です。「Edit computer ID」からは、コンピュータ名の変更や、ドメイン参加も可能です。
### Settings
Windows OSの各種設定にまつわるもの。「Role-based Access Control」については、Azureと連携した機能ですね。RBACベースでの認証で管理するようにし、コンピュータの管理者を使わないようにするもの。
- Azure機能
Role-based Access Control:RBACを使った認証
- 従来のWindows設定
File shares(SMB server):ファイル共有系
Environment variables:環境変数
Power configuration:電源構成
Remote Desktop:リモートデスクトップの受け入れ可否、NLAなど
### Tools
Windows OSの管理ツール。Azureとの連携も含んでます。
- Azure機能
Azure Monitor
Microsoft Defender for Cloud
- 従来のWindows設定
Apps & Features
Certificates
Devices
Events
Files & file shareing
Firewall
Local users & groups
Networks
Performance Monitor
Processes
Registry
Scheduled tasks
Security
Services
Storage
Updates
### Extentions
こちらは、名前からしてオプションでしょうか。
- Packet monitoring(PREVIEW):Wiresharkなどを使ったパケットキャプチャリング。
## Server の例
こちらもクライアントと同様ですが、よりAzureとの連携機能が追加されています。
以下、クライアントとの差分を見ていきます。
### Settings
- Azure機能
Azure Arc for servers(PREVIEW):Arcとの連携をここで見られます。ちなみに、Arcを使うとオンプレミスで稼働しているWindows Server 2012/R2 へのESUを安価めに調達できるようになります。マイクロソフトとしてはAzure Arcを推していきたいのでしょう。
### Tools
- Azure機能
Azure Backup
Azure File Sync
Azure hybrid center
Azure Kubernetes Service
- 従来のWindows設定
PowerShell:こちらは、Azure VMにはAzure Portalからコマンドレットを実行するのと同じ要領で、画面から実行できる機能です。使用開始時にユーザー認証が必要でした。
Registry
Roles & Features
Storage
Storage Migration Service:Azureや、WS2022に、他のアプリを使わずに、ファイル共有を移行する機能。
Storage Replica:災害対策目的。ストレージボリュームを、他のサーバーやクラスターに複製する。
System Insights:サーバーに関する事象の予兆検知など、気付きを与えてくれる機能。
# 所感
オンプレミス時代なら、サーバーハードウェアにオプションで搭載するリモート管理ツールなどを使って管理するようなことを、ウェブブラウザーベースでHTTP(s)により実現可能です。
操作可能な範囲は、コントロールパネルや設定画面、mmcにある項目すべてをカバーしているわけではありませんが、軽微な変更であればそれなりの範囲をカバーしていますので、日常運用するに足るツールと言えないでしょうか。
もちろん使用のためには、ウェブアクセス受け入れのためのTCP/IP穴あけや、エージェントのインストールなどは必要ですので準備が必要です。しかし今の時代はゼロトラストセキュリティー概念が打ち出されて久しいです。むしろファイアウォールでTCP/IP通信を塞いでしまうからウェブベースでのツールは実現が難しい…といった考え方は、過去のものになろうとしてきています。
まだ試したことのない環境の方は、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
田邊啓佑/FIXER
エンタープライズ事業部所属
(キャリア)
*パブクラ分野成長中*
*HW/仮想化/OS(Win/Linux)/PowerShell,Bash
*ホンノチョットだけ:NW/DB
*SQLServerとC#習得が目下の目標です。
(個人的興味)
xR/心理学/ボーカロイド/FinalFantasy14/FGO
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