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FIXER Tech Blog - Azure

Windows Admin Centerとは? ― 2020年代の新しい運用管理のカタチ

2024年02月19日 10時00分更新

文● 田邊啓佑/FIXER

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 本記事はFIXERが提供する「cloud.config Tech Blog」に掲載された「Windows Admin Centerで行こう~2020年代の運用管理のカタチ 」を再編集したものです。

# はじめに

 こんにちは。マネージドサービス領域の田邊と申します。

 最近、久しぶりにWindows系の認定試験を勉強し始めたんです。マイクロソフト社公式のベンダー資格ですね。

 Windows資格。10年以上のITインフラ戦士ならある程度はなじみがあるんじゃないでしょうか。

 一昔前だと、「MCSE:Microsoft Certified System Engineer」などという名前で、Windowsの管理や設計、トラブルシューティングの知見を保証するものがありました。

いまはWindowsと名のついた認定には以下の2種類があります。Azureに関連した「Az」シリーズの一部に組み込まれるようになっています(これが Cloud By Default の時代か)。

試験 AZ-800: Windows Server ハイブリッド コア インフラストラクチャの管理
https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/certifications/exams/az-800/

試験 AZ-801: Windows Server Hybrid Advanced Services の構成
https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/certifications/exams/az-801/

 その出題範囲の中で、私の古い記憶の中にはあまり出てきていなかった、「Windows Admin Center」というツールが目につきました。いまはマイクロソフトはこの使用を推進しているように見えます。

 このツールの最初の一般公開が2018年4月なので、もう5年ほど。そこそこブラッシュアップされていそうです。

Windows Admin Center のリリース履歴
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-server/manage/windows-admin-center/support/release-history
バージョン 1804 - Project Honolulu が Windows Admin Center になり、セキュリティ機能とロールベースのアクセス制御が追加されます。 最初のGAリリース。

 本記事では、自分の学習も兼ねて、このツールでどんなことを出来るのかを見ていこうと思います。

# 導入方法

 インストール方法の解説は、公式のブログに譲るとします。絵付きでしっかり書かれています。

Windows Admin Centerのインストール方法と使い方
https://jpwinsup.github.io/blog/2021/09/27/WindowsAdminCenter/WAC-Tutorial/

# 内容

 こちらが、「ゲートウェイ」マシンから見た管理画面です。

 このゲートウェイで管理しているWindowsマシンが一覧化されています。今回はVMを3台登録しておきました。登録する形態として「Servers」「Windows PCs」「Server clusters」「Azure VMs」がありました。

Azure上に建てたWindows VMでも、「Windows PCs」などとして登録することは可能でした。

## Windows VMs の例

 クライアントOSの管理カテゴリーのようです。UIはこんな感じ。

 Windows OSの各タスクマネージャーやシステム情報、設定、コントロールパネルにあるような設定項目がカバーされてます。それに加えて、Azureとの連携機能もこのツールで一元的に管理可能なようです。

### Overview

 システム情報が一覧表示されます。パフォーマンス情報がリアルタイムに見えますね。CPU、メモリー、ネットワーク、ディスクあたり。

 なお再起動、シャットダウン操作も可能です。「Edit computer ID」からは、コンピュータ名の変更や、ドメイン参加も可能です。

### Settings

 Windows OSの各種設定にまつわるもの。「Role-based Access Control」については、Azureと連携した機能ですね。RBACベースでの認証で管理するようにし、コンピュータの管理者を使わないようにするもの。

- Azure機能
 Role-based Access Control:RBACを使った認証

- 従来のWindows設定
 File shares(SMB server):ファイル共有系
 Environment variables:環境変数
 Power configuration:電源構成
 Remote Desktop:リモートデスクトップの受け入れ可否、NLAなど

### Tools

 Windows OSの管理ツール。Azureとの連携も含んでます。

- Azure機能
 Azure Monitor
 Microsoft Defender for Cloud

- 従来のWindows設定
 Apps & Features
 Certificates
 Devices
 Events
 Files & file shareing
 Firewall
 Local users & groups
 Networks
 Performance Monitor
 Processes
 Registry
 Scheduled tasks
 Security
 Services
 Storage
 Updates

### Extentions

 こちらは、名前からしてオプションでしょうか。
 - Packet monitoring(PREVIEW):Wiresharkなどを使ったパケットキャプチャリング。

## Server の例

 こちらもクライアントと同様ですが、よりAzureとの連携機能が追加されています。

 以下、クライアントとの差分を見ていきます。

### Settings

- Azure機能
 Azure Arc for servers(PREVIEW):Arcとの連携をここで見られます。ちなみに、Arcを使うとオンプレミスで稼働しているWindows Server 2012/R2 へのESUを安価めに調達できるようになります。マイクロソフトとしてはAzure Arcを推していきたいのでしょう。

### Tools

- Azure機能
 Azure Backup
 Azure File Sync
 Azure hybrid center
 Azure Kubernetes Service

- 従来のWindows設定
 PowerShell:こちらは、Azure VMにはAzure Portalからコマンドレットを実行するのと同じ要領で、画面から実行できる機能です。使用開始時にユーザー認証が必要でした。
 Registry
 Roles & Features
 Storage
 Storage Migration Service:Azureや、WS2022に、他のアプリを使わずに、ファイル共有を移行する機能。
 Storage Replica:災害対策目的。ストレージボリュームを、他のサーバーやクラスターに複製する。
 System Insights:サーバーに関する事象の予兆検知など、気付きを与えてくれる機能。

# 所感

 オンプレミス時代なら、サーバーハードウェアにオプションで搭載するリモート管理ツールなどを使って管理するようなことを、ウェブブラウザーベースでHTTP(s)により実現可能です。

 操作可能な範囲は、コントロールパネルや設定画面、mmcにある項目すべてをカバーしているわけではありませんが、軽微な変更であればそれなりの範囲をカバーしていますので、日常運用するに足るツールと言えないでしょうか。

 もちろん使用のためには、ウェブアクセス受け入れのためのTCP/IP穴あけや、エージェントのインストールなどは必要ですので準備が必要です。しかし今の時代はゼロトラストセキュリティー概念が打ち出されて久しいです。むしろファイアウォールでTCP/IP通信を塞いでしまうからウェブベースでのツールは実現が難しい…といった考え方は、過去のものになろうとしてきています。

 まだ試したことのない環境の方は、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

田邊啓佑/FIXER
エンタープライズ事業部所属
(キャリア)
*パブクラ分野成長中*
*HW/仮想化/OS(Win/Linux)/PowerShell,Bash
*ホンノチョットだけ:NW/DB
*SQLServerとC#習得が目下の目標です。
(個人的興味)
xR/心理学/ボーカロイド/FinalFantasy14/FGO

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