動画クリエイター・ロコリさん/71歳、母の介護が一段落したのを機に独学でYouTubeチャンネルを開設

文●志賀佳織

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 人生100年時代といわれる昨今、自分らしい働き方や暮らし方を模索する女性たちが増えている。そんな女性たちに役立つ情報を発信するムック『brand new ME! ブランニューミー 40代・50代から選ぶ新しい生き方BOOK vol.1』(KADOKAWA刊)から抜粋してお届けするインタビューシリーズ。今回は、71歳の時に独学でYouTubeチャンネルを開設した動画クリエイターのロコリさんにお話をお聞きした。

ハローワークのパソコン講座でデジタルや動画投稿に興味を持ったロコリさん。介護が一段落したタイミングで、60代、70代の人たちのチャンネルにも刺激を受けYouTube チャンネルを開設したという。(写真/林ひろし)

71歳にして始まった動画クリエイターとしてのセカンドライフ

 シルバーのショートヘアがよく似合うシニア女性が、音楽に乗せて次々と全身コーディネートを披露していく。画面に現れる説明には「しまむらで買ったよ」「これはユニクロ」などの文字が並び、そのセンスの良さに驚かされる。プチプラコーデをテーマにしたロコリさんのYouTubeチャンネルは、2022年8月の開設後、瞬く間に人気が沸騰し、2本目を公開すると収益化の基準であるチャンネル登録者数千人を達成してしまった。71歳にして動画クリエイターとしてのセカンドライフが始まった。

「もともとデジタルには興味があって勉強したいとは思っていたんです。でも授業料がとっても高くて……。初めてパソコンに触れたのは、勤めていた百貨店が閉店して、失業保険を受給しながらハローワークで無料のパソコン講座を受講したとき。3カ月間で、ホームページを作るまで、ひと通り教わりました」

 ロコリさんは25歳からブティックを経営し、一時期は2店舗を持つまでになるも、35歳のときに廃業。百貨店の販売員をしながら多額の負債を抱え、給料のほとんどを返済に充てる厳しい生活が続いた。60代に差しかかったとき、認知症を発症した母の在宅介護も始まった。

「ずっと長いトンネルの中を1人でとぼとぼと歩いているような感じでした。そんなときでも大股で目線を上げて歩いて『私は大丈夫』と繰り返し言い聞かせ、自分に暗示をかけていたんです」

撮影部屋のDIYからチャンネル運営まで、すべて独学で習得

 苦しい日々、ロコリさんの支えとなったのがデジタルへの好奇心。ネット上で“今の自分”を発信し続けた。やがて母を看取ると、ふとYouTubeのことが頭に浮かんだという。

「音楽を聴くのもほとんどYouTube。検索してみたら、60代、70代でチャンネルを持って発信している方が結構多いんですね。刺激されて私も始めてみようと決めました」

 一念発起し、まず取り掛かったのが部屋のDIY。築50年の自宅の仏間を撮影用の部屋にすべく、たった1人で改装に取り組んだ。肝心の動画制作や運営方法についても、すべて参考にしたのはYouTube。初心者向けのハウツーコンテンツを見て、独学で習得した。

「テーマは、自分の興味や仕事の経験が活かせるファッションでいこうと決めていました。プチプラでも年金5万円での暮らしの中でしてきた工夫をお見せできたらいいなと。壁の色は洋服が映えるグレーにして、おしゃれなデザイナーズ家具もメルカリで安く入手しました」

 撮影の環境整備に使ったお金は1万5千円ほど。実際に投稿するまでに、さまざまな動画を見ては研究を重ね、配色やファッショナブルさにも気を配った。

ライフシフトしたい人へのアドバイスは? とお聞きすると、「目の前に興味があることが出てきたら、まずはそれを勉強する。そのときすぐに役立たなくても、後になって思わぬ形で活かされることもある」「好きなことをじっくりやっていくことが大事」とロコリさん。

チャンスを掴んで早々に収益化。生活にゆとりが出た

 最も大事にしていた目標は「収益化する」こと。ロコリさんの月収は年金5万円と、マクドナルドで始めたバイト代の3万円。収益化は生活していく上でも譲れない目標であり、動機だったのだ。

「もうそこが命でしたね。ほかの多くの高齢の方々のチャンネルも収益化されていた。これは今、シニア層の視聴者が増えているのかも、だとしたら始めるなら今がチャンスだと思ったんです。開設後、早々に収益化を達成し、今年初めて10万円を超しました。やはり10万円でも、あるとないとでは年金生活のゆとりが違ってきますから嬉しいですよね。振り返ってみて思うのは、人生どこでどうなるか本当にわからないということです。ダメ元でいいから、ためらっているより、目の前の興味ある出来事にはチャレンジしたほうがいい」

今年は3月に初の著書を上梓し、西日本新聞でエッセイを連載するようになったロコリさん。

「ファンの方からは『ロコリさんを見ていると歳を取るのが怖くなくなった』とよく言われます。どんな辛いときでも厚かましいほど自分を信じてやってみる。そうすれば未来は拓けていくと、若い方たちにも伝えたいですね」

    著書『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)

Profile:ROKORI

ろこり/1951年、福岡県生まれ。71歳でYouTubeチャンネルを開設。ブティックでの経験と独自のセンスを活かし、お金を使わずに楽しめるプチプラファッションを紹介すると4カ月で再生数累計100万回を超えた。10年間に及んだ認知症の母の介護を終え、69歳からファーストフード店で勤務。年金5万円の生活で新しいことに挑戦する毎日。趣味はおしゃれな椅子集め。著書に『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)がある。

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