このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

社長と社員が語る「ワンプラットフォーム」「エコシステム」「全社展開」「テクノロジー」「AI」「グローバル」

6つのキーワードで「サイボウズNEXT」が見えた

2023年11月21日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2023年11月8・9日に幕張メッセで開催されたサイボウズデイズ2023。2日目の基調講演では、サイボウズ 青野慶久社長と社員たちが「サイボウズNEXT」と呼ばれる次の製品戦略を聴衆に届けるという内容となった。キーワードは「ワンプラットフォーム」「エコシステム」「全社展開」「テクノロジー」「AI」「グローバル」の6つだ。

kintoneユーザーの変化は自治体導入の拡大とDX人材の育成

 幕張メッセの広大なスペースを活かした大がかりなセットと独特の世界観で聴衆を喜ばせてきたサイボウズデイズ。2年連続でDXを冠した「Magical DX Tour~DXへの魔法を学ぶ2日間~」というテーマを掲げた今年の基調講演は、女性だけのビッグバンド「たをやめオルケスタ」の演奏からスタートした。ときにパワフルに、ときにスウィングする縦横無尽な演奏を見せたたをやめオルケスタは、今回のイベントにこれほどふさわしいイントロはない「Magical Mystery Tour」を含む数曲を演奏し、基調講演は華々しく幕を開けた。

基調講演を前に、たをやめオルケスタが演奏を披露

 登壇した青野社長は、さっそくサイボウズの近況を報告。連結の従業員数は1100人を突破。kintoneユーザーは昨年から5000社増となる3万1500社となり、サイボウズOffice、Garoon、メールワイズも着実に成長しているという。豊川悦司さん演じる部長が鼻歌を歌いながらアプリを作るという新しいテレビCMを、青野社長は自身も歌いながら紹介する。

 ユーザーとして大きな変化は、やはり自治体の導入が増えたこと、2019年は33にすぎなかった導入自治体数は、2023年現在は250にまで膨らんでおり、コロナ禍で利用が急拡大したことがわかる。また、自治体は類似した業務が多いという特徴を持つため、自治体同士がつながる行政職員限定のユーザーコミュニティ「ガブキン(Goverment kintone Community)」を作ったという。

 ガブキンに参加している職員は2400人。参加自治体は600を超えており、kintoneユーザーより多い。「デジタル敗戦国と言われて久しい日本は、自治体もデジタルの導入が遅れていると言われますが、こんな大きな変化が起こっている。これからノーコードのテクノロジーを使って、先進国に負けないデジタル国家ができるかもしれません」と青野氏は語る。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

 今年大きなトピックになったのは、DX人材の育成だ。今までITの導入やDXの推進には専門的な知識を持つプロフェッショナル人材の登用が当たり前だった。しかし、ノーコードのツールでアプリを作れるのであれば、プロフェッショナルは必ずしも必要ない。こうした潮流を受け、サイボウズが運営するエンタープライズコミュニティで議論を重ね、エン・ジャパンと共同で作成したのが「DX人材育成ガイドライン」になる。8月に公開したガイドラインだが、すでに1800を超える組織・団体がダウンロードしており、関心の高さがうかがえる。

 昨年はノーコード開発を推進するノーコード推進協会が発足し、ユーザーやベンダー合わせてすでに200社が参加している。ノーコードをうまく利用しているユーザー企業を表彰する「第1回 日本ノーコード大賞」では、選定された7社のうち4社がkintoneユーザーだったとのこと。ノーコードツールという分野をリードしていることも浮き彫りになったという。

「次の十年はこのままでいいのか?」 情報のサイロ化を防ぐ6つのキーワード

 順調そのものに見えるサイボウズだが、青野氏は「十年後、二十年後を見据え、このままでいいのだろうか?という思いが自分の中にはある」とコメントする。青野氏が課題として考えているのは、SaaS乱立による情報のサイロ化。便利なSaaSを各部門が導入することで、情報が分散・分断してしまうという事態だ。

 この課題に応えるべく、現在進めているのが「サイボウズNEXT」というコンセプトになる。「より多様なお客さまが、より多様な情報を扱うことができるようになる」を実現するプラットフォームがサイボウズNEXT。これを実現するために掲げたのが「ONE PLATFORM」「ECO SYSTEM」「COMPANY WIDE」「TECHNOLOGY」「AI」「GLOBAL」の6つのテーマ。基調講演の残りは、これら6つのテーマをサイボウズ社員やゲストが説明することに費やされた。

 1つ目のONE PLATFORMは、製品間の壁を取り払い、kintoneへの集約化を進めるための活動を指す。kintoneがこれまで培ってきた現場主体の業務改善を加速し、扱える業務や情報の幅を拡げ、部門や組織内の壁を取り払った情報共有を実現する。サイボウズ 開発本部長 佐藤鉄平氏は具体的な取り組みについて説明した。

サイボウズ 開発本部長 佐藤鉄平氏

 たとえば、kintoneのメール共有は、メールボックスを複数ユーザーで共有するという機能。従来、単体製品として提供していたMailWiseの機能をkintoneに取り込んだものと言える。またグループウェアプラグインでは、掲示板・ファイル管理、動画データ、タスク管理、プロジェクト管理などのグループウェア機能をkintoneのプラグインとして提供する予定となっている。

 ここまではサイボウズ製品の融合だったが、他社製品との融合も進める。この第一弾が、Outlookコネクターになる。kintone上の情報をOutlookから参照したり、Outlookからkintoneへ顧客・案件情報を登録したりといった双方向の連携が実現する。現在、βテストの募集を行なっている。

βテスト中のOutlookコネクタ

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ