美文字アーティスト・りささん/「文字ならできるかも」とInstagramに掲載、海外からも反響続々!
人生100年時代といわれる昨今、自分らしい働き方や暮らし方を模索する女性たちが増えている。そんな女性たちに役立つ情報を発信するムック『brand new ME! ブランニューミー 40代・50代から選ぶ新しい生き方BOOK vol.1』(KADOKAWA刊)から抜粋してお届けするインタビューシリーズ。今回は主婦から「美文字アーティスト」になったりささんにお聞きしたライフシフト体験談をお届けする。
燃え尽きたときに「文字ならできるかも」と思った
「字を見ているだけでうっとり」「美しく温かみのある素敵な文字」……りささんがInstagramにアップした文字には、こんなコメントが並ぶ。文字だけでこれほど人の心を動かせるのかと驚くほど、りささんの書く文字は個性と魅力に溢れている。アカウントを開設したのは2016年。当時のりささんは資格のための勉強を終え、ひと息ついたところだった。
「燃え尽きていたときに、ふと『最近、字を書いていないな』と思い当たったんです。インスタはオシャレな人が投稿しているイメージがあって見ているだけだったのですが、たまたま字を載せている方を見つけて『これなら私にもできるかも』と思いました」
りささんは5歳のころから習字教室に通い、小学生のころは特待生に昇級したことも。教室の先生は優しく、プレッシャーもなく続けていたが、中学一年生でやめてしまった。
「字を書くことはずっと好きで、自分でもまあまあ書けるつもりでしたが、いざ書いてみるとイメージ通りに書けず……。でも、とりあえず記録の目的でインスタに掲載してみたんです。いいねやコメントなどのリアクションは気にせず、誰にも見られなくてもいいくらいの気持ちでした」
りささんはそれから2週間、毎日少しずつ練習を重ね、ひらがな50文字から始めて、『角川書道大字典』(KADOKAWA)のほか、中国の漢字アプリやGoogle画像検索で文字を探して練習していったという。
「でも、ただお手本となる文字を見て、写すだけだと上達しないんです。大切なのは気持ちを入れて書くこと。そうすると頭の中に『こう書きたい』というイメージが固まってきて、線一本一本に理想の形が見えてくるので、お手本を見ずに自分の文字で書き上げます」
挫折した経験があるからこそ人の役に立てる
練習を重ねて投稿する日々が半年ほど続いたころ、ある変化が起きた。
「海外のアカウントがリポストしてくれたのをきっかけに、フォローしてくださる方が増えました。ちなみにリポストされた文字は『鮭』(笑)。それで、もっとたくさんの方に見ていただいたほうがよいかと思って、夕方や夜など、見る人の多い時間帯に投稿していた時期もあります。でも、その時間帯は反応が大きすぎて、投稿が怖くなってしまって……。だから、フォロワー数やいいねを気にするのではなく、自分のペースでいこうと決めたんです。朝に練習で書き上げた文字を載せるようにしたら『毎朝、インスタを開くと最初にりささんの文字が出て嬉しい』と言ってくださる方もいて、これでいいんだと思いました」
2019年に「本を出しませんか?」と声が掛かった。本が大好きなりささんにとって出版はひとつの夢だったが、迷いもあったという。
「書道を挫折した経験のある私でいいのかと、ずいぶん悩みました。ただ、こういう経歴の私だからこそ、気軽に始めたい人の役に立てるのではと気づいたんです。文字は練習すれば簡単に変わるし、うまく書けないとダメということもない。もし私の文字がきっかけで字を書くのが楽しくなったり、変わったりする方がいれば嬉しいと思って、本を出すことを決めました」
作り始めると思い通りにいかないことも多かったが、家族も応援してくれて頑張れたという。本が出てしばらくは現実味がなかったが、2023年現在ですでに4冊出版し、5冊目の話も決まっているそう。
ライフシフトしたりささんに、チャレンジを続ける中で得た教訓を教えてもらった。
「こだわりすぎないことですね。理想の字はあるけれど、文字には正解がないので、仕上がりにこだわりすぎると時間がいくらあっても足りないし、落ち込んでしまうことも。あと、紙もどんどんなくなって、資源もお金ももったいない。続けるには『今日うまくいかなくても仕方ない、明日はいいかもしれない』と、ほどほどでいることも大事だと思います」
無理はせず、自分のペースでさらりと。その生き方はどこか、りささんの書く文字に似ていた。
Profile:りさ
りさ/美文字アーティスト。1980 年、神奈川県生まれ。手書き文字と美しく書くためのちょっとしたコツをInstagramに投稿し、話題を呼ぶ。おもな著書に『ふだんの美文字』『ふだんの美文字練習ノート』『ふだんの美文字 大人文字練習ノート』(いずれもKADOKAWA)がある。フェリシモとコラボした「コジコジと一緒に肩の力を抜いて楽しむ さらっと美文字レッスン」も人気。
Instagramアカウント @risagraphy
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誰かの役に立ちたいという思いで独立、料理を武器に夫とともに発信