新MacBook Pro/iMac登場! Appleシリコンの性能は「M3」で新段階に! 第10回
新MacBook Pro、M3 Maxはどれほど速くなったのか? 約110万モデルで検証した(本田雅一)
2023年11月08日 09時00分更新
潜在力をより引き出す仕掛け
テストという意味では、どのように働いているのかを調べる手段がなかったのだが、新しいGPUにはダイナミックキャッシュという機能も備わっている。少し前の段落でも書いたが、この機能は数1000の処理が並行して走るGPUタスクが、メモリーが割り当てられずに待機する時間がなるべくなくなるよう、動的にメモリーの割り当てと解放を行うハードウェアだという。
8GBのM3搭載機など、よりメモリーの小さい構成で活躍するのだろうが、もちろんM3 Maxでもその恩恵はあるはずだ。ユニファイドメモリーは、オンメモリーにあるデータに多様な処理回路が並行してアクセスできる。メモリー転送が起きないため、効率よく処理が進むが、この利点をより活かすことにもつながるだろう。
Metal HUDというmacOSの機能を用い、3D処理をしている際のGPUメモリーを監視してみたが、確かに使っているメモリー量は減っているように思えるが、タスクがストールするような状況にはなかったため、どこまで効果があるのかは推し量れていない。
残念ながらこれ以上、深掘りするネタはないのだが、M3 Maxを必要とするようなグラフィクス処理業務をする方は、自分が使うアプリケーション、扱うデータの規模などで、どこまでのメモリーが必要なのかを再検討してもいいかもしれない。
もともと、ユニファイドメモリーのMacは、インテル時代のディスクリートグラフィクスを搭載したMacやWindows機などに比べると、メインメモリーへの要求は少ないが、今回の機能追加で、そうした省メモリー性が3Dグラフィクスにまで及んでいる可能性はあるだろう。
なお、M3ファミリーになってM3 ProおよびM3 Maxの一部仕様で、メモリー帯域が従来よりも狭くなっているという話がある。今回評価したモデルは128GB版で、M2 Maxと同じ毎秒400GBだが、Proの場合で毎秒150GB、Maxの場合で300GBにそれぞれ「制限」されているように見えるかもしれない。
しかしメモリー帯域は処理で扱うデータを取り出し、結果を書き出す際に「滞り」がなければ問題ないというものだ。
GPUの新しい機能で処理速度が上がり、メモリー帯域が毎秒800GBもあるM2 Ultraよりも3割速いスコアを出すM3 Maxは毎秒400GBの帯域なわけで、ここで処理が滞っているとは思えない。つまり、スペック上の違いはあっても、アプリケーションのレベルでは変わらない。
おそらくそうしたことも学んだ上で、今回、アップルはメモリー容量に柔軟性と幅を持たせる意味でメモリーインターフェイスの構成を変えたのだと思う。
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