業務を変えるkintoneユーザー事例 第207回
創造的破壊の超回転の末たどり着いた神技の連発
在庫リスクゼロの生産プラットフォーム「Made by ZOZO」を支えるkintone
2023年10月24日 10時00分更新
kintoneのユーザー事例を共有しあうイベント「kintone hive tokyo 2023」のトリには、ZOZO 三品秀樹氏が登壇。同氏によるセッション「kintoneと俺破壊to想像/創造の超回転!!」のレポートを紹介する。非エンジニアから「kintoneの神」になった三品氏が「Made by ZOZO」を成長させるまでのストーリーだ。
「Made by ZOZO」の業務の7割をkintoneがカバー
ZOZOは、1998年に設立され、現在従業員はグループ全体で約1500名を抱える。「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念と「MORE FASHION×FASHION TECH~ワクワクできる“似合う”を届ける」という経営戦略を掲げ、ファッションecサイト「ZOZOTOWN」、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」などのファッション事業を手掛ける。
同社は2022年に、ファッション業界を在庫リスクゼロへ導く生産支援プラットフォーム事業「Made by ZOZO」を開始したが、三品氏が所属する生産プラットフォーム開発部はこのシステム開発を担っている。
Made by ZOZOは、ブランドの企画から納品までのアパレル生産におけるサプライチェーンを全体を支援する。注文に応じて1着から生産し、最短10日で届けられるのが特徴。多彩な商品を展開しつつ、在庫リスクゼロというサステナブルなサービスだ。
一般的なアパレル生産の流れは、どのような商品を作るかを決める企画からはじまり、商品の仕様や資材コストを決める設計であり、必要な資材の発注、品質検査などの量産準備をし、実際に商品を生産、納期を踏まえて物流を行ない、指定の場所に納品する。Made by ZOZOでは、これらの5つの区分に沿った業務ステップが130ほど存在するという。そして、これらの情報の管理をkintoneで行なっており、業務カバー率は約70パーセントを超えている。
サクっと作れるkintoneで神技を連発、業務効率化のアプリを短期間で作成
「kintoneの特徴でもある“サクっと作れる”こと、どんな業務にも対応できる“柔軟性と拡張性”をマキシマムに活用して、神業を連発しました。本日はこの神業3つを紹介します」とkintoneによる成果を「神技」として披露する三品氏。
神技その1は、そもそもMade by ZOZOのサービスを立ち上げたことだ。52個のアプリを新規で作成し、業務担当者の負担を下げるためのカスタマイズ機能を102個実装、業務担当者が機能を確実に使えるように、人と機能をマッピングしたフローチャートをアプリごとに作成した。
運用開始までの期間は、三品氏を含む開発人員2名で、なんと3ヶ月。kintoneとは言えすごいスピード感だ。
神技その2は、企画デザインからサンプル作成依頼までの日数を20~30日から最短0日に短縮したこと。アパレル商品の企画は、デザインを決めるのに時間がかかる。提案資料を準備したり、資材を提案するなど、ブランドと何度も商談を重ねる必要があるためだ。
そこで、kintoneで企画をサポートするアプリを開発した。商品の条件を設定して検索すると、洋服の画像をメインにしたレコード情報が表示される。この画面をZOZOの担当者とブランドの担当者が一緒に見ることで、商品の選択からコミュニケーション、サンプル作成までを一気通貫で行なえるようにした。その結果。商談時間が0日に、サンプル作成依頼も最短0日に短縮した。この仕組みは2週間でリリースしたそうだ。
商品の品質を担保するためには検査協会に依頼し、検査報告書を提出してもらう必要がある。神業その3は、この業務の改善で、kintoneから帳票を出力できるようにしたことだ。
「ブランド様ごとに検査項目は異なります。それらを自動でセットし、それらに応じて変更される帳票レイアウトを自動調整しつつも3秒で出力できる機能を実装しました。このアプリを開発するために検査協会様とやっぱりこれがいい、やっぱりこうしたいと、とても苦労しました」(三品氏)
苦労の甲斐があり、検査協会の業務を効率化し、業務量を50%削減できたという。さらに、そこで生まれたデータをZOZOでも活用できるようになった。
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